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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ふとした一言で

「はあ、いいよな暇そうで。」


 彼は当然のようにため息をつき、当然のように言ってきた。


 私だって好きで暇そうにしているわけではない。いや、確かに環境に甘えているから積極性が足りない。怠惰といわれても仕方がないけれど、それでも家の手伝いはしている。それに、精神的な安定と安定剤の服用を天秤にかけるとどうしても今の状態を優先してしまう。


 昔から、私は変わっていたわけではないけれど、周りにうまく合わせるということがうまくできなかった。今風に言えば空気をよめないという感じだろうか。それが原因かそれともただ単に自己の力を誇示したかったのかわからないが、卒業したら会うことがないと思っていた人からいじめの対象になった。それでも、その時々で友人と呼べる人はいたので孤立することはなかった。学徒、学生だから対して気づかなかった。


 けれど、社会に出てそれは簡単にほころんだ。

 

 かろうじて入れた会社の事務。ブラックというわけではない。むしろ、ホワイトといっていい。気にかけてくれる先輩もいた。けれど、どうしてだか、うまくなじめなかった。


 自身の能力の低さやうまく話を繋ぐことができなかったことが一番の原因なのは理解している。


 好きなことだけを仕事をしている方が少ないことは知っている。誰かしら、妥協して仕事をしている。だから、環境がいいのにそれは贅沢だ、といわれるのもわかる。だけれど、なぜか体を壊した。それからは、坂道を転がるように腹痛、吐き気、過食、寝つきの悪さ、と順調に?体調を崩しだした。終いには、電話音を過剰に恐怖するようになったり物に当たる攻撃性や薄皮に傷をつけるという自虐性が現れた。この頃だろうかカウンセリングを受けるようになったのは。


 それから、しばらくして職場を解雇となった。合併時の出来事なので単なる人為整理の意味合いもあるが、将来性が見込めないからとか本当の理由のような気する。


 それで少し気持ちが軽くなったののだから勤め人として大きな欠陥があるような気がした。


 それからは、碌にバイトもせず貯金があるから、家賃光熱費がかからないから、無理すると体を崩すからという言い訳を手に危機感を感じつつも積極的に次の職を探さなかった。


 甘えているの自覚はある。病は気からという諺通り気の持ちようという人もいるけれど、それでも病気になる人はいる。そもそも気の持ちようですべてがどうにかなるわけなんてない。そういう心構えが必要という意味合いが強いのだと思う、と勝手に解釈している。馬鹿は風邪ひかないって言うけれど、単に風邪を引いたのに気付かないだけであとから風邪だったと気づくような意味合いだったはずだし。


 だからぬるま湯につかっているのだが、それは他所から見れば不快なものでしかないようだった。


 だから、その後の結果はすぐに決まった。後始末とか家に迷惑をかけるが、彼が今後顔を合わせるたびに嫌そうな不機嫌を露わにすることがなくなるのだから別にいいだろう。


 安定剤と睡眠導入剤を密閉した自室であるだけ服用しいままで感じたことがないくらいの眠気に襲われるとバケツのふたを上げ隙間に混ぜるな危険を複数混ぜ隙間にホースを刺しそれを口にくわえた。


 これできっと彼は満足するだろう。事の発端はあなたなのだから。


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