2025年大晦日特別編
2025年12月31日-
ジョニー杉本の脳内に存在する楽屋にて、キャラクター達が集まっていた。
5~6人程の人数で一つの鍋を囲んでおり、それぞれが囲む鍋の中ではウインナーや餅巾着や大根といった具材が入れられたおでんが美味しそうな匂いを周囲に漂わせながらぐつぐつと煮えたっていた。
「う~…………よし、全員そろっているね」
脳内楽屋内にジョニー杉本作品のキャラクター達が全員そろっている事を確認し、『幻想冒険譚アーベントイアー』のトモノリ・ヨシザワはウーロン茶の入ったグラスを片手に立ち上がる。
「………はい、それじゃあ皆!今年もお疲れ様でした!かんぱーい!!」
『かんぱーい!!』
トモノリが乾杯の音頭を取り、ジョニー杉本キャラクター達のおでんパーティー忘年会が開始されたのだった。
「………はっ。『お疲れ様』たって、この2、3年は『図のない図鑑』組しか出番が無いじゃねぇーかよ」
『マスター、それは言わないお約束ですよ?』
『ヒーローヴァース』のシルバースレイヤー/氷山リクがウーロン茶を飲みながら愚痴をこぼすと、彼の専用マシンであるブレイブスターがそれを嗜める。
ブレイブスターはバイクでありながらウーロン茶のペットボトルを器用に持ち、リクのグラスへとウーロン茶を丁寧に注いでいた。
「まぁ、リクの気持ちも分からないでもない………だがな、作者も正式に仕事につき、かつてのように早々『趣味にだけ傾けられる時間』も限りができてしまったんだ。作者の奴はあくまでも『趣味』として『俺たちの話』を書いているんだ。少しは多めに見てやったらどうだ?」
「そうは言ってもよ~」
ナハトリッター/剣正一がメタメタしい発言でリクを嗜めたが、リクは納得のいかない様子で餃子巻きを口にする。
「いやぁ~♪本当に今年は最高だったね~♪」
ヒーローヴァース組が不満たらたらな一方で、『怪盗ナイトオウル』のナイトオウルは上機嫌で大ジョッキのビールを飲んでいた。
「ほぇ~…………ずいぶん気分良いんだね、ナイトオウルさん」
「ん~?当たり前じゃあないか~」
『図のない図鑑』・『異世界キャラクターシート 勇者編』の水篠 由亜からの問いかけに、ナイトオウルは締まりの無い笑みを浮かべる。
「何しろ、今年は僕の作品が毎日毎日毎日『[累計]アクション〔文芸〕 - 短編』で81位をキープしていたからね~♪他の作品の人達には悪いけど、上機嫌にもなるってもんさ♪そうだろ皆?」
『イッエーイ!!』
「へぇ~」
由亜に返答しながら、ナイトオウルは大ジョッキのビールを自分の喉に流し込む。
見れば、ナイトオウルと同じおでん鍋を囲むロールシャッハを初めとするナイトオウルの仲間達も、上機嫌でビールやおでんを口にしていた。
「へっ………何が『[累計]アクション〔文芸〕 - 短編で81位』だよ」
上機嫌なナイトオウル一味を尻目に、『図のない図鑑』・『異世界キャラクターシート 勇者編』の坂本 竜也はよく出汁を吸って茶色になっている大根をハフハフと食べていた。
「俺達なんか、『42,372PV』を記録してんだぜ!他の奴らなんかより、よっぽど大勢に見られてるんだ!累計ランキングの81位なんか目じゃねぇーっての!!」
竜也は誇らしげに胸を張りながら、ウインナーを頬張る。が………
「………でも、別に『私達だけの成果』って訳でも無いけどね。私達のは『キャラ設定集』で、私達とは世界観が全然違う人達もいっぱいいるしね」
「………うぶっ!ガハガハッ!?」
優雅にワインを飲んでいたシュテラ・アステリート・フォン・エーレンライヒに痛いところを突かれてしまい、竜也は口にしていたおでんを吹き出してしまい、咳き込んでしまった。
「やだもぉ!汚いわねぇ」
「お前な~………咳き込むなら床の方に顔を向けろよ。俺らの皿につばが入るだろ」
「お、お前らなぉ………」
フレデリカ・エレーヌ・フランソワーズと桂 小太郎から辛辣な言葉をかけられ、竜也が恨めしげに二人を見た。
「……………………」ガツガツ
「……………………」ハフハフ
その一方、オガリ・カプゥと望月 星夜は仲間達の会話に混ざる事なく、一心不乱におでんを食べ続けていた。
「はい、イブ♡あ~ん♡」
「あ~………」
『フランケン『が』嫁』の布良木 研一は、周りの喧騒等目に入らぬかのように、自身の『嫁』である人造人間・イブにおでんを食べさせていた。
「………あふあふっ!」
「あ~!大丈夫、イブ?熱いから気をつけて?」
「あむ~」
熱々のおでんを口にして慌てふためくイブをなだめながら、研一はイブの口元を優しくティッシュペーパーで拭き、イブの方も赤ん坊のように研一に甘えていた。
「………はぁ~、皆うらやましいなぁ」
周囲の喧騒を眺めながら、『ヒーローヴァース』の陽光戦士サンフェニックスこと出向井 文哉は深いため息をついた。
「ランキング入りしたり、PVがたくさん付いたりさぁ…………僕なんか、未だに続きの話が投稿されないのにさぁ………ううう」
暖かいおでんを食べながら、文哉は悲しげに涙を流していた。
「あ、あのね文君、何も泣かなくても………」
『ピュイ~………』
「うううううう」
蓬つかさとライトニングバードが文哉を慰めるが、文哉の涙は途切れる事はなかった。
「文哉君、気持ちは分かるけど、場の空気はちゃんと読んだ方が良いよ?」
「そうそう、出番が無いのは君だけに限った話じゃあないしさ」
泣き続ける文哉に『チャンピオン・オブ・モンスターズ』の芹沢 優助と『幻想冒険譚アーベントイアー』のトモノリ・ヨシザワが声をかけてきた。
「………なんだよ、優助君やトモノリさんまで!?二人だって全然話が進んでないじゃないのさ!!?」
「ちょ、文君!どーどー」
今にも優助やトモノリに飛びかかりそうな文哉を、つかさは必死で止める。
「まあまあ落ち着きなよ。君の気持ちはよく分かるよ?でもさぁ……君や僕らはまだ『良い方』なんだよ?」
『えっ?』
トモノリの『まだ良い方』という言葉の意味が分からず、文哉とつかさは首をかしげる。
「そうそう………あれを見なよ、あれを」
優助が脳内楽屋内の隅っこの指差し、文哉とつかさはそちらに視線を向ける。
『………………』
そこでは、黒いローブに身を包み、フードを目深に被った一団が静かにおでんを食べていたのだ。
「えっと………あれって………」
「作者さんが『設定やら何やら考えたけど、まだ話だとか思い付いてない作品』のキャラ達だよ。まだ話が完成してなくて『投稿』も『公開』もしてないから、ああやって隅っこに追いやられているんだよ」
「…………」
優助からの説明を聞き、文哉は再び楽屋の隅っこに追いやられている『未発表作品』のキャラ達を見る。
暗いとか卑屈といったレベルを通り越して『諦め』にも近い彼らの姿を眺めていると、トモノリの言葉の意味が身に染みるように理解できていく………ような気がしてきた。
「…………ね?『未発表』な彼らに比べたら、僕らは『まだマシな部類』でしょ?」
「…………はい」
再びトモノリの言葉を受けると、文哉は居住いを正しておでんを食べ始めたのだった。
『あーあー………皆!ボクの話を聞いて!』
「キュピー!」
『チャンピオン・オブ・モンスターズ』の山根 笑子とそのパートナー怪獣である天空の怪獣女神 ファルラ』の子供『リトルファルラ』(ニックネーム:ファルファル)が額に鉢巻きを巻いて立ち上がる。
笑子の手には拡声器が握られ、隣に立つリトルファルラは『ジョニー先生転職して!』と書かれた幟旗を持っていた。
『何故ボクらの作品の投稿数は増えないのか!?それは作者であるジョニー先生が平日は真面目に働いていて、作品を書く時間が無いからなんだ!』
「キュピー!」
『この状況を打開するにはどうすれば良いのか?ボクは考えた!ジョニー先生には今の仕事を辞めてもらい、在宅ワークかコンビニバイトに転職してもらうしかないと思うんだよ!!』
「キュピピィ!!」
『もっと僕らの作品をたくさん書いてもらう為にも!ジョニー先生には自由な時間が多い仕事に転職してもらうしかない!!さぁみんな!一緒に叫ぼう!ジョニー先生転職して!!ジョニー先生転職して!!』
「キュピピピィ!!」
笑子とリトルファルラは駅前で演説する政治団体のように自分達の主張を叫ぶ。
しかし…………
「はいはい。そういうのは別の所でやってね」
「おら、早く向こうに行けって」
『あっ!ちょっと邪魔しないでよ!?これはボク達全員の出番の為なんだから!?』
「キュピッ!?キュピピィッ!?」
『X-サイボーグ-見張りを見張る者-』のX-9th/朱雀キョウジとX-4th/アルベルト・エミヤによって取り押さえられ、笑子とリトルファルラはそのまま脳内楽屋から退場させられたのだった。
「笑子ちゃん………いくら出番無いからって、あれはさぁ…………」
「無視だ無視!ほら、おでんが冷めちゃいますよ!」
笑子同様『チャンピオン・オブ・モンスターズ』の登場人物である松宮カナエは連行されていく笑子の姿を眺めながら苦笑いを浮かべ、尾形 秀一は我関せずとばかりにおでんをかっ食らうのだった。
「ハハハ。笑子ちゃんも中々やるね~」
その一方、三枝 真希はカルピスで喉を潤しながら、脳内楽屋から強制退場させられる笑子の姿を見ていた。
そんな真希の周囲には………
「ふむ、まぁあの嬢ちゃんの気持ちも分からんでもないが………あまり急をせいてはろくな事にならん」
「お~、良い事言うね帽子さん」
『アーベントイアー』の意思持つ帽子のフート爺………
「……あつっ!?」
「あーあー!もう少し落ち着いて食べないと食べないとダメだよ~?」
『図のない図鑑』・『異世界キャラクターシート 現地人編(第1部)』のロボ……
「zzz………」
『X-サイボーグ-見張りを見張る者-』のX-1st/リーシャ・フルスキー………
「………あづ~!!溶けるぅ~!!?」
「ちょ、ちょっと!?『雪だるま』なんだから、無理におでんなんか食べなくて良いんだよ!?」
『雪だるまの雪乃丈』の雪乃丈、等々………が集まり、一つのおでん鍋を囲んでいた。
その様子はまるで『家族団欒』の図だった。
来年も良い年になりますように。
良いお年を。
感想/リアクション、よろしくお願いいたしますm(_ _)m
来年もジョニー杉本作品をよろしくお願いいたしますm(_ _)m




