09-空想
はあ…センマってなんなんだろ…。
「やばいわね…そろそろ本当に自分もセンマも分からないわ」
相当重症だと思う。
「センマ、病院よ!」
「病院…ですか?」
「そうよ。他人事症候群について、もっと調べればいいんだわ!」
「畏まりました」
「…そういえば、センマって車、運転できたよね?」
「はい…できますけど」
「隣町の大きい病院まで」
「畏まりました」
それから、私はセンマの運転する自動車で、病院まで行った。
「本日はどのような御用でしょうか? お嬢様」
「え?」
受け付けの人から、お嬢様と呼ばれ、一瞬、驚いた。
「あ…ミナ! 久しぶり!」
そこには、センマの前任者である、御仏ミナが白衣を着ていた。
「お、お嬢様! お静かに、病院ですので」
「ねえ、なんでナース服じゃないの?」
「だって、医者ですから」
「ふえ?」
ミナの言葉に耳を疑った。
「医者だって、言ってるんですよ」
「あ、な、ならさ、他人事症候群について教えて欲しいんだけど…」
「また、お嬢様は変なことに首を突っ込んで…」
やれやれといった感じの動作をした。
「今回はただの暇つぶしだから…前回みたいに危険な目にあわせたりあったりしないから…大丈夫だよ」
前回は本当にミナには迷惑かけた。今でも謝りきれない。
「それで、他人事症候群でしたっけ? ちょっと待っててください」
それから、ミナは一人のナース服の子に言って、受け付けにつかせた。
「さ、行きましょう。ついてきて下さい」
暗い廊下をミナに付いて行ったら、今更やめたってことが許されなくなる気がして、怖かった。
ほんと言うとね、あの時やめておけばよかったんだ。だって…この時の私は前回みたいにどうにかなるって思ってしまっていたから。