330、蒼き魔物 W
「アレは触れちゃならないものだったんだよ」
「だとしても、俺は此処で指をくわえて見てるなんてできない」
「アレは人を殺さない。だが、ある意味じゃ、殺してくれた方がマシだったかもな」
「何故だ」
「アレに喰われた奴は助からない。アレと同じ化け物になっちまうんだ」
・唐突に、何の脈絡もなく現れた怪物。際限なく人を喰らい、増殖していく。まともな人間では全く歯が立たない。退治する方法も全くわかっていない。弱点不明。能力もよくわからない。
・人の魂を喰らう。魂を喰われた者はやがて魔物に変化する。姿は一定ではない。共通点は蒼い瞳と、蒼い波動を纏っている事。そこから蒼き魔物と呼ばれている。影の様な黒い獣の姿をした個体が多い。稀に人型のものもいる。怪物的な姿をしているものが多い。
・知能がどの程度あるのかは不明。基本的に凶暴ではあるらしく、近づいて襲われない事は万に一つもない。人語は解すものもいるらしく、看板を読んで行動を変える事もある。
・銃器、火器、兵器類は尽く無効化する個体が多く、変態中から直後の不完全な個体でもなければ倒せない。そうやって退治た個体は灰になって砕け散る。死体は残らない。
・魔物を人類に与えられた罰と取る人間もいる。人間以外の生物はあまり積極的には襲わない。襲う可能性がないわけではない。積極性の話。
・個にして群、群にして個、であるらしく、全ての個体が繋がっている。一つの個体が攻撃を受けると、周囲の個体が次々集まって襲いかかってくる。但し攻撃と見做されなければそこまででもない。
・食べられた魂は一番最初に現れた個体の中に集められている。目的は不明。とりあえず、魂を喰わないと飢えて死ぬという事はない。そもそも飢える事があるのか、生物なのかも不明。
・何の意図も持たずに行動している、という事もないようで、軍の様に統制のとれた行動をとる群れもある。魔物同士の意思疎通も可能のようだが、方法は不明。非言語コミュニケーション。
・炎や雷などの自然現象を操る個体もいるが、基本的には肉弾戦闘と波動による中距離攻撃のみ。個体によって能力値にバラつきがあるが、最初の一体以外は万能ではない。
・最初の一体のみ自由に姿を変えられるが、他は変態後に姿を変える事は基本的に出来ない。ただ、質量は常に一定に保っているらしく、極端に大きさが変わる事はない。
・人語を話す個体は滅多にいないが、これは理解よりも体構造の影響が大きいようだ。
・大きいもので数百m、小さいものでも1m弱程の大きさ。移動速度は体の大きさと反比例の関係にあるらしく、大きな個体ほど鈍重になる。とはいえ、戦闘時は結構機敏に動く。
・恐らく、今の所天敵になる生物はない。そのためか、警戒心そのものはあまり高くない。
・この調子で増えていけば、10年も経たない内に人間は滅びると言われている。既に壊滅状態にある国や地域も幾つかある。地域差はそれなりの数存在している。
・一応個体ごとの意識の違いのようなものはあるらしく、仲間割れのような事を起こす事もある。しかし上位個体には逆らえないらしい。上位の個体ほど複雑な思考が可能となる。
・最初の一体以外は魂を失ったままで動いており、人だった頃とは異なる魂が入っていたりはしない。この為、魂を渇望して人を襲っているのだとする説もある。真偽不明。