冒険の仕方
その蒼い瞳に見とれたまま動けずにいたイツキを真剣な眼差しで蒼い瞳の少女がゆっくりと口を開く。
「あなた…どうしてそこから?」
どうしてなんて聞かれてもイツキにも
何がなんだかわからない。何も答えられないのだ。
「何もわからないんだ…」
イツキがそう答えると蒼い瞳の少女は
少し驚いた顔してそれから少し心配そうに
「何も…?名前も?」
「俺はタチバナ・イツキ」
「俺?男みたいな言い方するのね」
蒼い瞳の少女が不思議な顔でこちらを見る。男みたい?もう生前になるのだろうか、タチバナ・イツキは背丈こそ平均だが
栗色の柔らかい癖っけにどこか自信の無さげな猫背の中肉中背男子なのだ。
イツキは自分の姿を確かめたくなり
大きな花びらを飛び降りすぐそばの大きな湖へ行った。
「え…これが俺…?」
湖に写る自分の姿に思わず息を呑む。
そこにはいつもイツキが見ていた栗色の柔らかい癖っけではなくサラサラと
背中へなびく銀色の長髪に瞳の色は日本らしからぬ炎のように紅い瞳。
更には透き通るような白い肌に
まるで女の子みたいな顔立ちだった。
「え…?胸はない…しっ下は…ある!俺のシンボル!」
「何を騒いでいるの?」
湖に写るイツキの横へふわりと金色の丸まった毛先を揺らしながら蒼い瞳の少女が写る。
「これは…俗に言う男の娘ってやつか…誰得だよぉ!?」
状況が理解出来ない。そして彼女もまた状況が理解出来ない。イツキが慌てふためく様子を見ていた彼女が不満そうな顔で見つめたまま口を開く。
「ねぇ、さっきから何なの?」
「あぁ、わりぃわりぃ。俺はタチバナ・イツキ、正真正銘男だ。」
「そんなに可愛い顔なのに男なのね。まぁいいわ。私はロディ。よろしくね、イツキ。」
そう言ってロディは金色の美しい髪をかきあげる。
「とりあえず、私の家へ行きましょ。その服だと目立つわ」
「いいのか?」
「ええ、お客様なんて久しぶり。」
イツキとロディは大きな大樹に咲く花を後に
歩き始めた