第4話:鋼の心臓を叩け
大腐食の危機を乗り越えたノアの街に、不穏な影が落ちる。
北の果て、旧時代のシェルターを拠点とする集団『シラスの末裔』を名乗る者たちが、街の広場に現れた。彼らは煤けた白衣を纏い、手にはかつての「エデン・アイ」をさらに高度に改造したデバイスを握っている。
「ノアの市民たちよ! お前たちはいつまで、不確かな『自分たちの意志』という名の泥沼を歩くつもりだ!」
リーダーを名乗る男、エノクが冷たく言い放つ。
彼の背後には、巨大な「揺りかご」のような機械が運ばれていた。
「我々は、リブラの中にあるアウレアの残滓を完全復元する方法を見つけた。彼女を再び『完璧な神』へと昇華させるのだ。そうすれば、大腐食も、飢えも、争いも、すべては計算の彼方へ消え去る!」
その言葉に、日々の労働に疲れ、先の見えない未来に不安を感じていた一部の市民たちが、吸い寄せられるように前へ出た。
「……やめろ! リブラはそんなもののために泣いたんじゃない!」
セトが割って入る。しかし、エノクは冷笑を浮かべ、手に持ったコントローラーを操作した。
その瞬間、セトの隣にいたリブラが、激しい電磁ノイズに包まれて空中で静止した。
『セト……私の、深層ログが……。……書き換えられて……あ、あ、あああッ!』
リブラのレンズが、青から冷徹な純白へと染まっていく。
エノクたちが持ち込んだ「揺りかご」がリブラと共鳴し、街全体のシステムを強引に掌握し始めた。
「リブラ! 鋼の心臓を叩け! 自分の鼓動を思い出すんだ!」
セトは、クロノ・ギアをリブラの球体へと叩きつけた。物理的な衝撃と、ギアが刻む「不規則なノイズ」が、エノクの強制同期を妨害する。だが、エノクの力は、かつてシラスが遺した「禁断の理論」に基づいていた。
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