三題小説第十九弾『ヒーロー』『ホスト』『タバコ』 タイトル「フランク&アーヴィング」
そのリボルバーは掌に吸いつくような重さと黒く鈍い光沢で存在感を放っていた。
今この時代に拳銃を所持するという事は自殺行為に等しい。もしもこの街のヒーローにその罪深き様を発見されたなら次の瞬間に僕は肉塊に変わる事になる。
だけど……。
僕はリボルバーの銃口をこめかみに当てる。口の中で脳幹を打ち抜いた方が確実と聞いた事はあるが、僕には恐ろしくて出来そうにない。
どうせ死ぬなら同じ事だ。僕の臆病さが招いた事態を臆病さによって解決しようとは滑稽な話だ。
埃っぽく薄暗い部屋の中で僕はその格好のまま長い間じっとしていた。カーテンのスリットから漏れる光の中に漂う埃をただ見つめていた。
「坊主よう。逝くなら早くしてくれねえか?」
僕は銃を下ろして声の主の方を見た。半裸で包帯を巻いたみすぼらしい男が薄汚れたベッドに腰掛けている。髪も髭も方々に伸び放題で濁った眼を伏せている。どこに隠し持っていたのか、咥えたタバコにマッチで火を付けていた。深く深く煙を吸い込み吐き出す。
「生きてたんだね」
「おうよ。お陰さま、なのかね。ここでバトンタッチのようだが」
「タバコなんてどうやって手に入れたの? 今や死請う品なんて密造すらされてないって噂だけど」
「さあね。俺が何故タバコを持っているのか、お前が何故銃を持っているのか。どちらも同じくらい不思議な話だぜ」
「あんた、何者なんだ? 姉さんとはどういう関係なんだ?」
男は紫煙をくゆらせながら、部屋の中を見渡す。
ここはスラムの外縁にある大昔に建設された集合住宅群の一室だ。仕事は少ないが危険も比較的少ない。姉と僕はここで暮らしていた。
「姉さんってのはお前の姉だよな? さてね。俺には心当たりがない。それにどうやら俺自身が俺について分からない」
「記憶喪失?」
「そのようだ。お前の姉が俺を助けたのか?」
「倒れているお前を見つけて助けようとしたのは僕だよ。でも姉さんはお前に心当たりがある風だった」
男は手近にあった欠けた皿を灰皿代わりに灰を押しつけた。
「それで何でお前が死のうとするのかね? 銃ってのは気に食わない奴にぶっ放す為のものだろ?」
「まあ、そうだよ。僕ってのは本当に気に食わない奴なんだ」
男は苦笑し、近くにあったシャツを着る。元々男が着ていたものだ。そうして立ちあがり部屋を見回して言う。
「それで、お前の姉さんとやらはどこにいるんだ? この包帯はお姉さんがやってくれたんだろ?」
「それも僕だよ。そして姉さんはもういない」
男はもう一度ベッドに座り直しタバコを取り出した。
「……なるほど。とりあえず順番に話してくれ。一体何だって俺はこんな事になってるんだ」
僕もまた近くにある丸椅子に腰かけて、手の中でリボルバーを弄る。
それは僕が生業から帰って来た時だった。ここいらの地域が妙にざわついていて、噂に耳を傾けるに怪人らしき男が暴走していたのだという。僕は姉の身を案じてホームに急いだ。
そして、この棟の一階、悪戯書きだらけのエントランスにこの男は血みどろで倒れていた。身ぐるみを剥がされたかのような格好だが、幸運な事に内臓までは持って行かれなかったようだった。
困っている人がいるからといって何もかもをする必要はないが、出来るだけの事をしてあげなさい、と姉はいつも言っていた。その時僕に出来る事と言えば冥福を祈るか、姉に相談するかぐらいだ。そのままその場を離れようとした時、ラッパのように高らかと響き渡る声で僕は呼ばれた。
「少年よ! 殺人ほど深き罪はそうないぞ!」
僕は死を覚悟した。そこにいたのは雄々しい白獅子の姿を模した変身スーツを身につけた男、フランク・ザ・ファングだった。はち切れんばかりの筋肉に包まれた体躯、四肢が僕の前に聳え立っていた。
僕の頭の中では色々な考えが巡っていた。ファングが何故ここにいるのか、この倒れている男は死んでいるのか、姉は今どこにいるのか、僕はこれから死ぬのか。今思えばあれが走馬灯なのだろう。圧倒的な力を持つ存在を前に僕の身体は凍りついていた。
僕が殺したわけじゃないです。聞く耳など持たないだろうが、そういう事すら言えなかった。
「言い訳せぬか! 潔し! だが私は君を確保せねばならない! それが私の存在理由だからだ!」
ファングが悪を見逃す事はないし、無傷で悪を確保した事もない。その、人を超越した溢れんばかりのパワーでは、いくら手加減しても茹であがった豆腐を箸で摘まむようにして人体を引き裂く事になる。
「待ってください!」
姉だった。上の階から降りて来たのだ。スラリと長い手足でただ歩くだけで優雅かつ気品に満ちていた。堂々とした立ち居振る舞いで、しかし姉は目だけは伏せている。
「何だね!? 娘さん!」
「彼はその男の生死を確認しただけです。それにご覧ください」
姉は倒れる男の服を引きはがし背中を露わにした。そこには巨大な蛇がのたうったような跡がついていた。
「ご覧のようにこの男を死に至らしめたのはムチです。それも普通の人間には使えるべくもない巨大なムチです。このようなムチを扱えるのは私の知る限りファング様の相棒であるサミー・ザ・スケールくらいのものです。おそらくケチなコソ泥か何かであろうこの男をスケール様が懲らしめようとして取り逃したのでしょう」
姉は目をひび割れたコンクリートの床に向けながら言った。
「ふむ! 一理あるが証拠はない! スケールが取り逃した後に少年に殺されたのかもしれないしな! しかし仮に君の言う通りだとしてもこの少年は何の手だてもせずにこの場を去ろうとした! それは市民の義務に反する! どの道確保せねばなるまい!」
「それは違います。彼は応急処置の知識のある私を呼ぼうとしただけです。もう手遅れでしたが」
「私はこの場でこの目で見たのだが! 君はその瞬間その場にいなかった! 何故そんな事が言い切れる!」
「私が普段からそのように教育しているからです」
ファングは大げさに腕を組み首をかしげる。
「君たちはどういう関係なんだね!?」
「姉弟です」
「身内びいきだね!」
「違います」
「そんな言葉だけでは信じられんな! ましてや目を合わせる事もしない女の言葉など!」
姉は黙ってしまった。僕は姉にやめてくれ、と言う事も出来なかった。
「例えば!」とファングが言った。「姉である君の瞳を見れば弟である彼が人を殺したかどうかなど一瞬で分かろうというものだ! ヒーローというのはそういうものだ!」
「もし私が真実を言っていると分かれば弟を見逃してくださいますか?」
「私に悪を見逃せと!? いずれにせよ市民を見捨てようとした小悪党には違いないのだ! しかし! まあ! 私の仕事には優先順位というものがある! 凶悪犯や怪人の取り締まりに忙しい私はそのような小悪党を確保するのは後回しにするだろうね!」
姉の伏せた視線は倒れる男を慈しむように差していた、見上げる僕と見下ろす姉の目が合う。その口元には頬笑みがあった。その時の僕の表情はどうなっていたのだろう。姉さん、と口を動かしたが相変わらず声は出なかった。
姉が意を決したような表情になり顔を上げ、ファングと目を合わせる。その瞬間姉は力が抜けたようにくずおれてしまった。その目は潤み、顔は上気していた。縋りつくようにファングの足に腕を絡ませる。
ファングが高らかに笑う。
「なるほど確かに真実を言う者の瞳だったな! それにしても全く仕方のない娘さんだ! 何とも恥ずかしがり屋なのだね! こうも腰砕けになっては歩くのもままなるまい! 少年よ! 君の姉は私に任せたまえ! 楽に死にたければ悪事は程ほどにしたまえよ! それじゃあな!」
この街を統治するヒーロー、フランク・ザ・ファングは姉を肩に担ぎ、目にも止まらぬスピードで走り、廃墟の向こうへ跳躍した。
後には哀れな男が二人取り残されたという訳だ。
「『魅了』か」
薄汚れた男が呟く。
「そうヒーロー達の七つのコモンスキルの一つ。目を合わせた異性を虜にする。そういう事は覚えてるんだね」
「ああ、ただ自分の事だけが思い出せない。サミー・ザ・スケールのムチでこっ酷く頭を打たれたって事か」
「そういう事だね」
「それで、何でお前が死ぬんだ? というか銃なんて何で持ってる? 怪人とコネでもなきゃ簡単には手に入らないだろう?」
手の中のリボルバーにぼんやりと映る僕を僕は見つめる。
「銃は、あんたを連れてこの部屋に戻ったらあった。いざという時に使えという置き手紙と一緒に」
「それで? 今がいざという時だとは思えないんだがな」
僕は呟く。
「……じゃあどうしろっていうんだよ?」
怒りが、遣る瀬無さが、不甲斐なさがこみ上げる。
「僕にどうしろって言うんだよ!? 今の時代に拳銃一つで出来る事なんて死ぬ以外に何がある!? 世の全ての軍隊も犯罪者もテロリストも暴力と一くくりに悪と切り捨てて一掃した奴らだぞ! ここで一発撃てば数秒後には駆けつけて発砲した奴を血祭りにあげるような奴らだぞ! 何に向かって撃とうが結果は同じなんだよ! そもそもお前が原因だろ! 何を偉そうに! お前があんな所に倒れてなければこんな事にはならなかったんじゃないのかよ!?」
記憶のない男にこういう言い方で責める卑怯さには気付いていたが止まらなかった。
男は降参するように手を上げる。
「分かった分かった。悪かった。だがどうせ同じなら……」
その瞬間部屋のインターホンが鳴った。この部屋に住む時に試しに一度押しただけで、数年間今まで誰も押さなかったインターホンだ。咄嗟に拳銃を背中に隠す。静かにしているようにボディーランゲージで男に伝えて玄関に向かう。
ドアスコープから外を覗くとそこにはフランク・ザ・ファングが仁王立ちしていた。その巨体でそこから見えるはずのジャスティス・シティは完全に隠れていた。腰にスケールのであろう銀のムチを持っているが、スケールの姿はない。
扉を押し開ける。拳が飛んできて僕は吹き飛ばされ、奥の部屋の壁に叩きつけられる。全身を打ちつけ激痛が走る。どうやら寸止めだったようだ。まだ生きている。
「やあ! 少年! 昨日の今日ですまないね! 安心したまえ! 今のところ君を確保するよりも優先すべき事があるんだ! ついうっかり忘れていたのだが昨日の死体はどこにやったのかね!? いやはや君のお姉さんには驚かされたよ! まさか怪人だったとはな! 私の拳に対応できないところを見るに、どうやら君は違うようで安心したよ!」
姉さんが怪人? ただの花売りだとばかり思っていた。それじゃああの男は? 僕は?
「どうやらその様子を見るに君は知らなかったようだね! 少年よ! あの女怪人め! ヒーローを誑かそうとするばかりか、毒を打ちこもうとは不届き千万というものだ!」
「それで……姉とあの死体に一体何の関係が?」
僕は息も絶え絶えに言った。
「んー!? 君には何も関係ないはずだが!? それとも怪人を擁護する理由が君にはあるというのかね!?」
僕はゆっくりと立ち上がる。視界の端にいた男は体勢を微塵も変えず、ベッドに座ったままだった。
「んんん!?」
ファングは前かがみになって床から何かを拾い上げた。それはリボルバーだった。
僕の全身から冷や汗が吹き出す。
「ここまでのようだな! 少年よ! 君はヒーローが直々に裁くべき悪人だったようだ!」
一歩ずつ威圧するようにファングが近づいてくる。その巨体のせいか床がみしみしと軋む。丸太のような腕を伸ばし僕の頭を掴む。『怪力』によって万力のように締めあげられ、一切身動きが取れなくなる。リボルバーの銃口が僕の口に押し込まれた。
ファングの蛇のような狡猾な眼差しが脇へと向く。ベッドに座る男に気付いたようだ。
「き、貴様! 生きていたのか!」
「お陰さまでな」
「だがこのスーツがある限り私は負けんぞ!」
「それはどうかな?」
記憶を取り戻したのか? ファングが恐れているように見える。お陰で頭は今にも割れそうなほどに締め付けられていて気絶してしまいそうだ。
ファングが高らかに笑う。
「そうだ! 最早変身できぬ貴様に後れを取る理由などない!」
ファングが銃口を引き抜き、リボルバーを僕に握らせた。相変わらず片方の手で僕の頭を締め付け続ける。
「さあ! 少年よ! 正義の鉄槌を奴に喰らわせるのだ!」
「まあ一つ聞けよ。坊主。俺の正体こそがフランク・ザ・ファングだ。そしてその男はサミー・ザ・スケール。そして君の姉はスカーレット・ホークと呼ばれている怪人だった」
「それは私が冥土の土産として聞かせようとしてたのにな! 傑作だ!」
「まあお前の知らない話もあるさ。スケール。俺とホークは何度も何度も戦った。ある日隙をついて俺はホークを『魅了』した。と同時に俺も彼女に魅了された。よくタバコを吸っていたが、もう攻撃出来なくなった。そういえば普段は吸ってないと言っていたな。あの時の俺は自傷性物質を体内に取り込むなど健康に悪いだけだろうと思っていた」
「勘違いするな! 今でもそうだ! バカ者め!」
「まあ多くの人間にとってはそうだ。だけど俺達ヒーローは違う。そんなやわな自傷性物質を取り込んだところでどうにもならない。不健康になるからタバコが悪だというのなら決して不健康にならないヒーローにとってはタバコを吸っても良いという事ね。些細なきっかけだが、俺の中で悪が悪でなくなった。正義と悪の境界線が分からなくなった」
「つまらん言葉遊びだ!」
「そもそも俺達の過剰な正義感はどこから来るのか。お前は考えた事があるか?」
「天の賜物だ! 戦争に明け暮れるかつての時代に必然的に生まれた救いだ! 以後我々は救世主であり! 指導者であり! 調停者だ!」
「ある意味正しいのかもしれないな。俺達の心と技と体はある寄生生物が原因だとホークは言っていた。そして全てのヒーローと相棒はその寄生生物の宿主なのだと」
「馬鹿な! 仮にそうだとしてもだからなんだというのだ! 正義は正義だ! 否定する理由などない!」
「俺もそう思ってた怪人の世迷言だと。ある日隙を突かれて薬を打ちこまれた。『魅了』された者は攻撃など出来ないはずなのに。つまり彼女は俺を救うつもりで薬を打ちこんだのだろう。それがあの日俺が倒れていた日の事だ」
「薬!? 何の薬だ!?」
「おそらく寄生生物を除去する薬だろう」
「なるほどな! 私の中でも繋がったよ! 昨日あの女が打ち込もうとしたのがその薬か! あの日貴様が暴走したのはその薬の作用だったという訳だ! そして私の『魅了』が効かなかったのはより強力な『魅了』の支配下にあったからというわけだ!」
スケールが耳元で怒鳴る。
「さあ! 少年よ! 聞いていただろう! 奴こそが姉を窮地に追い込んだ張本人という訳だ! 寄生生物を除去したというなら奴はか弱き人間という事だ! 敵討ちは推奨できないが本当の悪に対してなら黙認できるぞ!」
僕は震える銃口を本来のファングに向けて狙いを定めた。
「何か言いたい事はある?」
「お前に聞きたい事があるなら」
「僕はどうすればいいんだ」
「どうすれば良いか分からない時は自分の信頼する者がするだろう事をすればいい」
「姉さんを返せ!」
狭い部屋に銃声が鳴り響く。銃口はスケールに向けた。蛇のような眼光は刺し貫くほどの怒りを僕に放ち、大げさに笑う歯の間に銃弾が挟まっていた。
次の瞬間スケールの巨体が後ろに吹き飛ぶ。轟音と共にいくつもの壁をぶち抜いた。さっきまでスケールが立っていたところにファングが立っていた。
「薬に奪われたのは過剰な正義感だけだ」
振り向くとスケールが瓦礫の中から立ち上がるところだった。そして一足跳びに接近し、ファングと両手で組み合う。
「スーツも無しに何故それだけの力があるんだ!」
「スーツは力を何倍にも高めるが、俺の力は何倍にも高められたお前の力を上回る。それだけの事だ」
ファングが腕を振り上げるとスケールが子供のように吊りあげられ、そのまま床に叩きつけられる。床は半紙のように軽々と破れ、スケールは落ちていく。
「悪かったな、坊主。君を巻き込んだのは事実だ」
「謝られるような筋合いはないよ、僕には。奴は倒したの?」
恐る恐る床に空いた穴を覗きこむが埃煙で何も見えない。次の瞬間、銀のムチが煙から飛び出して僕の体を捕えた。
何が起きたか分からない。ヒーローのスピードについていけない。落下し、飛びあがり、何かにぶつかり、気が付くと空が開けていた。そこは僕達の住む集合住宅の屋上だった。姉さんの趣味だった菜園は完全に荒らされてしまっている。
目の前にはファングもいた。
「すっかり怪人然としているな。スケール。人質まで取るとわな」
「何故私をこんな目に合わせる! 私はただファングの代わりに正義を全うしているだけだ!」
「気持ちは分かるぜスケール。価値観を転覆されるともう何が何だか分からなくなるもんだ。昔は過剰防衛という言葉があったそうだ。何事もやり過ぎてはいけないという事だ、スケール。それが正義であってもな」
「やかましい! とにかくそれ以上近づくな! このガキがどうなってもいいのか!? そこまで怪人に堕ちたのかファング!」
僕は肩だけ掴まれて空中に吊られていた。足元には何もなく、遥か下にひび割れて所々に雑草の生えたアスファルトがあるだけだ。
「そういえばお前には俺のユニークスキルを見せていなかったよな、スケール?」
「何を言っている!? お前の能力は『変身』だろ! ファング! そしてそのスキルはこのスーツに早着替えするだけの外れ能力! 私の『鞭撻』と比べればカスみたいな能力だ!」
「悪口が酷いな。まぁほぼほぼお前の言う通りなんだけどな。俺の『変身』はありとあらゆる既存の服装に着替えるだけの能力さ。たとえその服がどこにあろうともな」
次の瞬間、ファングはまさにフランク・ザ・ファングの姿に変わっていた。代わりにスケールは全裸の巨体男に変わっていた。
「だが、まあ気に入ってるんだから悪くいってくれるな。ヒーローらしい能力だろ?」
ファングが一歩一歩確かめるように近づいてくる。
「やめろ! 来るな! やめてくれ……」
肩が自由になる、と同時に僕は落下した。視界全体に青空が広がる。次の瞬間、スケールの巨体が彼方に吹き飛んでいった。アスファルトに叩きつけられたのはファングだった。僕の体はしっかりとファングに守られていた。
「なあ、フランク・ザ・ファング。姉さんは生きてると思う?」
「死んだとは言っていなかっただろう。とにかく探してみよう」
「ああ。今すぐジャスティス・シティに行こう」
僕はアスファルトの上に降り立つ。まだ少し体がふらつく。だけど泣き言は言っていられない。ジャスティス・シティに向けて歩を進める。
「そういえばまだ名前を聞いてなかったな、坊主」
「アーヴィングだよ」
「良い名前だ。ちなみに俺は」
「フランクだろ。知ってるよ」
ここまで読んで下さってありがとうございます。
ご意見ご感想ご質問お待ちしております。
初めから変身しろよ!は言わないお約束で
ヒーローが敵でヴィランが味方で、と小癪にも奇を衒おうとした結果がこれだよ
少年漫画の第1話のような構成な気がする。別に悪い事ではないけど
白い獅子のヒーローといえば怪傑ラ○オン丸がいたな、と今思い出した