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魔法少女をぶっ倒せ!

魔法少女をぶっ倒せ!


 信が学校へと戻った時、ホームルームの終了を告げるチャイムが鳴り響く。行動を起こすには丁度いい時間だった。

 今日、この日。今からの行動に全てを賭け、魔法少女との因縁に蹴りをつける。そう、信は心に誓った。

 彼は靴置場を抜け、自分のクラスへと向かう。その途中、三階へと上がる階段で、担任の教師と顔を合わす。


「先生!!」


「お、星川。家に帰ったんじゃ……」


 彼の顔を見るや否や、信は頭を下げた。


「助けてください! 強力してほしいんです!」


 担任の教師は、彼の髪を見て驚愕した様子。その髪色は、数日前の黒一色に戻っていたからだ。

 もう染める意味はなくなってしまったが、この色に対する信の拘りは変わらない。周りと違っていることを恥じ、協調することを志す。間違えのように思えるが、彼にとってはこれが正しい答えだった。

 迷いなく、自分の道を進むことを決めた信。

 そんな彼の意志を理解したのか、教師は優しくほほ笑む。


「ようやく頼ってくれた。嬉しいよ」


 おそらくこの教師は、信が問題を抱えている事に気づいていたのだろう。そして、その力になるために、ずっと待っていたのかもしれない。彼の期待に応えるためにも、この計画を成功させなくてはならない。今の信は、もう一人で戦っているのではないのだから。

 信は今まで、自分が正しいという確証を持っていなかった。それが、これまでの行動を鈍らせてきたのだろう。だが、今は絶対的に正しい行いをしている。日比野蜜柑という一人の親友を救うための行動。それに間違いがあるはずがない。

 勇気があふれる。自らの行動に絶対的な自信を持てる。それが彼の強さとなった。





 教員の力を借りることに成功した信は、続いてテニス部のコートを訪れる。すでに部活は始まっており、部員たちは練習の準備を始めていた。

 その中から、彼は一人の少女を見つけ、声をかける。彼女は凛と同じクラスの生徒、C組の委員長だった。


「A組の委員長として、頼みがあるんだけど。協力してくれるか?」


 クラスからの信頼が厚い信でも、流石に他クラスの生徒を動かせる力は持っていない。C組の力を借りるには、彼女の力が必要不可欠だった。これから行う計画の中心となるのはC組。日比野蜜柑を救うのは、同じC組の生徒でなければ意味がない。それは、信の拘りでもあった。

 日ごろの行いもあり、信は他の委員長からも信頼されている。結果は当然、成功だ。


「話しを聞かせてよ。信さんの頼みなら答えるよ」


 これでC組を巻き込んでの計画に移れる。信は運動場へと戻り、部活中のC組生徒へと声をかけていった。後は、計画に加担してくれる生徒を集めればいい。すでに、C組の委員長や何人かの生徒は、彼と同じように生徒を誘いに出ている。そして、それらの行動は教員によって保障されていた。


「教員の許可は取った。委員長の協力も得た。後は野となれ山となれだ」


 信はただ忙しそうに、生徒たちに声をかけていく。沢山の協力、とにかく沢山の協力。それが何よりも必要だ。グランドのサッカー部、体育館のバスケ部、武道場の剣道部。とにかく全ての部活動に顔を出す。ここまでは順調だった。

 しかし校舎に戻り、文化部を訪れようとしていたときだ。彼にとって、想定外の事態が起きてしまう。それは、今最も出会いたくない人物との接触だった。


「シンくん、何やってるの……」


「……救済計画さ」


 信は苦笑いをしつつ、その人物に対し身構える。

 魔法少女である妹の凛。彼女を突破しなければ、目的を達成することは出来ない。今、彼が行おうとしている計画は、凛のクラスであるC組が中心となって行うものなのだから。

 凛は純粋な瞳を輝かせ、切実な表情で呼びかける。その姿は正しく、正義の味方だった。


「もうやめてよ……私が何とかするから、勝手なことはしないで! シンくんまであんなふうになったら私……」


 信は大きくため息をつき、目を閉じる。そして、何かを切り替えたかのように不敵な笑みをこぼした。 


「悪いが、止まるわけにはいかない」


「だったら、無理やり止めるよ。全部私が背負う」


 余裕な表情をする彼だが、実際は絶望的な状況だ。まさか、あんな事件があった後も、凛が自分と対峙するとは思わなかった。彼女の周りを巻き込まないという覚悟も本物なのだろう。

 信はただ、現状の打開策を考える。このまま力勝負になったら、まず勝ち目はない。その確信が彼にはあった。

 凛は運命に味方されている。たとえ、腕力で勝っていたとしても、何らかの奇跡が彼女を勝利に導く。そんな存在に勝ち目などあるはずがなかった。


「くそ……俺はまた負けるのか……」


 信はそう言葉をこぼす。ようやく自分のやるべきことが見つかった。日比野を救う術を手に入れた。それが、こんな所で終わってしまうのか。

 ここで負けたら、今までの策略も、覚悟も水泡と化す。父親や友人、ミミスケの激励に答えることも出来ないだろう。この危機的状況を打開しなくては、全てが終わりだ。

 信はただ考え続ける。それでも打開策は見つからない。どうしても、凛を超えることが出来なかった。

 妹を前にし、信は諦めかける。やはり、何の力もない自分では、何も切り開けはしなのかと――

 しかし、ここである奇跡が起きた。信と凛の間に割って入り、対立の邪魔をする少年こそがその奇跡だ。


「はっ! お二人さん、楽しそうじゃねーか」


 薄く染めた茶髪の問題児、宇佐見。最も奇跡という言葉が似合わない彼が、信にとっての希望となる。宇佐見は凛の前に立ち、信と対峙する彼女を阻害した。


「おいおい、我らが委員長が本気なんだぜ。邪魔すんじゃねーよ」


「シンくんの友達……何で邪魔するの?」


「はぁ? それはこっちの言いたい台詞だぜぇ。お前、自分の立場分かってんのか?」


 宇佐見の参入により、さらに騒ぎは大きくなる。周りには数人の人だかりができ、三人を囲んでいった。


「なに? 兄妹喧嘩? あの宇佐見が仲裁役?」


「妹さんが何かやらかしたんじゃない? 信くんが悪いはずないし」


 会話の中から聞こえる言葉は、信に加担するものばかり。普段の学校生活での行いが、この場面で生かされていた。


「てめえは、あのA組の委員長を敵に回してんだぜ。兄妹喧嘩かなんか知らねえがよ。たぶん、この学園の殆どが兄貴の味方だと思うぜぇ」


「……うう」


 自分は魔法少女として、世界の平和を守っている。クラスのみんなを助けるために、命を懸けて戦っている。それにも拘らず、いざ周りの意思を聞くと、自分と敵対する兄の味方。あまりにも理不尽で、報われない。おそらく彼女はそう思っているのだろう。

 しかし、それは根本から間違っていた。


「てめえ、この学園のために、クラスのために何かしたか? 俺のようなゴミ屑に関心を示したことがあるか? ねえのなら、てめえに勝ち目はねえよ」


 信頼を得るために、何も世界の平和を守る必要はない。信の地道な印象作りは、確実に浸透していた。

 凛の前に立ちふさがる宇佐見は、口に何かを咥える。それは彼の成長を表す一つの証明。禁煙用の電子煙草だった。


「行けよ。魔法少女を追ってんだろ?」


 宇佐見は甘い苺の臭いを漂わせ、煙に似た蒸気を吹く。この少年の中で、何が変わったかは分からない。しかし、宇佐見は魔法少女を追うように促してくれた。冗談かもしれない。からかいかもしれない。それでも、信はこの一言が嬉しくてたまらなかった。

 例え危機的状況でも、誠意をもって向き合えば周りが答えてくれる。そう彼は確信した。少年はその場に宇佐見を残し、凛を切り抜け、走り出す。


「ありがとう、宇佐見! 任せた!」


「え? ちょ……ちょっと!」


 何も知らない一般生徒の宇佐見に対し、魔法少女である自分は何をすればいいのか分からない。凛の心情はそんなところだろう。

 信の委員長としての使命が、巡り巡って大きな目的の達成のために生かされていた。

 無駄な事なんてない。今まで積み重ねた信頼が、友情が、この時のために動いてくれる。驚くほどに、何もかもが上手く噛み合っていく。今、全ての好機は彼の手にある。

 こうなった信は最強だ。魔法少女だろうが、運命だろうが、誰も彼を止めることは出来ない。今の信は間違いなく、世界最強の一般人だった。




  ★★★




 信は病院の通路を歩く、向かう先は日比野の病室。今の彼は自信に満ち溢れていた。

 時刻は六時を過ぎ、外は薄暗くなり始めている。隣には妹の凛、二人は日比野の病室へと足を踏み入れ、彼女のベッドへと歩く。そこで待っていたのは帽子で顔を隠す少女、望月だった。

 日比野を傷つけた罪悪感からか、単に凛との接触を期待していたのか、何にしても彼女はここにいる。信にとって、この状況はむしろ都合が良かった。

 凛はポケットに手を入れ、魔法のステッキを掴む。もっとも、今の状況で変身することは出来ないのだが。


「も……望月ちゃん……」


「桃色の星……これはどういう事なの……」


 望月はすぐにその異常な事態に気付く。それも当然だった。

 信の後ろには、凛のクラスメイトであるC組の全生徒が付いていた。病弱な転校生が入院している。同じクラスメイトとして見舞いには行くべき。そう触れ回り、病院にクラスメイトを集めたのだ。

 C組の委員長や教師陣。数々の協力を得て、信はこの状況を作り出した。短時間でそれを行えたのは、彼の人望あってのものだろう。

 以前として、魔法少女の存在を生徒たちに伝えることは出来ていない。しかし、魔法によって眠ったままの少女を広めることは出来た。これは大きな前進だ。

 だがそれだけではない。この行動は、日比野を救うための策略だった。


「間の悪い奴だな望月。監視のつもりらしいが、逃げるなら今の内だぞ?」


「理解不能ね……関係のない部外者を連れてきて、どういうつもり……」


 望月がそう言葉を返した瞬間、生徒の誰かが声を荒げた。


「関係なくない! 日比野さんは私たちのクラスメイト。無視なんてできないわ!」


「お前こそ誰だよ! 日比野さんに失礼だろ!」


 その部外者からの反論に、望月はただ呆然とするしかなかった。事件の当事者である彼女が、逆に蚊帳の外。とても面白い状況だ。

 望月が混乱すればするほど、信の機嫌は良くなる。彼は煽るように、笑みをこぼした。


「ははっ、アウェーだな望月。その顔が見たかったよ」


「くっ……」


 余計な事を喋れば、生徒達に非難される。望月には居づらい空気が、病室に立ち込めていた。

 全く行動の出来ない彼女は、小声で信に言葉をこぼす。


「……こんな事をしたって、何の意味もないわ」


「それはどうかな。もしかしたら、奇跡が起きるかもしれないだろ? 皆の思いが、目覚めない少女を救うって奇跡がさ!」


 奇跡という言葉を聞き、凛の表情が変わる。そんな都合の良いものが起きるはずがない。そう、信は彼女に言った。だが少年は今、奇跡を起こそうとしている。何の魔力も持っていない人間たちが、世界を守る魔法少女を救うという奇跡を――


「蜜柑! 目を開けろ! 友達が来てくれたぞ!!」


 彼に続くように、C組の生徒たちも叫ぶ。


「日比野さん! また学校に来てよ!」


「日比野!」


「日比野さん!!」


 クラス全体が一つになり、一人の少女に言葉を放つ。彼らの思いに誘発されたのか、凛も同じように名前を叫んだ。


「ミカンちゃん……!」


 こんな事で日比野を救えるのなら苦労はない。それこそ奇跡のようなものだ。

 だが、信は確信していた。奇跡は確実に起きる。それは計算に基づいた必然という奇跡。


「い……今動いた」


「動いたよな?」


 クラスメイトの数人が、日比野の変化に気づく。彼女はここ数日、眠ったまま微動すらしなかった。本来ならば、動くはずがない。

 だが、確かに少女の身に変化は起きていた。呼吸が大きくなり、顔色も先ほどより優れている。やがて日比野はその瞼を少しずつ広げていく。


「うう……」


「目を開けた! 俺たちの声が聞こえたんだ!!」


「早く! お医者さんを呼んで!」


 まるで呪いが解けたかのように、見る見るうちに生気が戻っていく。それは凛にとっても、望月にとっても、信じられない出来事だった。


「ミカンちゃん! ミカンちゃん!!」


「まさか……そんな……」


 涙を流し、喜ぶ凛。驚愕し、言葉に詰まる望月。今まさに、全ての中心は信という少年だ。この場を掌握した彼は、わざとらしく腕を広げ、棒読みで叫ぶ。


「皆の強い気持ちが、日比野の心に響いたんだ!! 奇跡は起きるんだ!!」


 その言葉により、場は一層盛り上がった。病院という場所にも拘らず、クラスメイトは声を張り上げていく。


「凄い!」


「奇跡だ! 奇跡だ!」


 本来ならば、この場で叫ぶのはマナー違反。だが、小さな事件が起きた今日ぐらいは、大目に見てほしい。そう、信は心の中で思った。

 日比野が目を覚ましたのは、望月の魔法が破られたからに他ならない。あまりにも呆気なく、彼女の魔法は破られた。それも、全く理屈の通っていない奇跡によるものだ。当然、本人は納得できないだろう。


「奇跡……そんな不確定なもので、破られたっていうの……」


 解せない様子の望月を無視し、信は日比野の枕元に近づく。それに気づいた少女は、弱々しくも彼の名前を呼ぶ。


「信……」


「ごめんな蜜柑。本当にごめん。俺はもう、絶対にお前を傷つけないから……」


 そんな少年の誓いを聞くと、日比野は小さく頷いた。そして、彼の頭に視線を向け、精いっぱいの笑顔で言う。


「髪……そっちの方が似合ってるわよ……」


 必死に涙を堪える信と、笑う日比野。そんな二人の様子を見た望月は、下唇を噛みしめる。そして、イラつくように病室を後にした。






 医者の検診もあり、信たちは病室の外へと出る。すでに部活の終了時間を超えており、外は真っ暗に染まっていた。

 C組の生徒たちは解散し、それぞれの自宅へと帰っていく。このまま病院に残ったところで、もう出来ることはなかった。

 そんな中、信と凛は病院のエントランスで、先ほどの奇跡について話す。あんな事件が起きた後だ。凛は少し興奮気味だった。


「凄いよ……本当に奇跡が起きるなんて!」


「奇跡じゃないよ」


 彼女の言葉を信は否定する。奇跡などというものは、そう簡単に起きるものではない。これは計算に基づいての結果だった。


「俺はミャーから教えてもらった。強い心は魔力を強くし、弱い心は魔力を弱める。だから、生きたいと強く願ったお前たちは無敵なんだよ。皆の声が蜜柑の心を強くし、逆にあのアウェーな環境が望月の心を弱めた。凄いのは俺じゃない。あいつらさ」


 彼は魔法少女が起こす奇跡すらも利用し、それを目的達成のために生かした。型破りの奇跡が起きるのなら、それも計算に入れておけばいい。何も難しい事ではなかったのだ。

 ただ、計画を実行するには、多くの人を動かす必要がある。それが出来たのは、信に人望と行動力があったからこそ。これで、彼が凄くないという方が無理な話だろう。


「ううん、シンくんは凄いよ。私はずっと、そんなシンくんを羨ましく思ってたから……」


「……は?」


 凛の言葉に信は唖然とした。彼女の言葉は、今まで信が抱いてきた感情を根本から覆す言葉なのだから。


「シンくんは何でも出来るし、友達もたくさんいる。皆の中心になっているシンくんが、本当に眩しかったんだ……」


 何てことはない。凛も兄に対し、嫉妬の感情を抱いていたのだ。

 二人は自分にない物を疎ましく思い、その輝きに目移りしていた。そして、お互いを尊敬し、高めあってきたのだ。


「そうだよな……自分に無いものを疎ましく思うのは当然だよな……」


 自分は神様に選ばれなかった。強大な魔力を持つ凛には、何一つ敵わない。そう、彼は思いこんでいた。しかし、事実は違う。凛には凛の特技が有り、信には信の特技がある。どちらかが劣っている事など決してなかった。

 信は謝罪する。今まで負けを認めるようで、決して出さなかったこの言葉。今なら躊躇することなく、言うことが出来る。


「今まで本当にごめん……俺、お前の気持ちを全く理解してなかった……」


「私こそ……私こそシンくんの……シンくんの……うあ……」


 信の謝罪を聞いた瞬間、凛の心の内にあった感情が涙となって流れ出す。


「大切な友達を……私……私……ごめ゛んなざぁい……! ごめ゛んなざぁい……!!」


 少年は呆れた様子で、号泣する彼女の肩を叩く。そして説教しつつも、慰めの言葉を投げた。


「女の子だろ、もっと綺麗に泣けよ。お前は俺を助けてくれたんだ。何も間違っていない」


「うう……」


 凛は間違っていない。彼女のおかげで、今の自分がいる。これは紛れもない事実だ。

 だが、自らの行いが過ちだとは思いたくはない。魔法少女の全てを肯定すれば、イルミネーターを切り捨てることになる。それはどうしても出来なかった。

 魔法少女は正しい、だが最善ではない。信が求めているのは、常に最善の一手。今すべきことはその一手、真実を追い求めることだ。


「俺たちは互いを理解しなかった。もう二度と、こんな事を繰り返しちゃいけない」


 今、敵対関係にある望月。信は彼女の言葉をまともに聞き入れていない。もっと、言葉の意味を考えなければならなかった。


「そうだ、望月も同じなんだ。あいつを理解できないまま、終わるなんて嫌だ。凛! 俺、戦うよ。あいつと決着をつける!」


 何も理解できないまま、何も知らないまま傷つけあってしまう。それでは全く成長していない。凛と争ってしまったあの時と同じだ。

 凛は袖で涙をぬぐうと、いつもと同じ笑顔を見せる。そして、拳を目の前に突き付け、はっきりと言葉を放つ。


「もう、巻き込まないなんて言わない。いっけーシンくん! 魔法少女をぶっ倒せ!」


「お前がそんなこと、言っていいのか?」


「これは魔法少女リンの言葉じゃない。信くんの双子の妹、星川凛からの言葉だよ!」


 ようやく、凛に認められた気がした。信の勇気はより強固なものとなる。ここまで来たのなら、後は進むのみだ。


「そうか、なら問題ないな! 行ってくる!」


 学校帰りの制服姿。真っ黒に染めた髪。そして、真っ直ぐ、決して折れることのない特殊警棒。準備は万全、いつでも戦える。

 信は病院の自動ドアをくぐり、外へと歩いていく。目指す場所は、だれにも邪魔されずに戦える場所だった。

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