先輩(2.3)
「これで合奏を終わります。ありがとうございました」
「「ありがとうございました!」」
合奏が終わり、部員は積み込みのために楽器を片付けていく。
私もそれに習い楽器をしまう。
いつもより少し重いケースに入ったユーフォを持ち上げ、移動する。
積み込みのトラックが一応のゴールだ。先輩の分まで持っているので両手に負担がかかり手が痛い。私は力がないのだろうか。体力をつけないとな、と思いながら先が長い階段を下り始める。
すると、トロンボーンの先輩である今井加奈先輩と横並びになる。
今井先輩はかわいらしい先輩で、責任感がある人だ。
「大丈夫?代わろうか」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
「ううんー。・・・今日、頑張ろーね!!」
「ええ、勿論ですよ。一緒に、頑張りましょうね」
今井先輩としゃべっていると自然と和んで緊張がほぐれていく。
そんな風に思っていると
「加奈。もうちょっと歩くの早くして?」
「え、ああ絵里ちゃん。ごめんね」
立田絵里先輩。今井先輩と同じトロンボーンの先輩で、優しいしっかり者だという定評がある。
でも、あたしはそうは思わないんだ。
そうこうしているうちに下につき、トラックに楽器を載せていく。
しばらくしてやることがなくなった私は、ふっと今日のことを考えてみる。
今日が終わるころ、私は笑っていられるだろうか。
先輩2号と3号登場。まだ後輩が出てこないという。