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眠れぬ夜
それはいつだったか。風の音はなくとも、煩わしいバイクの音の響く夜であった。
静かだが、それ故に陰鬱な低い音の響く夜であった。
それは丁度、近々やらねばならぬ事があった時期で、夜遅くまで仕事せねばならず(遅くとはいえ子供にとっての話ですが)、カフェインだか何かしらの興奮剤の入った飲料を飲んでいたから、疲れて眠ろうという時ですら、それはもうぱっちりと覚醒していた。
眠れぬ夜。これは私にとっては恐ろしいものであった。こんなことならさっさと寝て、起きてからやればよかった、後悔というのは先には出来ぬ。
眠れぬ夜、かつ静かな夜。こんな時は色々と考えてしまう。
当時は想い女なんかいたりしたから、それはもう暫くはその女のことを考えていた。
しかし次第に、自身の置かれている状況ではどうにもできぬ、と諦めにも似た退屈でやめてしまう。
それからは長い間、真夜中のバイクの馬鹿な音を聞いていた。