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8 初の実戦

|д゜)少し長いです。


|д゜)でも、区切りたくなかったです。

 さて、あれから気を取り直して、ギフトの確認をしている訳だが。そういえば、俺が持っているのは全部ギフトだと気が付く。

 他の人と話した時に、ギフト持ちだとバレたら面倒事になる可能性もあるのか? 肝心な時以外は、スキルとかに言い換えておいた方が良いのだろうか? 

 まぁ、今はそんな事より、ギフトの確認に戻ろう。まだ詳細は見てはいないが、攻撃魔法禁止制限のガッカリ感がかすんでしまう程、ワクワクする。


「便利すぎる。おそらく、他のギフトの最上位以上のモノもあるっぽいし。これは女神様バレて怒られる訳だな」


 興味津々で嬉々として、各ギフトの詳細を一つ一つ確かめていく。一つのギフトだけでも色々な効果があり、見ているだけで目がキラキラしてしまう。

 例えば、これ。今後かなりお世話になるであろう、〈無限収納〉の詳細を見てみる。


〈無限収納〉

個別任意設定付(時・熱・冷)

収納物検索機能

収納物一覧機能

収納量制限なし

〈スマートウィンドウ〉にクラウド済

〈姉の治癒〉によって、収納物修復可能(修復時間は修復内容に比例)

etc……


 なにこれ便利! と心が躍ってしまう。チートセットの定番でこれな訳だから、他も凄い。

 と言うか、〈スマートウィンドウ〉ホント優秀。どんなかゆい所にも手が届く、高性能端末みたいな感じ。しかも、イメージしやすいから使いやすい。

 だが、謎があるのも〈スマートウィンドウ〉だ。


〈スマートウィンドウ〉

多機能アビリティサポートシステム

通信、通知機能(登録者一覧 一名)

写真や動画の撮影、再生

ツール (一覧表示)(ショートカット メモ・電卓・アラーム)

所有者の使い方を学習最適化

各種アビリティとクラウド(クラウド一覧)

etc…

※プロトアビリティの為、アップデート不定期更新あり


 またまた、なにこれ便利! ってなったね。

 まず何といっても、アビリティだから持ち運びや置忘れがない。これ大事だよな。前世で携帯をなくし、着信音を目印に探そうと電話しようとして、その電話がないんだよってツッコんだのはいい思い出だ。

 詳細も大体は何となく想像出来るんだけど、最後の(※プロトアビリティの為、アップデート不定期更新あり)って部分。

 試行段階のアビリティって事? アップデートって、これ以上使いやすくなるのか? と言うか、まさか女神様(お姉ちゃん)わざわざギフトアビリティを新しく作ったって事か?

 そうそう、女神様(お姉ちゃん)と言えばお姉ちゃんセットも破格だった。その内のいくつかの詳細に再び目を向けて確認する。


〈魔法補助・お姉ちゃん直伝〉

魔法構築自動変換、正常化、及び、最適化

魔法構築高速化

etc…


〈姉の恵み・魔力操作依存〉

・パッシブ

美容維持

魔力量 極大増加

魔素の吸収効率 極大補正

etc……


・アクティブ

登録者魔力補正設定(一覧)(未登録)

登録者魔力効率設定(一覧)(未登録)

etc…


〈姉の治癒・魔力操作依存〉

・パッシブ

自然回復(魔力)極大

回復系統(魔法・スキル) 補正極大


・アクティブ

癒しの空間(未登録)

etc…



 ちなみに、各ギフトにある(etc…)の部分。この部分を開くと、非表示の部分が出てくる様になっている。

 細かいところまで全部見たい気持ちもあるが、さすがに全部確認していたら時間が掛かってしまう。なので、今は全体の確認を優先して、細かいところは後の楽しみにしよう。

 ある程度確認し終えて、ニヤニヤしてしまう。分からない部分もあるけど、やっぱり、こういうファンタジーな感じってワクワクする。


「ふっふっふ。攻撃は一つも無いけど、守りはもう何も怖い物が無い位鉄壁だし、便利チートも沢山。失われていたロマンが蘇るね、これは」


 なんて事をニヤニヤしながら呟く。そしてチートを使っての今後の自分の生活を想像して、いい感じでニヤニヤしていたのだが、ふと確認していた時に疑問に思った事を思い出す。


 〈魔法補助・お姉ちゃん直伝〉があるお陰で、俺はイメージだけでも魔法が使えるっぽい。チュートリアルの魔法基礎知識が割とざっくりしていたのも、このギフトがあるからだったみたいだ。

 そんでもって、他の人のスキルや、魔法を見た事が無い。他の人は魔法や各アビリティを使うのは、もっと大変だったりするのだろうか? 

 もし、通常の魔法やアビリティ、スキルとかが、大変な手順を必要とするのであれば、俺のギフトは規格外なのだろうか?

 


 ――くぅぅ。


 しばらくそんな事に思考を傾けていると、お腹が『腹が減ったぞっ!』という意思表示をしてきた。


「魔法やステータスに夢中になりすぎて、すっかり忘れてた。そう言えば、こっちの世界に転生してきてから、何も食べていなかったな。そりゃ腹も鳴るかぁ。減った感じはあるけど、まだ空腹って訳でもないし、空腹で動けなくなる前に食料集めるかぁ」


 

 チュートリアル前かその前くらいに、周囲の安全確認だ! 食料確保しなきゃ! とか思ってた様な気がするが、魔法やらギフトやらに夢中になって忘れていた。

 かなり昔の話だけれど、夢中になって他の事が目に入らなくなる所をよくお姉ちゃんに注意されてたなぁ。


「おっと、また脱線しそうになった。とりあえず、何か食べられる物を探さないと」


 初めての場所で、サバイバル経験など一ミクロンも無い俺が何故こんなに落ち着いているのかって? 良い質問だよ、君。

 俺には各種便利ギフトと魔法がある訳で。その上、チュートリアルでその使い方も把握済み。今なら一流のサバイバーになれる気がする。


「まずは、〈スマートウィンドウ〉に〈全知の地図〉を表示。周辺食料検索っと。……おぉ、かなり豊富にある。さすが、ベルセルピナの森。注釈で別名{豊穣の女神の庭園}って書いてあるだけの事はある」


ピコンッ!


〔おいーっす! かわいい妹ちゃん! いや、もうユウちゃんだったかな! お姉ちゃんが居なくて、寂しくて泣いてないかな? そうそう、そこの森ね。ユウちゃんが転生した後、食べたい時に美味しい物たべれる様に、お姉ちゃんが手塩にかけて育てたの! ユウちゃんの為に、お姉ちゃん頑張ったかな! お肉に野菜、果物に香辛料。何でもあるから、好きに沢山食べてね! 美味しいものを食べる事は、心の栄養源かな!〕


「……この森って、俺一人の為にわざわざ作ったのかぁ。まじかぁ……」


 驚愕の事実が発覚しました。どうやらこの森、俺が転生する為に用意されたみたいです。規格外すぎて、唖然としてしまった。

 ……ちょっと物事が大きすぎて、反応が出来ない。えっと、この森の食べれる果物から野菜、お肉もって事は生き物。全部女神様が、そういう森になる様にしたって事だよな。


「……とりあえず、食べ物さがそ」


 驚愕の事実が発覚したが、だからと言って俺が何か出来る訳でもないし。……うん、これは横に置いておこう。

 さてと、今いる清流から近い場所にある、果物を取りに行こう。そこまで遠くなさそうだし、明るいうちに戻ってこれそうだ。

 出来れば果物だけじゃなく、栄養バランス的にお肉も欲しい。けど、お肉って事は、動物を仕留めて解体しなくちゃいけないのか。

 ……。うん、お肉はまだいいかな。

 いや、動物をさばくのがこわい訳じゃないよ。調理の仕方もわかるし。面倒臭いだけだから。さばくのがこわい訳じゃないから! 解体が面倒だから仕方なく、お肉は見送る事にしただけだから!

 

 さて、地図で一番近くに表示されている果物の場所に着いた。パッと周りを見渡しただけでも、結構たくさん自生している。


「おぉ、自生の果物だ! 色は派手だけど梨っぽい匂いのと、んー、これはリンゴかな。よいしょっと。あーむ」


 お腹が空いてはいたが、食料を集め終わってから食事にしようと思っていたんだけど。ついつい、おいしそうな瑞々(みずみす)しい匂いに誘われて、梨っぽい果物を一つ手に取り齧り付き飲み込む。


「ほわぁ。シャクっとした食感と、スッキリした甘さの零れる様な果汁が口いっぱい。甘そうだけど爽やかな香りも、食欲をさそうから自然と次の一口がでる」


 前世では果物は嫌いではなかったが、あまり食べるようなことはなかった。だから前世の果物の事は詳しくないが、この梨っぽい果物のおいしさは異常だと言い切れる。思わず食レポみたいな事を口走ってしまう位には、美味しかった。


「前世でこんな果物食べてたら、主食が果物になってたかもな。それくらい美味しかった。沢山なってるし、がっつり取っていくか。保存は収納があるから困らないし。そうだ、何個か冷やしながら収納してみよう」


 ウキウキしながら果物を収穫し、収納に収めていく。インドア派だったから果物狩りなんて経験した事はなかったが、意外とこういうのも楽しい。

 思いのほか楽しくて調子にのって、ある程度果物を取ったらまた別のポイントに移動を繰り返す。移動する度にピンク色のバナナみたいなのや、黒いジャガイモなどほんとに色々収穫していく。果物は勿論、色々な種類の野菜を収穫していると。


「お? あれはミカンじゃないか!? ミカンはたくさん収穫しよう! ほんとにこの森、収穫時期や旬とか関係なく何でもあるし、どれもおいしいし。ふふふ。最初は不安だったけど、今はニヤニヤしっぱなしだよ」


 好物のミカンを収穫して、ご機嫌で〈スマートウィンドウ〉を使い、今までに収穫した戦利品の一覧を見る。結構な量を収穫したし、そろそろ元の場所に戻るか。


「よし、戻ってお楽しみの食事にしよう。調理器具はないから料理は直火焼き位しか出来ないけど、素材の味が良いから十分だろう。どれどれ、最初にいた場所はっと。……意外と遠くの方まで移動してたみたいだな」


 まぁ、ここで食べるっていう選択肢もあるけど。あまり疲れてないし、周りの景色でも楽しみながらゆっくりと戻ろうか。

 収穫に夢中になって清流から結構離れてしまったけど、神秘的な程空気が澄んでいて、何と言うかすごく居心地がよかった清流。その清流で景色を眺めながらゆっくりと味わいたい。

 前世の食材に似たものが、どれ程美味しく変化してるのか、味は同じなのか、それとも全然違う味なのだろうか。そんな事を考えながら、さて戻ろうと足を踏み出した瞬間。


ビィー! ビィー!


〔敵意を感知しました。脅威度 無〕

〔情報、及び、位置を表示しますか?〕

〔YES or NO〕

 

 急にアラートの様な音が鳴り、目の前にウィンドウが表示される。


「おわっ! びっくりした! え? 敵意って事は狙われてる? 今戦う手段無いんだけど、どうしよう!? っと、落ち着け自分! チートがあるから、多分大丈夫!」


 一瞬焦りそうになったけど、守りはチートだと言い聞かせ、気持ちを無理やり落ち着かせる。

 えーと、一度相手の情報と距離を確認しよう。いえすに意識を向けて、ウィンドウを操作っと。


〔敵数 一。一体の為、全体簡易情報は省略しています〕

〔ファングラビット 体長 百三十センチ〕

〔こちらをうかがいながら徐々に接近中〕

〔脅威度 無〕

〔強靭な脚力からの蹴りが強力。蹴りによって相手が昏倒したら牙で噛み付きに来る。もも肉がうまい〕


「脅威度が無ってなんだよ!? 説明の最後は食料としての情報だし! ……百三十センチって結構大きくないか? んー、戦う時のギフトも確認してみたいし。よし!」


 情報を見て思わずツッコミを入れてしまったが、体長は結構大きいから危険かもしれない。でもチート能力の情報は、脅威度は無。

 今は転生した直後とは違い、知らない事への恐怖も動揺もそこまでしてない。簡易な知識だけど魔法やギフトの使い方、敵の位置も分かる。試す相手にはちょうど良いかと戦う事を決める。

 戦う事を決めた所で、丁度良く相手の姿を見つける事が出来た。茶色の体毛で体つきは兎なんだけど、野性的な感じで後ろ足と牙が特徴的だ。


「思ったよりも狂暴そうに見えるんだけど! 後ろ足やばいし、それにあの牙。牙ってよりも、もうナイフじゃん! 本当に脅威じゃないのか、心配になってきた……」


 もっとこう、地球の動物みたいなのを想像してたんだけど、想像以上だった。凶暴な熊みたいな兎の口から、鋭利なナイフが生えてる感じ。


「もっと簡単に考えてたんだけど、いざ戦うとなると凄いこわい! でも、ウィンドウでは、脅威は無になってるし。……どうしようかな、今からでも逃げようかな」


 ――ダンッ!


 なんて事をファングラビットを見ながら考えていたら、急に目の前に大きな足が現れる。まだ十メートル程あったのに、強靭な後ろ足で跳んで一瞬で接近された。


 ズドンッ!

 

 あっ! っと思ったら、突然出てきた何かを蹴りあげた様に跳ね返って、ファングラビットが地面に落ちる。そして、すぐに体制を立て直すファングラビット。


「――ッ!! はぁー! ビビったぁ! なんか一瞬ガラス見たいなのが見えたけど、さっきのが〈姉の護り〉の一つなのか!? ま、まぁ、これでダメージを受けないって言うのは、ほんとだって分かった。なら、別のも試してみよう」


 攻撃が防がれた所為か、こっちを威嚇いかくしながらうかがっているファングラビット。

 ダメージを受けないと分かっても、見た目がこわい。それでも、ここで試しておきたい事がある。最初は出来なかったが、たぶん、これは大丈夫なはず!

 攻撃魔法は使えないけど、防御系の制限はない。なら、相手の突進力を利用した、衝突によるダメージを狙う場合、魔法は発動するのか試したい。


「よーし。やるぞぉ。ビビるなよぉ。使うぞぉ」


 ノーダメージなのが分かっても見た目がこわいし、初めての戦いで心が張り詰める。こわばった体を無理やりふるい立たせ、敵を見据える。

 使うタイミングを逃さない為に、ファングラビットをじっと見つめる。そして、ファングラビットもこちらを威嚇いかくしながら、目をらさない。野性動物の戦い独特の、目を逸らせない緊張の静寂。

 先に目を逸らす事は、隙を見せるのと同じ事。一度も喧嘩や戦いをした事が無いにもかかわらず、自然とそう理解した。


 必然とおとずれる、戦いの中の不自然な、けれど、自然な静寂。――が、ファングラビットの方が、痺れを切らして動き出す。

 鋭利えいりなナイフの様な大きな牙をさらに剥き出しにして、獰猛どうもうな眼光が一段と鋭さを増す。低いうなり声が一段と低く大きくなり、全身が力をギュッと凝縮ぎょうしゅくしたかの様に小さくなる。


 ――今っ!


 ファングラビットと対峙している時、相手が突進した瞬間に壁を出現させる事を、何度も強くイメージしていた。ファングラビットが蹴りの攻撃態勢に入る前、突進直後の前傾姿勢の時、魔法を使う意志をグッと込める。


「アースウォールッ!」


 ――ズゴンッ!


 一瞬で土の壁が迫り上がる。その直後に、大きい物がすごい速さで衝突した時の様な、重い衝撃音が響く。そして、一瞬の振動。

 相手がまだ生きていて、反撃してくる可能性を考え、すぐに動ける体制のまま壁を解除していく。そして見えてくる、横たわって動かないファングラビット。

 ウィンドウでファングラビットが絶命している事を確認し、それからゆっくりと近づく。それから、一応冷凍設定で収納する。

 

「――っふぅ。うまくいったぁ。魔法使えたぁ。ふふふ。初めての魔法が上手くいった。魔法使うと、こんな感覚なんだ。ふふふ。やっぱり、攻撃魔法じゃなくても、使えたら嬉しいもんだな!」


 体の中から魔力が抜けていく感覚。ギフトや魔法が発動する際の感覚。魔法利用時の周辺の変化。起動から発動までのタイムラグなど、知りたい事が知れた事や、魔法を使った事に対しての興奮。自分を本気で倒そうとしている相手との戦闘での興奮。

 まだ収まらない緊張と興奮を押し込め、魔法やギフトを実際に使った使用感を思い出しながら、清流へと戻る為の一歩を踏み出した。


この季節は『寒くて布団から出るのが辛い』とよく聞きます。

私は季節関係なく朝は辛いです。

どうも、紬 いとです。


さて、連続投稿は今回が最後になります。

もしも、同じ様な機会とストックがあったら、またやりたいと思います。たぶん!

今回の連日投稿を毎日読んでくださった方は、果たしているのでしょうか? 居てくださると嬉しく思います。


さて、最後に。


ここまで目を通してくださった、心優しい方々に感謝を。


紬 いと

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