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魅かれる翔。

たぶん、それから、だったんだと思う。凛が、職場に来た時、翔は、気付いていた。あの時の女性である事を・・・。でも、目の悪い凛は、何も、気付いていなかった。気が付いて欲しいと思いながら、自然に、目で追いかけていたと思う。平静を装いながら、気持ちは、凛に傾いていった。機会があれば、触れてしまいたいと思うのは、当たり前の事では、ないだろうか。一緒にいれば、意識するのは当たり前である。翔は、杏奈の視線を背中に感じながら、凛への思いを募らせていった。そして、あの瞬間が、訪れてしまった。

「あ・・・。ごめん。」

何も、考えてなかった。そこに、凛の顔があった。瞬間、凛に家庭があるとか、子供がいるとか、そんな事は、飛んでいた。ごく、自然に凛の唇を求めていた。そこから、凛に逢いたいと思いながら、普通とは、違う恋愛の苦悩が待ち受けていた。凛とは、一緒になれない。そう思いながらも、杏奈とは、別れる決心をすすめていた。杏奈の思いは、自分にとって、負担にしかならない。いつも、周りを気にし、顔色を伺って行動する。常に翔の行動を把握したがり、メールの返信が、すぐ来ない事で、不安定になった。「別れよう。」

何度目だろう。この別れ話は、翔は、考えた。杏奈は、翔との結婚を迫っていた。病気のせいで、早く子供を生む事をすすめられたらしい。だが、そんな事で、人生を決めたくなかった。まだ、やりたい事がたくさんあった。

「まだ、結婚はできない。」

「でも。早く、子供を作るようにって・・。」

「まだ・・。父親には、なれないよ。」

翔は、ため息をついた。杏奈は、可愛い。恋人でもある。だが、それ以上は、考えられなかった。付き合った先に、結婚があるとしたら、杏奈とは、別れるしかない。

「たぶん・・。」

言おうかどうか、翔は悩んだ。

「気になる人がいる。」

「誰?」

乾いた声だった。

「それは、言えない。」

杏奈の狂気が恐い。

「あの人なの?」

勘が鋭かった。

「違う。」

翔は、否定したが、その様子が、杏奈を確信させた。

「駄目。あの人は!翔は幸せになれない!」

そう言われて、翔は、感情が高ぶった。

「それは、お前には、関係ない!」

「嫌なの。翔。あの人だけは、嫌。」

「だから・・。違うって。」

「お願いだから・・。別れないで。翔・・。」

翔にすがりつく杏奈だった。

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