408、メトシェラと神の愛 W
ファンタジー的なの
神は神王と約束を結びました。現世の楔がある限り、神が地上を滅ぼすことはしないと。メトシェラが健やかにある内は、神の愛が地上から失われることはないと。しかし、その代わり、メトシェラが失われた時には、一切の容赦をせずに地を滅ぼし、世界の再編を行うと。神王はそれを諾とし国の民に伝えたのです。地上から正しき信徒が失われた時がお前たちの滅びる時だと。
・メトシェラとは個人の名ではなく、称号のようなものである。身もふたもない言い方をすると、神が地上を残す必要があると判断するに足る価値ある人間。基本的には、心清らかで敬虔な使徒。例外もある。
・神王は正式には神官王。神の血を引き、神の声を聞く裁定者。元々神の血の方が濃いのと、契りの影響でほとんど常世の存在と化しているため、楔の役目は果たせない。契りのこともあり、メトシェラは一目でわかる。
・ぶっちゃけ神は地上を滅ぼす気満々。契約上、楔に直接手出しはしないしする気もないが、何かあったらそれを口実に滅ぼす。神王も正直、残す価値のない人間が大多数だとは思っている。王の務めとして止めただけ。
・メトシェラがいなくなれば地上が滅ぶことは国民に伝えられているが、具体的に誰がメトシェラと認められているのかは神と神王しか知らない。メトシェラが堕落すればメトシェラとしての資格を失うため。
・メトシェラは年々減少しており、生まれなくなれば、いる者が死に絶えた日が滅びの日である。
・メトシェラを殺して世界再編を行おうみたいなカルトもいる。お前らなんで地上が滅んだ後も自分は生き残ってるつもりでいるの???自分がノアになるとでも思ってるの???頭大丈夫???
・神はメトシェラの周りを重点的に見守っているので、メトシェラの周囲の人間が精神的に醜いと神の愛が目減りする。それも神王が具体的にメトシェラが誰か公表しない理由の一つ。
・メトシェラとはまた別の概念なのだが、愛し子と呼ばれる神に愛された人間もある。兼ねる場合もあるが、本質的には別。メトシェラは資格を失うことがあるが、愛し子は余程のことがない限りずっと愛されているため。神にとって、愛さずにはいられない人間が愛し子であり、目に入れても痛くないレベルの溺愛になることもある(が、本人にとってそれが幸せなこととも限らない)。神王曰く呪いみたいなもん。神曰く祝福された子。
・神の愛とは地上の恵みである。大概は物質的な幸福として人々に認識される。神の愛が行き渡ればそこは楽園となり、神の愛が失われれば苦界となる。砂漠は神の愛の喪われた地の行き着く姿と認識されており、ならず者のたまり場にもなりやすい。実際の因果的には微妙なライン。
・メトシェラは神に好感情を持たれている人間でもあるため、危害を加えられれば、神もいい気はしない。やっぱり神の愛が目減りする。虐げられるとか、その地を不毛の地にするレベル。悪循環じゃないですかねそれ。
・役目の関係上、メトシェラは他者の悪意に晒されやすい。だから滅ぼしたいんだけどね。
・神王はある意味既に死を超越している。地上が滅んでも多分死なない。でも生きてるのかっていうとそれも微妙なところ。国外に出られない。もうほとんど祀られる側みたいなもん。一応死んでない。ただ、民が死に絶えた時は王として死ぬ時だと考えている。具体的にどうするかはともかく。
・生まれた時は皆、メトシェラになる可能性を持っている。成長するにつれて資格を失うものが多い。大人になってからメトシェラになるものはまずいない。三つ子の魂百までっていうし。ありえないとまではいわないが。
・神とは創造神であり造物主。唯一神ではないので、神王の直接の血縁でもない。他の神は皆既に人を見限って裏側へ移っている。正直、すべての神に見放されれば、物理的に滅ぼされなくてもいずれ人は滅びるんじゃないかと思われる。そういう意味では、滅ぼすのも一種の慈悲みたいなもん。