表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/36

影の防壁

影の壁は、生き物のように形を変え、三人を飲み込もうと迫ってくる。

黒い靄が絡みつくたび、体温が奪われ、骨の芯まで冷たさが染み込むようだ。

シャムスは右手の銃を連射しながら、左手で剣を構えるクレメンタインの動きを援護した。

しかし、弾丸は影をすり抜け、わずかに形を崩すだけ。

銃声が木霊し、硝煙の匂いが霧の中で広がる。


「シャムス、右!」


クレメンタインの声と同時に、右側の影が爪のような形に変わって襲いかかる。

シャムスは咄嗟に体をひねり、銃口を押し付けて撃ち抜いた。

だが反動と衝撃で右肩に激痛が走る。古傷が開いたのか、熱い感覚が服の内側を濡らした。


「っ……問題ない!」


そう言い放つも、額には冷や汗が滲む。

背後ではリナナがナイフを胸に抱え、必死に二人の背を追っている。

その目は恐怖と、何かを決意した光で揺れていた。

クレメンタインが正面を切り開くが、壁はすぐに閉じる。

まるで彼女たちの攻撃を学習しているかのように、動きが鋭くなる。


「核まで……持たせねぇ気か」


シャムスは奥に揺れる黒い球体を見据える。

脈動の間隔が早まっている。

──時間が経つほど、影は強くなる。


「行くぞ!」


痛みを押し殺し、シャムスは影の群れに飛び込んだ。

銃声と金属音が重なり、森の静けさを切り裂く。

しかし次の瞬間、左脇腹に焼け付くような衝撃。

視界がぐらりと揺れる。

影の爪が深く抉り、温かい血が溢れ出す。


「シャムス!」


クレメンタインの叫びが耳を打つ。


「まだ……終わっちゃいねぇ!」


ふらつく足で踏み込み、銃口を核の方向へ向けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ