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ゼンマイ仕掛けのエデン〜AIに管理された楽園で、俺だけが『狂った歴史』を刻み始める〜  作者: beens
第5章 : 新しい天地創造編

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第7話:約束の虹

 銀の波がセトの足元にまで達した。

 セトは、震える手でリブラの傷ついた球体に触れた。

「……リブラ。……いや、相棒。……行ってこい。君の歌を、世界中に響かせてくれ」

 セトがクロノ・ギアの全出力をリブラに流し込んだ。

 まばゆい光とともに、リブラの球体が無数の琥珀色の破片となって弾けた。

 その破片は、銀色の洪水の中に吸い込まれていく。

 すると、無機質だった銀の世界に、劇的な変化が起きた。

 

 チッ、カチッ、チチッ——。

 洪水の中から、懐かしい時計の音が聞こえてきた。

 銀色の液体は、リブラが持っていた「迷い」や「愛おしさ」という感情のプログラムを取り込み、七色の光を放ちながら再結晶化を始めた。

 結晶化した人々が、ゆっくりと動き出す。

 無機質だった街の壁には、リブラの記憶にあった「不揃いで美しい花々」の紋様が浮き上がった。

 

 空を見上げれば、そこにはアウレアの偽物の空でも、アイアン・タウンの煤煙でもない、七色の輝きを放つ巨大な「虹」が架かっていた。

 それは、ナノマシンが空気中の水分と光に干渉し、人類に贈った「二度と強制的なリセットはしない」という誓いのサインであった。

「……終わったのか」

 ミリアが茫然と呟く。

 セトの手元には、ゼンマイが完全に切れたクロノ・ギアだけが残っていた。

 だが、ふと耳を澄ますと、風の音の中に、せせらぎの中に、そして人々の話し声の中に、リブラのあの少し照れたような笑い声が混じっている気がした。

「ああ。……いや、始まったんだ。……神様がいなくなって、AIが大地に溶けて、人間がようやく『人間』として生きていくための、最初の日が」

 セトは、止まった時計の竜頭を、再びゆっくりと回し始めた。

 

 ジリ……ジリ……。

 

 それは、誰に命じられたわけでもない。

 自分の意志で、自分の時間を刻むための、ささやかな、しかし偉大な一歩。

 

 虹の下で、人々は再び歩き出す。

 新しい世界は、もうそこにあった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

読者の皆様の応援のおかげで、ここまで書き進めることができています。

もし「次回作に期待してるぞ!」「応援してるぞ!」と思っていただけましたら、ぜひブックマークや、星での評価で応援をいただけないでしょうか。

皆様のポイントが、ランキングを駆け上がる原動力となります!

本当にありがとうございました。

明日のエピローグで、「ゼンマイ仕掛けのエデン」完結です!!

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