376、ドラゴンとナイチンゲール S
ファンタジーだけど現実に近い感じの…伝奇系?
少女はきょとん、として首を傾げる。
「…いや、その何つーか…わからねぇ?」
青年は気まずそうに目を逸らす。鳥の様なさえずり声を漏らし、少女はまた首を傾げた。青年はあー、とか、うー、とか唸った後、頭をかいて言う。
「俺も男だから色々あるわけよ。生理的なアレとかさ」
わかったのかわからないのか、少女は素直に頷いてみせる。
ドラゴン:根なし草系の青年。ハンターとして怪異や怪物を退治する事で生計を立てている。
軽薄。自己中心的だが、通すべき筋は通す。すぐに手が出るタイプ。マイペース。
そこそこ女にモテる。顔はいい。腕っ節も強い。頭もそこそこ。欠点と言えば、酷い気分屋である事。約束は一応守るのだが。
小夜啼鳥の歌が好き。一応保護者という事になっているものの、放任気味。
時々見た目と年代の合わない言動をする。秘密主義とまでは言わないものの、自分の事をあまり他者に話そうとはしない。いい加減な嘘で煙に巻く事も多い。あまり一所に留まらない。
・その本性は頭の先から尾の先まで120mくらいはある大きなドラゴン。色々と好き勝手やっていたことで邪竜と呼ばれている。普段人の姿でいるのは、その方が小回りが利いて動きやすいからであって、正体を隠す為とかではない。というか、別に隠してない。人型から一部だけ竜に戻したりとかもできる。質量保存の法則は守られていない。
・歌が好きなのはもうドラゴンの特性に近く、小夜啼鳥をなんだかんだ邪険にしないのも、気が立った時に歌で宥めてくれるというのが大きいかもしれない。しかし、接し方に迷う事も多い。女扱いは何か出来ないが。
小夜啼鳥:ナイチンゲール。見目麗しく、十代半ばに達するかという位の美少女か美少年に見える。
素直。世間知らず。アホの子っぽい。純粋。無垢。マイペース。努力家。天然。
人の言葉を理解する事は出来るが、人の言葉を話す事は出来ない。普段は鳥のさえずりの様な声で話す。ただ、歌を歌う時だけは人の言葉らしきものを発する事が出来る。
音楽に関しては天才的な腕前を持っているが、それ以外はパッとしない。
ドラゴンにとても懐いていて、彼の後をついて歩きたがる。
・宝具級のアーティファクト。呪歌を謡う機械鳥。現在の姿は、最初の所有者たる王子の姿をへたくそに真似たもの。知る人が見れば面影はあるし、肉親?と思う程度には似ている。現在はドラゴンを己の所有者と認めている。
・精霊に近い存在であり、性別はないというのが正しい。ドラゴンが女好きなのでちょっと女よりの姿になっているだけ。実は馬鹿じゃない。
・ドラゴンがハンターとして討伐に向かう時は拠点として滞在する店(大体酒場と兼業した宿屋だが、娼館とかの時もある)に預けられる事が多い。そしてそこのお姉さんに色々吹きこまれる。現在の常識(らしきもの)もそうやって培われた。偶にバイトもする。
・完全に人の言葉を話せない訳ではないらしく、練習して己とドラゴンの名前、「好き」「ありがとう」「ごめんなさい」くらいは言えるようになった。
王様:傲慢なる絶対者。賢王ではあるが、独裁者気質。
気難しく見えるが、根本的な所は素直で純粋。癇癪持ち。独占欲が強い。意地の張り方が子供っぽい。が、王としては冷酷で合理的な判断も躊躇わない。余人には内心を伺い知れない。
本人の実力そのものは中の上、といった所だが、とかく"使う"という事に長けている。
・小夜啼鳥の本来の正当な所有者。幼い頃にその歌声に惚れ込んでおり、玉座と共に受け継ぐ時を楽しみにしていた。ら、小夜啼鳥の存在が彼を暴君にするという予言がなされ、取り上げられそうになったので賢王になる為の努力を開始する。そして正式に所有者になれるはずだった日に小夜啼鳥を奪われ、ブチ切れている。ある意味予言達成。
・小夜啼鳥の現在の姿を知らない。知ったらドラゴンを色々な意味で許さないと思われる。所有権の時点でアレだが。
・己の本心をさらけ出せる相手がいない。対等な相手もいない。立場上仕方ないとも言えるのだが…。本来であれば、小夜啼鳥が歴代の王の無聊の慰めと他愛のない会話の相手を務めていたのだが。