最後の夜空
あの日、綺麗な星空を見つめた。空には様々な星々が無数に見え、そのどれもが互いを尊敬しあっているかのように輝きを放っていた。ふとそんな光景を目にしたらいつも思ってしまう、「空は綺麗だ」と。
そんなことを考えていたら遠くの木製のベンチがある方から、「おーい」と自分を呼ぶ声が聞こえた。
最初はあまり好ましくなかったが、今では自分が呼ばれることに対して実は嬉しく思っていたりもする。
そんな事は恥ずかしくて人前じゃ絶対に言えないがそれはここだけの秘密である。
呼ばれたので声の元をたどろうと、道を進むうちに街灯で声の主の顔がはっきり見えてきた。
そいつは目が少し青く輪郭が整っており髪をさっぱり切っている。今は夜なので少し見えにくいが肌は白めである。首には彼が大切にしている音符のペンダントがかかっている。
「なぁ、任せていいんだな?」と、青い目が細くなり問いかけてくる。
「……あぁ任せろ拓也。必ずやって見せるそのための俺だ」と少しの間があったがしっかりと答えた。
少年は、空を見上げてから歩き出した、拓也という青目の少年を置いて。
ここからまた動きだした少年の運命は、あまりにも残酷な結末の必死の抗いである。