11-終末
センマを探しに行くと言って二時間以上が経過していた。病院が広いってのもあるだろうし、病院内を走れないってのもあると思うけれど、なによりセンマがどこにもいないというところが私が探し続けている理由ではないのだろうか。
「まったく…センマはどこに行ったのよ…」
言いたいことも話したいことも沢山ある。
「どこよ…?」
不安が押し寄せてくる。色んな不安だ。
そんな不安を振り払うように私は、また懸命に探し始める。
それから三十分くらい探して私はミナの部屋で寝そべっていた。
だって見つからないのだから。
「センマ…どこ…?」
ソファーの上で呟く。
「あれ? お嬢様? まだここに居るのですか?」
ガチャリ。とドアを開けて入ってきたのは、ここの部屋主であるミナであった。
「…ミナ」
「なんですか?」
「センマ知らない?」
「さっき会いましたよ」
「さっき会ったの……って、え?」
驚いた。
「どこで会ったのよ?」
「屋上ですけど。一緒に夕陽見てました…って、お嬢様!?」
ミナの呼び止めも聞かずに私は屋上へと急いで走りだしていた。
「センマ!」
屋上への扉を開けると同時にそう叫んだ。
「遅かったですね。お嬢様」
屋上に居た。ようやく会えた。
「…センマ!」
手すりに寄りかかって、落ち消えていく夕陽をバックにセンマは、微笑みを絶やさなかった。
「センマ! 探したのに…。私が分かるところに居なさいよ!」
「今後からはそうします」
「だいたい、私の近くに居ないなんて…。執事辞めたいのかと思ったじゃないの!」
「案外そうかもしれませんよ」
「や、やだやだ! センマじゃないと私の執事は務まらないもの。辞められたら困るわ」
「それはそうとお嬢様。頬に伝う涙を拭くなどしてください」
「べ、別に泣いてなんか無いんだから!」
「嘘です。泣きたい時は泣いた方がいいに決まってますよ」
センマの優しい表情に気が緩んだのか、はたまた突如として涙腺が破壊されたのか分からないけれど、さらに私は涙を流した。
「せんまあ…!」
怖かった。また、身近な人を失うみたいで。
それでも首を突っ込む自分が嫌だった。
「まったく。お嬢様は泣き虫ですね」
「違う…もん…ううっ…」
涙のせいで上手く言葉を発せらない。
「なら、もう帰りますか。ミナさんも連れて、誕生日のパーティをしないといけませんから」
そう言われ辺りを見回すと陽は、すっかりと落ち夜の静けさが私たちを包んでいた。
「それでは帰りましょうか」
センマに手を引かれ私たちは自分の家に帰っていく。
他人事症候群については、未だよく分からないけれど、今はそんなことよりも、ミナとセンマと共にパーティをしたかった。




