433、鬼神と忌子 S
ファンタジーって言うか伝奇系?
「――おい、童子。何処から入り込んできた」
「ぴゃっ」
突然かけられた声に、子供は大袈裟なほどに躯を震わせた。
「…ここは、入ってはいけない場所だと親に言われなかったのか」
「…えっと、ごめんなさい。僕、此処は誰もいない場所だと思って…」
消え入りそうな声で子供は言う。
「…誰にも、会わないで済む場所を探してて…」
鬼神:神と祀られたもの。何処にも行けないように領主の館の地下に拘束されている。
角の生えた人外の存在なのは確かだが、自己認識は鬼ではない。元々、人を積極的に害す類ではない。性質は穏やか。基本的に人間に対する関心は薄いが、冷徹ではない。お人好し。嘘が吐けない。他者を騙せない。
・人に無関心でぶっきらぼうな態度を取るのは、情の厚さを自覚して、別離や仲違いを恐れているため。でもわりと面倒見が良いしチョロいし絆されやすい。お前そういうキャラじゃないんだよ…。
・武神の類なので、拘束されていては力を発揮できないはずなのだが、プラシーボで信仰心がアレしているだけで守り神として守護と招福をこなす神と認識されている。しいて言えば、武神の気配で小物は逃げるかも。
・人喰いはしない。人に対する恨みとかも、多分ない。でも、人の訪れない地下に幽閉されているので、いつか忘れ去られたらどうしよう的なことは思っている。相性の問題で自分で拘束を外すのはまず無理。
・己を人に忌避される存在だと認識しているのは、封印されるより前からのこと。封印で悪化した。
忌子:生まれつきの特異な外見で忌子とされた子供。領主の子の一人。
善良で気弱。家人含め周囲の人間に虐げられて育ったため、臆病。まともな教育を受けていないため、知識は少ないが、頭の回転そのものは悪くない。自信がない。気性は穏やかで、己が他者を加害するという発想がない。嘘が吐けない。
・人と顔を合わせると肉体的精神的な加害を受けることも多いため、誰にも会わないで済む場所を探している内に、鬼神が幽閉されている場所に辿り着いた。そもそも鬼神のことを何も知らない。祀られ封印されてるのもわからない。
・自覚はないが、高い霊力を持ち、歌声に霊力が乗り呪歌になる体質。学べば呪術も使えるはず。無意識に己の躯を癒し、心の傷を忘却することで己を守っている。意図してないので効果は薄いというか穏やか。
・初めて出会った自分を加害しない他者である鬼神にゆっくり懐いていく。そしてある日、鬼神に封印を解くことを頼まれ、了承する。それが何を引き起こすかは一切知らず、ただ、それがあなたの望みであるなら、と。
・鬼神の性格的に、少なくとも自分のために人を祟ることはしなさそうだが、忌子のために憤ることはありそう。でも忌子に復讐の発想がないからなー。連れ去って、プラセボ没落かなー。座敷童子のいなくなった家は没落する的な。
・忌子の迫害が世界観上の普通の出来事なら、余所に行ったところで忌子扱いから逃れられるとは限らんのだよな。鬼神という明らかな人外もいるし。まあ、鬼神を恐れて加害は減るかもだが。出会い次第かなー。
・忌子が呪術師、鬼神がその式神になるのがわりと標準的な√?傾倒依存コンボ極めそう…。
・まあ呪術師って一定の割合で一般人から忌まれる何かのある人間が含まれてそうではある。だからこそコミュニティがアレしそうな気もするけど。選民思想的なのとか。実力主義とか。権力争いとか。
・正直集団に迎合できるタイプかというとそうじゃない気もする。どうなんだろうな。積極的に壊していくタイプではないけど。
・ハッピーエンドというか、この二人にとっての幸福な結末ってどうなんだろうな。欲が薄いんだよな。ハードルが低すぎて逆にゴールの設定がしづらい。いっそ逃げて終わりでいいのでは。平穏に暮らしてほしい