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ある俳優の打ち上げ(後編)

まず更新が遅れたことに対して謝罪を。

本当にすいませんm(_ _)m


それと日間ランキングの1位獲得の感謝を。

本当にありがとうございますm(_ _)m


「はいっ?」

後ろから名前を呼ばれたことに反射的にという感じで彼は振り返る。

そこにはスラリとした身長で均整の取れた顔立ちの柊アオトがいた。

なっ、ま、マジで柊アオトじゃねえか……。


「えっ!? ほ、ホントに柊アオト! ホンモノ!?」

「え、ええ、はい」

その事実が分かれば先の悪くなった空気が一転、亜美ちゃんは露骨に食いつく。


「す、すげぇ、生の芸能人初めて見た」

俺だって生の芸能人だっつーの! 初めてどころか今真横ににいるだろうが!

正樹の発言に思わず心を掻き乱される。


い、いや、お、落ち着け俺……。

こんな無名俳優が一人来たからってどうって事ねえっしょ。どうせ同じ店でも違う席に座るんだから、すぐに話の話題から外れるに決まってる。

そうなれば直ぐに有名俳優の俺の話題が回ってくるはず。


「せっかくだから一緒に座りましょうよ! ねっ?」

亜美ちゃんは半ば強引に柊アオトの腕を引き、席に座るように促す。

な!? 余計なことすんじゃねえよ!


「い、いやでも、一応これから人と合流する予定で――」

そうだそうだ! とっとと違う席行っちまえ! なんなら店から出ろ!

柊アオトがここに座ってしまえば酒の席での話題を独占される。

それだけは避けねばと思い、念を送る。

中心にいるのは俺一人で十分なんだよ!


「じゃあその人と合流するまででいいからさっ! お願いっ!」

しかし俺の願いに反して亜美ちゃんは引き下がらない。

おいっ、黙ってろよ!


「……ま、まあ、それなら」

クソッ!

亜美ちゃんが余計なこと言うから柊アオトも頷くしかなくなってしまった。


「えっ、いいんですか!?」

「しばらく連れは来ないと思いますし、僕なんかでよければ相席させてください」

裕也の確認に対して、柊アオトは快く了承する。

チッ、スカしたツラしやがって……! へりくだって謙虚振ってんじゃねーよ!

——と、お、落ち着け俺……。冷静沈着な俺が慌てるなんてらしくねえぜ。

ま、まあ、どうせそんなことでしか女の子の気引けないんっしょw

俺みたいな見た目だけでモテるやつには不要な気遣いだなww


由奈「(アオトさんカッコいい♡‬)」‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬‬

亜美「(どっかのナルシスト俳優とは大違いだわー)」


「じゃあほらっ、座って座って」

亜美ちゃんは1度席を立ち柊アオトを由奈ちゃんの隣に押し込んでから自分もさり気なく隣に座る。

柊アオトは自身の配置に若干の小恥ずかしさを覚えている様子だった。

途中から来た分際で両手に花とはいい身分じゃねえか。

つくづくイケすかねえ野郎だ。

余裕を持とうと心がけるも内心ではやはり不快でしょうがない。


「柊さんって、俳優のお仕事色々やられてるんですよね?」

「タメ口で構いませんよ。僕の方が年下だと思いますし」

「えっ、俺らより年下? てっきり同じか少し上くらいだと思ってた」

「私もー、すっごく大人っぽい感じだし」


こいつらの言う通り柊アオトは確かに大人びて見える。

彼が年下であることを打ち明けていなければ年上だと勘違いしていただろうな。

 

「全然見えねえわ。やっぱりそう見えるように化粧とかしてるの? メンズコスメってやつ?」

「いえ、特にそういうのは」

「うっそ、マジ!?」

 なっ、なんもしてねえでその面なのかよ!?

 俺は毎日化粧もスキンケアもしてるってのに……!?

 

「やっぱりそういうのはした方がいいんですかね? 自分美容とかそういうのにはあんまり詳しく——」

「ぜ、全然必要ないと思います! 柊さんはそのままでも十分カッコイイって言うか、取り繕う必要とか全然ないというか、もう存在自体が神って言うか! そ、その素でとにかくイケメンです!! なんも関わりない私が何言ってんだって感じかもしれないですけど性格もそれ以上にイケメンだと思いますし! そ、それに——」

「ちょっと由奈。一旦落ち着いて」

 感極まり過ぎて若干支離滅裂な誉め言葉を言っていたことに今更気が付いたのか、由奈ちゃんは顔を真っ赤にして口を閉じる。


「ごめんね~、柊くん。この子ってば君の大ファンでさ」

「ほ、本当にすいません。つい暴走しちゃう癖があって。こういうの本当に気持ち悪いですよね……」

 恥ずかしさのあまり自虐的になる由奈ちゃん。

 まあこういうキモオタみたいなところは直すべきだよねぇw

 寛大な俺だって引き気味だし当然柊アオトだって——。


「いえ、そんなことないですよ」

 俺と同じはずと思ったのだが、彼はすぐさま由奈ちゃんの言葉を否定する。


「自分のことを褒めてもらって嬉しいと感じることはあっても気持ち悪いだなんて感じることはありません。実際僕はそう言っていただけてとても嬉しかったですから。……それに、そうやって誰かのことを真っ直ぐに褒められることは誰にでもできることではないです。僕は素敵なことだと思いますよ」

 柊アオトは爽やかな笑顔でそう言って見せた。


亜美「(いくらなんでも格好良すぎでしょ!?)」

由奈「(わ、私もう死んでもいい……)」


ちぃっ! 偽善者ぶってんじゃねえぞ!

好感度あげようと必死なのが見え見えなんだよボケが!

そのいけ好かない態度に苛立ちが頂点に達し、いくら温厚な俺でも我慢ならなかった。

よりによって人の女に手出しやがって……!!

どうにかしてコイツを陥れてやんねえと腹の虫が収まらねえ。


——あっ、そうだ。

俺は1つの策を思いつく。


「そういえばさぁ~、ヒイラギってまだデビューしてどんくらいなん?」

「えっと、ちゃんとした役を貰えたのは本当に最近で。全然半年も経ってなくて――」

「マジで! 全然無名じゃんw」

挑発的な口調で切り出す。


「俺も結構俳優やってんだけどさぁ、1年すらやってない奴とかマジ一般人と同レベルだよねぇw」

「……」

とにかく煽る。

所詮は偽善者。煽ればすぐに化けの皮が剥げるはず!


「マジビギナー過ぎるでしょww その程度で俳優名乗るとかガチ烏滸がまし過ぎっしょw!」

「……」

ほら怒れよ!

怒ってボロ出しちまえよ!

テメェが実はクソ野郎だってことはわかってんだよぉ!


「ぶっちゃけ、俳優未満だよねお前ww せめて俺くらい有名になってから俳優って名乗るべき——」

「おいっ松平! いい加減に——」

煽る俺を止めようと、裕也が声を荒らげる。

だが、それよりも先に口を開いた奴がいた。


「確かに、そうですね」


柊アオトは俺の言葉に怒るでもなく、苛立つでもなく、笑顔で当然のことを言われたように肯定する。


「貴方の言う通り僕はまだまだ未熟です。俳優未満というのは本当にその通りだと思います」

「柊さん……」

彼の謙虚さにあてられた由奈ちゃんは頬を赤く染め、他のみんなも柊アオトに目を奪われる。

「そんな事ないだろ! もう柊君は立派な俳優だって!」

「お、俺もそう思う!」

祐也の言葉に正樹が賛同する。

「ひ、柊さんは充分すごい俳優だと思います!」

「そうそう、こいつの事なんて気にしなくていいから」

由奈ちゃんと亜美ちゃんまでもが柊アオトの味方をし出す。


今までずっと俺のファンだったくせに、急に柊アオトに寝返りやがって……!!

全部コイツのせいだ! コイツが偽善者ぶってるせいで俺の好感度がダダ下がりじゃねえか!!

気に入らねえ! 本当ッ気に入らねえェッ!!


「な、何謙虚ぶってんだよ気色わりぃ! 調子乗んのも大概にしろよ!」

もはや制御を失った俺の感情は爆発し、ひっくり返したバケツのように勢いよく怒りが言葉となって零れ出る。


「そうやってプライベートでも演技して好感度稼いでんのか!? 必死すぎなんだよマジで!!」

感情に任せて暴言を吐く俺を周りの人間は冷ややかな目で見るが、そんなこと関係ない。

コイツを陥れれば周りの好感度は俺の方に戻るはず!

「マジお前ウザすぎっしょ! 滑稽にも程が――」


そう言いかけた時、後ろから頭を強い力で鷲掴みにされる。

その力は徐々に強まり、どんどん俺の頭を締め付けていく。

い、痛てぇ! まじ痛てぇ! っていうか、一体誰が……!


そう思い振り返ろうとするも、頭を押さえつけられており首を回転させることが出来ない。

すると俺の頭を鷲掴みにしている奴が口を開き始める。


「私の担当俳優がなんだって? 糞野郎」

鋭利で棘のあるその声は女のモノだった。


「た、武富さん!?」

柊アオトがその女の名前を呼んだことから、こいつの知り合いであることは間違いない。

「くっ! は、離せオイッ!」

抵抗するもその拘束がとけることは無い。

万力のような力で締め付けられた頭はミシミシと聞いたこともないような音を発する。

まずい! このままじゃ俺はこの女に――。


「調子に乗ってるのはどっちか、私が教えてやるとしよう」


その後、彼の姿を見た者はいなかった……。



なんちゃって。

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― 新着の感想 ―
[一言] ぐふふふふ…続きが出てたぁ!ほんと感謝です。私の今後1ヶ月の糧になりました。本当に有難うございます!!
[気になる点] 武富のこれまでのダメ描写をまとめると、 仕事できない、遅刻魔、仕事前に酒飲む、未成年の目の前でタバコ、担当俳優家に了承も取らず侵入&酒盛り、人前でゲームにブチギレ、自分の仕事押し付けて…
[良い点] めっちゃ面白いです! [一言] イケメン…キュンってなりかけたけど…おまえ未成年居酒屋に連れ出してあげく待たせてんじゃねぇよ!!!!
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