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悔しい
それから今まで一生懸命頑張った。
到着して、待機をしたらチューニングして、リハして。
本番も実感がなく終わってしまって、時間がたって今、帰りのバスの中にいる。
去年は県に行った。皆笑顔で、課題曲や自由曲の自分のパートを歌ったりした。
今年は誰も、何も喋らない。
そっと隣を見ると神田先輩が外を見ている。
目元はほんのり赤くて先ほどを思い出させる。
神田先輩もあの時泣いていた。別に凄く泣いてる!ってわけでもなかったけど、
ほろほろと静かに涙を流す先輩はなんだか美しかった。ってこんな時に思うことじゃないけど・・・っ。
そのまま学校について、楽器をはこんで、先生がしゃべって、部長の先輩がしゃべって、また先生がしゃべって。
そんな話に出てくる単語たちを聞き流すうちにいくつか胸に引っかかる。
「銀賞」「惜しかった」「悔しい」「悔しい」「悔しい」・・・・・。
部長が話している途中で嗚咽を漏らす。
ほんとうに、今日は疲れてしまう。