171、ワールドチューナー S
まあ、ピアノの調律のハンマーはハンマーって名前がついてるだけで叩く道具ではないんだけどな
「胡散臭いわね」
「…そんな事言われても…」
「そもそも、その調律師様とやらはどうやって此処の異変を察知してきたって言うの?」
「それは、まあ…妖精に呼ばれた、って言うか…」
「妖精に呼ばれた?あの傍迷惑な害獣に呼ばれたって聞いて、信用できると思うの?」
「あ、あはは…」
「とにかく、不審な行動したら、すぐしょっぴくからね」
「・・・(汗)」
調律師:妖精の血を引く青年。本職はピアノの調律だが、一族に課せられた役目として、"世界の調律"も行っている。
空間に干渉する能力を持つが、時に干渉する事は出来ない為、瞬間移動系の奇跡は使えない。その代わりに、空間を捻じ曲げて異なる地を繋げることはできる。
世界の調律の任は人外の存在に依頼される為、金銭的な意味ではただ働きだが、その対価として力を借りたり、物でお礼を貰ったりしている。
お人好しで、頼まれた事を断れない。寧ろ、断るという選択肢がなかなか浮かんでこない。人間の中では変人だけど多分善人、位で通っているが、人外(特に妖精類)には極度のお人好しとして名が知れている。
とはいえ、自分の実力をちゃんと自覚しているし、己を尊重しない訳ではないので無茶はしない。穏やかだが、強い信念を持ち、一本筋が通っている。でもやっぱりお人好し。
・役目の為の仕事道具は、自分の瞳と同じ色の宝石のはまったハンマーと音叉、楔など。戦闘になる事もある為、一般人より荒事に慣れている。
・工具を常に持ち歩いている。若干フェチが入っている。手入れが日課レベル。収集癖がある為か、出先に工具店があるとついつい立ち寄ってしまう。
・世界を形作るメロディが乱れた時にそれをチューニングするのが役目。空間に干渉する能力が無いとできない特殊職。青年は歴代で二番目か三番目ぐらいの能力精度を持つ。但し、容量自体はあまり大きくない為、チューニングの為には、どんなずれが起こっているのかをしっかり見極めなければならない。
歴代の中には、アバウトに範囲設定をして強引にやれるようなとんでもない人もいたらしい。それは規格外の例外にあたるのだが。
・メロディが乱れた時、災害や超常現象などが起こる。乱れる原因は人の使う魔術。魔術は大気中の精霊を使役して本来起こり得ない現象をも起こす事ができるが、様々な歪みを引き起こしてしまう可能性がある。
それぞれの歪みが小さくとも、それが集まる事で大きく複雑な歪みへと変化していってしまう。
・精霊に力を借りて奇跡を起こすのは精霊術と呼ぶ。自らのMPを差し出す事で力を借りると言うのが基本だが、MP以外を渡して力を借りることもできる。
・精霊の力を用いない奇跡は魔法と呼ばれる。個人の資質に依存する為、使える者は限られているし、万能ではない。
調律師の"世界の調律"も魔法の一種。他には、瞬間移動や時間旅行、時間遡行などの大技や、伝心や予見などのあまり目立たないものもある。
どんな人でも、一つくらいは魔法を持っているものだが、全く使えないものもいる。何でも使える、という事はありえない。回復系の魔法を持つ者はそこそこの人数になるが、よく必要とされている。