135、春風の魔術師 W
「…はあ」
「…お前さあ、ため息つく位ならちゃんと言い返せよな」
「…でも、事実だし…」
「お前、一応魔術師だろ?ちゃんと自信持てよ」
「そんな事言われても…魔術師と呼ばれるに相応しい実力があるって、自分でも思えないんだもん…」
「あのなぁ、そういう態度はお前を〝西風の魔術師"に選んだ老師に失礼だってこと、わかってるか?…まあ、それはあいつらもだけど」
「あー…ええと…」
「もっと胸を張れよ。選ばれたのは他の誰でもない、お前なんだから」
春風:今代の〝西風の魔術師"に選ばれた少年。
だが、攻撃魔術は苦手な為、"そよ風の魔術師"などと揶揄されている。
優しいが気弱で、人に気を使う性格。泣き虫。
友人:春風の友人。自身も"南東風の魔術師"である。
おおらかだが、冷静沈着で締める所はちゃんと締める。味音痴。
周囲には春風より上の実力と思われているが、否定している。
・四風の魔術師は上位と下位があり、上位は〝西風"、"北風"、〝南風"、〝東風"の四人で、〝東風"がリーダー。下位は〝北東風"、"南東風"、〝北西風"。〝南西風"の四人で、〝北西風"がリーダー。実力と適性を見て老師が選ぶ。それぞれ細かく言えば違う役目を持っているが、大まかに言えば国の守護を担う役目を持っている。
・"西風"は守護特化型の魔術師。また、癒しも担当する。"春風"とも言われる。
・"北風"は攻撃特化型の魔術師。矛であり弓。"狂風"とも言われる。
・"南風"は技術特化型の魔術師。情報の把握も役目。"旋風"とも言われる。
・"東風"は万能型の魔術師。他の三人の下位互換化することが多いが、偶にどれも優れている天才の時もある。"疾風"とも言われる。
・"北東風"はどちらかと言えば攻撃に優れた魔術師。"暴風"とも言われる。
・"南東風"はどちらかと言えば技術に優れた魔術師。"清風"とも言われる。
・"南西風"はサポートに優れた魔術師。"涼風"とも言われる。
・"北西風"は攻守に優れた魔術師。でも割と器用貧乏。"烈風"とも言われる。
・魔術師と書いてマーリンと呼ばれるのは特別な役職を担う者のみで、それ以外はウィザード(或いはウィッチ)と呼ばれる。また、一人前とみなされる前は魔法使いと呼ばれる。
・老師は魔術師の長に当たる存在。役職名なので、実際に老人であるとは限らないが、その性質上、若い人間が老師になる事は少ない。準老師と呼ばれる二人の補佐役がつく事が慣例となっている。基本として老師と議長は兼任できない。
・魔導議会と大議会という二つの議会があり、国を動かしている。魔導議会は魔術関連でしか権限を持たないが、魔術関連なら大議会よりも強い権限を持つ。大議会は日本でいう国会の様なもので、上院下院に別れている。立憲君主制で、王様はいるが、あまり出しゃばらない。半分飾りみたいなもの。




