115、迷い羊の子守唄 S
迷い羊の子守歌 ファンタジー的なの
昔々、とある王国に美しい王子がいました。どんなものも、彼の思いのまま、手に入らないものなど、ありはしませんでした。…ただひとつ、安らかな眠りの時間を覗いては。
王子は、生まれてこの方、眠った事がありませんでした。朝も昼も夜も、春も夏も秋も冬も、いつだってうたた寝すらした事がありませんでした。思いきり運動をして疲れても、眠りの魔法を使っても、よく眠れるという薬を使っても、眠るどころか、欠伸も出ませんでした。だから、王子は休む事が苦手でした。
王子:不眠症の王子。とはいえ、隈ができていたりはしない。美系。月の様な美貌、とうたわれる。見かけによらず大喰らい。痩せの大食い。傲岸不遜で傍若無人に見えるが、実は真面目でお人好し。目の前に困っている人がいれば助けたい。ツンデレる。夜が嫌い。何もしない事が苦手で、眠る事が出来ないので、休息を取る事が苦手で、ちょくちょく倒れる。気絶する事もある。眠れないのは何か呪いでもかかっているんじゃないかと言われている。割と民に慕われている。
・生まれた時に眠りの妖精が眠りの砂をかけようとして、その魂の輝きに見惚れて失敗したため、眠る事が出来なくなった。その砂は別の人に掛かって過眠状態になった。
迷い羊:羊の様な姿の妖精。素直で無邪気で騙されやすい。ある日唐突に王宮に降ってきた。好奇心旺盛で色々な事に首を突っ込みたがる。過去の記憶を失っているらしく、自分が妖精であるということ以外何も覚えていない。自分が何の妖精かも覚えていない。その事で不安がったりする様子を周囲に見せる事はないが…。歌う事が好きだが、その歌を聞いた相手を(王子以外)尽く安らかに眠らせてしまう。
・眠りの妖精。自分の仕事を失敗し、その所為で美しい魂を持つ者のその魂の輝きに陰りを与えてしまったとして、記憶と名を奪われて追放された。かの魂の輝きを取り戻せば帰る事が出来る。まあ、要するに王子がちゃんと眠れるようになれば帰れる。
・歌に眠りの砂を活性する力がある為に、歌うと眠らせてしまう。王子に効果がないのは、そもそも活性化する砂が彼にないから。一応眠りの妖精としての能力みたいなもの。
・名がない事で存在が不安定なので、何時消えてもおかしくない。大体王子の年と同じだけ世界中を彷徨っている。妖精として生まれてからの8割ぐらいになる。
・妖精:世の中の森羅万象に宿る力の具象した存在。基本的に人の目には見えないが、上位以上の妖精は人の前に姿を見せる事が出来る。姿は千差万別で、同じモノを司っていても級が違えば全く別の姿になったりする。でも、級が同じなら同じ姿という訳でもなく、個体差はある。人が魔法を使う場合、周囲の妖精に魔力を与えて使役する形を取る事が多い。基本的に単一の属性しかもたず、属性に偏っているが、最上位の妖精は全てを司る為、どの属性の事象も起こす事ができる。