175、二重人格青年 S
「お控えなすって。あまり荒事にしたくありやせんので」
「なんだと?」
「そちらさんもウチと争いたくないと思ってるはずですがね?
「一樹、もういいぞ。戻ってこい」
「へい」
「しつけの悪い犬が多いようだ。坊がボロを出さない内に帰った方がよさそうだな」
「…ふぇ、ファーティがいない…ファーティどこー?」
「・・・(汗)」
「…まさかお前、和希か?」
「あ、りゅーのおにいちゃんだ」
「…一樹、お前もう取引の内容を忘れたのか?」
「――すいやせん、親父」
和希:主人格。
知能は天才ってレベルじゃない位高いのだが、精神年齢が著しく低く、幼稚園児並の言動をする。
普段は女装に近い服装をしている事が多いが、本人の趣味ではなく母親の趣味である。
純粋で人懐こいが、人を見る目は確かなのか、自分に危害を加える様な相手には近づかない。恐怖心というものを感じないのか、どんな強面巨躯が相手でも怯まない。
サヴァンというよりはギフテッドであるらしい。
母が選んだ服を着ていない時はファーティ(大きな黒犬のぬいぐるみ)が一緒じゃないとぐずる。一応仲のいい人が傍にいると一旦落ち着く。
女装に対して躊躇いが無いが、自分を女と思っている訳ではない。
一樹:第二人格。
和希がその天才性を抑える代わりに年相応の言動をできるようになっている状態。名前と服装をスイッチにして切り替わっているのだが、ある程度時間がたつとスイッチが切れて和希に戻ってしまう。
和希が懐いている人にしか従わない。独特の何か妙な時代がかった様な口調で話す。
変な所で世間知らずだが、基本的に真面目。マイペース。他人に興味がない為、覚えろと言われた相手以外自主的には覚えない。
・服が違う時にぐずるのは母親に捨てられたのではないかと不安になる為。マザコン。
・伯父との取引内容は一樹として己の才能を伯父の為に役立てる代わりに自分と母の生の保証をする事。
・カリスマ性は和希≧一樹>伯父。しかも指導者カリスマ。
杏音:和希の母。日本人とドイツ人のハーフで群雲の腹違いの妹。とある元ヒットマンに恋し、シングルマザーとして息子を生んだ。
和希の特殊性については気が付いているが、あまり気にしていない。
気が強く行動的だが、変な所で間が抜けている。可愛い服が好き。
群雲敦士:群雲組四代目組長であり、杏音の異母兄。
和希の才能を正しく見抜き、それを活用する為の方法を見つけ出して一樹と取引をした。
若い頃は荒れていたので狂犬呼ばわりされる事もあった。今は大分落ち着いているが、怒ると手がつけられなくなるのは変わらない。
一樹/和希に父と呼ばせているが、父親というわけではない。
・初恋は杏音の母。杏音に惚れているが上手く口説けないでいる。杏音に似た和希にはあまり強く出られないし素直に可愛がることもできない。
・初代ファーティ(ニューファンドランド♂)を和希に与えたのは祖父。初代が死んだ後に(杏音を通して)現在のファーティを与えたのは群雲。そもそもファーティが死んだ原因の一端が彼にあった為の罪滅ぼし的な面もある。
・和希のカリスマ性には気づいているが、彼の性質からして、上に立たせるよりも飼殺し状態にしておくのが一番だと考えている。