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幼馴染と店番

 突然ポーション屋の前に現れ幼馴染のシューバを王都に連れ帰ろうと暴れ始めたハルバという名の男。


 赤の他人だと言い張ったシューバが店に帰ったあと、俺はその男をなるべく店から遠ざけるため村の酒場へと連れてきた。


 村の皆が祭りの準備をしてる中あのまま店の前で騒がれたら困るからな……。

 とはいえ酒場は満席、俺たち二人は外で立ち飲みするしかなかった。

「で? わざわざ俺にシューバの過去を話してどうするつもりだ?」


「分かるだろ? あいつに王都に戻ってナターレに会うようあんたからも言ってくれよ」


「断る」


「即答かよ!」


「あのなぁ、幼馴染のお前で無理なのに出会って一か月くらいしか経ってない俺が説得できるわけないだろ~」


「それは逆だ! さっきもそうだったけど俺はあいつの幼馴染で冒険者仲間だからそもそも取り合ってもらえない……でもあんたなら、会って間もないあんたの客観的な意見になら少しは耳を貸してくれるかもしれないだろ?」


 店から遠ざけるためとはいえ、話をしやすい酒場を選んだのは失敗だったな……。


「ハッキリ言わせてもらう、俺をお前らの問題に巻き込まないでくれ」


「はぁ!? さっき俺をぶん投げた時は店番だあーだこーだ言って首ツッコんできてただろーが!」

 俺の台詞が気に障ったのかハルバは右手に持っていたジョッキを振り下ろして大声をあげた。


「変人から店を守るのは店番の立派な仕事だからな。でも店主の過去に干渉するのは店番の仕事じゃない。誰しも話したくない秘密はある……俺だってそうだ。シューバは山で助けた俺に対して、どこの誰なのか今まで一度も聞いてきたことがない。だからシューバにも何かしら事情がある気はしてたが、お互いそういう話題は避けるっていうのが俺とシューバの間では暗黙のルールなんだよ」


 もたれていた柱から離れて通りがかった店員にジョッキとお代を渡し、酒場を離れながらハルバに念を押す。


「もう一度言うが、俺をお前らの——いや、お前ひとりのお節介に巻き込むな。シューバがこの村で静かにポーション屋をやってる今、俺がお前に協力する理由は何一つない。じゃぁな、祭りを楽しんだらとっとと帰れよ」


「分かった…………じゃぁあんたたちが降参するまで、俺はこれから毎日、死ぬまであの店に通ってやるからな……!!」


 俺はハルバのその台詞に理解が追いつかず思わず足を止めて振り返った。

「……は? お前やめろよ……!? 来たら蹴り飛ばすからな!?」


 腰を落としジョッキを握りしめる彼の顔はあまりにも狂気に満ちていた。

「おぉ~好きにしてくれ。元々前線張ってた冒険者だ、ちょっとやそっと蹴り飛ばされたくらいじゃ死んだりしない。次の日にはまた俺の顔を拝むことになるだろうな……!」


 こいつはやっぱりシューバの幼馴染を装ったただの変人かもしれない。


 今からでも山に連れて行って埋めてやろうか……。

 ~~鱗のお兄さんからひとこと~~


『王都を出たシューバを探すため旅をしていたハルバは現在冒険者ではなくハンターで、旅の途中で狩った魔物の素材を村や町で売り路銀を稼いでいる』

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