461,双神と神子たち S
異世界召喚系 約束されしバッドエンド
まあ花園(R18シリーズ)ネタなので虐待ってまあアレ
・その国では、太陽と月の双神を信仰していた。そして、定期的に神子を立て、神の世話をする小間使いのようなものとして仕えさせた。神域と現世は理が異なる。神子を異界の者としないためには奉公期間は長くとも五年ほどに留めなければならなかった。また、神の力添えなしに人が神域と現世を無事に行き来することも難しい。
・双神は自らを信仰するものたちに加護を与えたが、自分たちに奉仕する神子には特によく加護を与えて帰した。神子としての奉公を終えて帰った者たちは以後の人生に恵まれた。故に神子になることを望むものが増えたが、巫女としての役目を果たさないものが選ばれるようにもなった。双神はそれを己への信仰心の欠如と捉え、加護をはく奪した。
・加護が薄れたことに気付いた神官たちは慌てて神子の選定基準を厳しくした。神に一生仕える覚悟のある者。神に嫁いだものと思って不帰を覚悟するもの。即ち、短期奉公ではなく死ぬまで神子を続けるということである。
・双神は、神子がそれを望むのであれば、と受け入れ、双神は一柱に一人ずつ、二人の神子がその死の度に新しいものが立てられることとなった。平均としておよそ2,30年。当時の人間の寿命と、神子に選ばれるのが15歳前後くらいであることを思えばそんなものという感じ。祭りの日に双神に連れられ神子が神域へ消え、死んだ年の祭りの日に死体が帰され、翌年新しい神子が捧げられる、というサイクルが完成した。加護は問題なく与えられるようになり、うまく回るようになった、と思われた。
・双神の降臨頻度が減るにつれて、神と正しく交信できる人間が減り始めた。また間隔があくにつれて神子についての正しい知識が神官たちの間から欠けはじめた。その結果、また神子の定義が揺らぎ始める。神に捧げられ、死体で帰って来るということから、生贄の一種だと捉えられるようになっていった。その為、神子に選ばれるものが身分の低いものに変わっていった。
・また神子に選ばれるまでは碌な教育も受けられていないものたちだったため、教育と称して虐待も同然のことが行われるようになった。心身ともにボロボロの状態で神子が捧げられるようになり、双神は心を痛めまた加護が薄まるようになった。加護の薄まりを神子への不満と取り、神子への虐待が余計酷くなった。また神域に連れて行ってもすぐ死んでしまうので、神子の選ぶ間隔も狭まっていった。そして、捧げられて連れて行く間もなく神子が死んでしまった時、完全に加護が失われた。
・年に一度生贄を捧げても加護が与えられなくなり、神官たちは国内に双神の望む贄がいないのだと考えた。敵国の人間を贄にした。駄目だった。同盟国の人間を贄にした。駄目だった。貴族の"いらない者"を贄にした。駄目だった。王の落とし種を贄にした。駄目だった。人間ではない動物を贄にした。駄目だった。
・そうして最終的に、神子に相応しい人間、と指定しての召喚を行った。召喚されたのは何も知らない、美しい少年少女だった。神官たちは二人に"教育"を行った。訳が分からないまま一年の虐待を受けて、二人は双神に捧げられた。双神は人間たちの私欲により故郷から引き離され心身を深く傷つけられた二人を深く憐れんだ。幸いにも、二人は神域に連れ帰られ、心身を回復させることができた。しかし、このような身勝手で異界への干渉が行われることを良しとせず、双神はその国を滅ぼした。曲がりなりにも己を信仰するものたちを失うことになるとわかっても。
・神子たちは虐待の影響で元の世界に帰してやることができない状態になっていた。故に双神たちは二人を己の子供のようなものとして引き取ることにした。死体を帰すこともできないレベルで神域に適応すれば、現世との縁は切れるが、寿命による死というものが実質的になくなる。そうなれば元が異界のものである二人はデミゴッドともいえるものになる。