201、魔弾の射手 S
中二病全開な感じで
「…やったか?」
「お前それフラグだ」
土煙の中で青い光が灯る。
「…拙い」
「退避しろ!」
土煙の中から現れた少女は感情の窺えない、青い光を宿した目で狙撃手のいた所を見る。歪んだ時計の文字盤の様なものが幾つも少女の周囲に展開されている。少女は歌う様に言葉を紡ぐ。
「…魔弾の弾は全部で五つ」
見えない撃鉄が上がり、少女の指に光が灯る。
「一つは貫き、二つは囲み、一つは暴れて、一つは欺く」
引き金が引かれ、五つの見えない弾丸が発射される。少女はそれを無感動に眺めていた。
少女:魔弾の射手。複数の異能を持つ能力者。
能力の発動中はチェレンコフ光を思わせる青い光を目から発する。その危険性からデーモンコアと呼ばれる事がある。
魔弾の射手は彼女の持つ全ての異能を組み合わせて作られた迎撃システムの名前であり、動かない的は1mm単位の精度で百発百中。動く的相手でも彼女が認識できる限りにおいては85%以上の命中率を誇る。因果律への干渉も起こせるらしく、確実に避けるためにはかなりの幸運値と認識阻害が必要。
能力制御を言葉と首から下げたアンティーク調の懐中時計で行っており、そのどちらかに異常が起こると能力の暴発が発生する可能性が出てくる。
持つ能力は攻撃的なものが多いが、戦闘の補助として発動するものもある。多様な能力を持つ割に治療系能力はない。しいて言えば、細胞の活性や小さな範囲の時を操作する能力を使えば傷を塞ぐ位の事は出来る。
能力発動中は無表情・無感動で機械的になるが、普段は見た目通りの普通の少女。争いを嫌い、どんな相手も憎む事が出来ないという精神的な歪みを抱えていた事から、多重人格を発症しており、能力発動時の人格は彼女の攻撃性の寄せ集めの様なものである。しかし、あくまで攻撃性であり、その行動に敵意を含まない。純然たる暴力であり好悪感情を抜きに相手を傷つける(物理)。自ら攻勢をかける事がない代わりに反撃はどんな事情も加味せず容赦なく行う。
デーモンコアと呼ばれ抹殺を狙われる原因となった己の異能を忌み嫌っているが、今となってはそれなしに生き残る事は出来ない事も理解しており、その事でまた精神に負荷がかかっている。生への執着は人並みかそれ以上にあり、死そのものを恐れるというより、己という存在が無為になるのを恐れている。が、争いを引き起こしてまで己が生き残る事に意味があるのかと常々自問自答しており、他者を傷つけなければ生きていけない事を息苦しく思っている。
異能とそれを効率よく運用・活用出来るだけの頭脳を持つ以外に大して個性を持たず、身体能力等も一般人の域を出ない。戦闘力も異能を抜きにすればか弱い少女でしかない。しかし、異能を使う時の戦闘力は少なくとも一個大隊を一人で撃退できる程度。そのポテンシャルは未だに底が見えないものの、様々な方面からかかる精神的な負荷により自滅に至る可能性もかなり高い。
悪感情を沈めて鬱屈させていく悪癖は異能が発現する以前からのものだが、人格の乖離を引き起こすまでは本人の自覚は薄かった。本人は他者に対して悪感情を持つ事自体を罪深い事と認識しており、他者を嫌うという感覚を理解できないという。