表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

凛との出逢い。

翔が初めて、凛と出逢ったのは、職場ではなかった。きっと、凛は、翔場で、案内された時と思っているかもしれない。何日か前に、翔と逢っていた。それは、二人の職場のあるビルの一階に入っている雑貨やであった。

「すいません。すいません。」

時間がないのか、レジで、あわてている声がした。翔は、丁度、休憩時間の合間をぬって、買い物に来ていた。アロマのデュフューザーを見ていた。

「すいません!」

目線は、翔を見ていた。

「レジ。お願いします!」

翔の腕にしがみついていた。

「時間がなくて・・。あのお迎えに時間が・・。」

叫びながら、翔をレジに誘導していた。

「違いますって。違いますよ。」

翔は、断った。確かに、翔は、店の制服を着ていたのだ、間違われても仕方がなかったが、その位、見分けがつきそうな、店だった。

「店員さんじゃないの?」

凛は、声をあげた。

「そうですよ・・。勘弁してください。」

「嘘!」

凛は、翔から、手を離した。

「ご・・。ごめんなさい!今日、コンタクトもしてなくて・・。」

あわてて、凛は、駆け出していた。

「ちょっと!」

購入しかけた物をレジに残して、凛は、店から駆け出していた。

「待って!」

翔が、追いかけようとすると、意外に凛は立ち止まり戻ってきた。

「あの・・。」

「はい?」

翔は意表をつかれた。

「あの・・。駐車料の小銭がなくて・・。それで、崩そうとしてたんですけど・・。」

「いくらなの?」

「えぇ?でも。あの・・。」

凛は慌ててた。

「今、すぐ・・。戻らないとなんです。車が・・。」

「車?」

「遮断機の前に・・。」

「えぇ?」

翔は、面食らった。慌てて一緒に駐車場まで、葉知る事になったのだが、目の悪い凛は、何一つ覚えてなかった。後から、いろいろ聞きたい事があると、思っていたが最後まで、聞く事はなかった。凛のしっかりしているようで、抜けている所が、翔は何よりも、愛おしかった。きっと、その時から、翔は、凛が、気になっていたのであろう。

「もう、何、考えているの?」

杏奈は、翔の心が、どこかに傾くのを察する力がある。別の事を考えるとすぐ、翔に声をかけた。

「何も・・。」

「そおかな?」

杏奈は、翔に腕を絡めてきた。

「こら!職場だぞ」

「いいじゃん。」

「ケジメつけろよ。」

「だって。」

杏奈のケジメのなさが苦痛だった。それが、なければ、その時の翔にとって、杏奈は、可愛い存在だった。

「あたしだけ、見てて。」

「わかってるよ。」

「うん。」

杏奈は、嬉しそうに、笑った。この笑顔も、凛の前では、氷つく事になる。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ