03-締切
勢い余って、帰る。なんて言ったのはいいけど…。
「こんな時に限ってどうして私は鍵を持ってないのよ!」
私は家の玄関の前で嘆いていた。ついでに、父も母もいない。朝から仕事だそうだ。付け加えると、それにセンマ以外の使用人はみんな両親について行って、現在家には誰もいないのだ。
「ですから、お嬢様が机の上に置きっ放しだからですよ」
「うぅ…。まあ、そうだけど」
まあ、いっか。……いや、よくないのか。
「どうします? 学校に行って怒られますか? それとも、学校に行かず怒られますか?」
「結局、怒られるじゃない…」
はあ…。と軽くため息をついた。
「どうしよ…。先生に怒られる…」
それだけは避けなければいけない。
「お嬢様」
「少し待って、考えてるから…」
裏口は……朝閉めた記憶がある。
なら、二階の窓は? ……だめだ。風が強いから閉めなければいけないと朝、メイド長から言われたことを思い出した。
「あー! もう! どうしよう!? センマ!」
「鍵ならここに。私の鍵がございます」
妙に澄ました顔が、妙に腹立たしい。私はなんのために考えてたのよ…。
「なぜもっと早く言わなかったの?」
「言おうとはしたのですが、少し待てと言われたので待っていました」
あー…そういえば言った。
「まあ、いいわ。開けて」
「かしこまりました」
ガチャリ、と大きな扉の鍵を開けて私とセンマはようやく家に帰ってこれた。