136、天界、地界、冥界 SS
世界観ネタ?
神は世界を作り出した後、其処に種をばらまいた。
天界に落ちた種は天に住むに相応しく、翼を持つ者になった。
冥界に落ちた種はその苛酷な地で生きるに相応しく逞しく角を持つ者になった。
神は自らを似た姿のものが生まれた事に満足し、暫く休むことにした。
翼を持つ者と角を持つ者は其々に仲間同士で増えていったが、ある時偶然が幾つも重なり、出会ったものが互いに恋をし、結ばれてしまった。
元は同じ種であったので、子供も生まれたが、その生まれた子は翼も角も持っていなかった。
目覚めた神は、第三の種が生まれていることに驚き、激昂して世界を引き裂いた。
そうして、天界と冥界の狭間の小さな世界、地界に持たざる者達を追放した。
神に祝福されなかった持たざる者達を、翼を持つ者達は憐れみ、角を持つ者達は厭った。
持たざる者達には、空をかけるための翼も、敵を引き裂く角も、神の祝福の賜物である魔法もなく、その生命力もそう強いものではなかった。
その為、神は持たざる者達はすぐに滅びるだろうと思っていた。
だが、持たざる者達はしたたかに、短い命を精一杯に燃やして生き続けた。
神は自らに課した制約として、その手で直接持たざる者の命を奪う事はしなかったが、過酷な試練を与え続けた。
持たざる者達はいつか神も自分達の存在を許してくれると信じて耐え続けた。
持たざる者達の親となった者たちは自らの子たちが苦しんでいる事に心を痛めていた。
そして、神がついに終焉の洪水を起こそうとした時、神を止める為に反旗を翻した。
その結果、多大な犠牲を出しながらも、神を異界へ封じることに成功した。
しかし、天・地・冥の三界は荒れ果ててしまっていた。
神が異界に封じられてから、千年の時が経った。
千年の時の内で三界は大分元の豊かさを取り戻していた。
三界の住民…特に寿命の短い持たざる者達は世代交代を繰り返し、神の事など、遠い過去の事と思っていた。
そんなある時、神を封じた時に失われた筈の、魔法を操る者が現れる。
魔法は神の力を借りて奇跡を起こすもの。すなわち、異界へ封じた筈の神が再びこの世界に現れたのではないか、と三界の住民たちは噂するようになった。
千年を異界で過ごした神は、自らの激情を募らせ、破壊神へとなり果てていた。
自らを封じたもの達を恨み、三界に終焉をもたらし、新たに世界を作りなおそうと決めた。
そして、恐らく幾つかの偶然が重なって自らと繋がった子に祝福と共に魔法を与え、自分の封印を解くことを求めた。
こうして、物語は動きだす。その行きつく先は世界の終焉か、それとも…