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逆襲  作者: 甲斐田誠
3/8

散りはじめた火花

神室町の夜は、いつもより重苦しかった。


1週間前、桐生と別れた大吾は、酒を断つこともなく、

公園の滑り台で子供たちに囲まれながら独り、無邪気に座っていた。

子供たちは最初驚き、すぐに大吾の存在を消そうと大騒ぎしている。


――だが、街では別の嵐が起きていた。


夜、神室町の東城会系列の組が入ったビルの前に駐車していた車が、

5箇所連続して、次々と爆発した。


炎と煙が立ち上り、街灯の光を赤く染める。

逃げ惑う人々。警察も、まだ現場に到着できず、

ただ街は破壊の匂いで満ちていた。


桐生は、新聞を見つめながら、

眉をひそめる。


「……始まったか」


頭の中では、あの“プラスチック爆弾”のことが甦る。

誰かが動いた。しかも計画的だ。

対象は東城会関連――つまり、街を揺るがす事件の始まりに違いない。


一方、大吾は、公園の滑り台の上で、

子供たちに向かって笑っていた。

子供たちは無表情。

炎や爆発、街の騒ぎとは無縁のように。


だがその目は、わずかに緊張を帯びていた。

本能が、街で起きている異変を感じ取っていたからだ。


滑り台の上の笑顔と、街の爆炎。

神室町の夜は、静かに、しかし確実に、

大きな嵐の前触れを告げていた。

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