6 魔法と制限とステータス 1
なろうを書く上で、最近は一話の文字数二千~三千文字位がお勧めらしいです。
……でも、そんなの関係ねぇ!
まだまだ技術も経験もないので、自分の思い描いた表現、文字数で書いて行こうと思います。
あれから、一人なのを良い事にニヤニヤしながら、色々な物語の詠唱なんかも真似しながらやっていた。
なんかもう、ステータスとか関係なく楽しくなってしまって、人に見られていたら恥ずかしい中二的な遊びに発展し始めた頃に。
ピコンッ!
周りが大自然に囲まれた場所ではとても場違いな、それでいて、前世ではとても馴染みのある音に似ている電子音が脳内に響いた。しかも、ご丁寧に目の前に、スマートフォンの画面のような物が現れる。
〔お姉ちゃん から通知が来ています。通知を開きますか〕
〔YES or NO〕
「ビックリしたぁ。てか、連絡が取れるのなら、もっと早く連絡して欲しかった。……というか、これ触れるのか?」
液晶だけが浮いているような感じの画面が出ている所を観察して、下をのぞき込もうとしたら、画面も俺の動きに連動して画面の角度や位置が変わる。
「おぉ、なにこれ? 物とかに重なったらどうなるんだろう?」
なんというか、こういう発達した科学みたいなのとか、ファンタジーみたいな物は男心を擽るな。色々と疑問に思った事を試してみたくなる。
今まで体験した事の無い現象が不思議で面白く、暫く遊んでしまったが、そろそろ女神様からの通知を見よう。
「指で触ればいいのか? ていうか、この通知もアビリティなのか?」
半信半疑でYESの部分に指で触れてみると、画面が切り替わり通知内容が表示される。表示画面のイメージ的には、某SNSの通信アプリみたいな感じ一番近いか。
〔おはよう、可愛い私の妹ちゃん! お姉ちゃんも妹が目覚める時にそばに居たかったんだけど、あなたに規格外の力をあげたのがバレて、絶賛後始末のお仕事中かな。でも、起きた妹に早く会いたいから、お姉ちゃんパワーで物凄く早く終わらせて会いに行くからねっ! それに、転生記念のプレゼントも用意して行くから、楽しみにしてて欲しいかな!〕
あー、それで俺が目が覚めた時、一人だったのか。
って言うか、かなり偉い存在のはずの女神様(お姉ちゃん)が、そんな簡単に会いに来られるの?
それに記念のプレゼントって、また怒られるんじゃないか?
〔そうそう! さっきの中二っぽい遊びしてた妹ちゃんも可愛かったかな! 思わず録画しちゃった! 仕事が終わった後で、ゆっくり観ようかな! あ、最初体調が優れなかったと思うけど、それはパッシブ系が一気に起動した所為だから、すぐ治まるから心配ないかな。お仕事終わったら、すぐに会いに行くからね〕
……見・ら・れ・て・た・ああああああああ!
〔p.s ステータスの表示は叫ばなくて大丈夫かな(笑)。 でも、ステータスの表示は、あと一歩の所まで行ってたよ! ステータスのマニュアルもあるけど、一応、万能マニュアルの方のダウンロードURL添付しておくから、ダウンロードすればバッチリかな〕
〔ギフトアビリティ〈万能マニュアル〉 WWW:ダウンロードURL〕
〔あなたが大好きなお姉ちゃんより〕
マニュアルもギフトアビリティなの!?
ってか! それよりも! 今女神様が居ない理由とか、最初体調悪かったりとか、急に脅威がどうちゃらの件とか、使い方が解決したとかいろいろ大事な事はあったけど!
見られてないと思って油断した俺の黒歴史が! しかも、まんざらでもなさそうな顔してやっていた、一部始終が録画されてたぁ!
〔大丈夫かな(笑)〕って! ワラって! またまた俗な言葉を使いこなしていらっしゃる!
その後暫くは、恥ずかしさを誤魔化す様に悶えながらゴロゴロと転がった。なりふりかまわず、全力で。
ある程度転がって、気持ちに区切りが付いた所で、ダラダラと立ち上がる。
「うぅー。ニヤニヤしてるのが目に浮かぶ……。ゥー。ま、まぁ、気を取り直して、とりあえずマニュアルのダウンロードをしてしまおう」
羞恥に耐え、やってしまった事は仕方ないと思考を放棄し、さっそく画面のURLに指で触れてみる。
〔〈万能マニュアル〉はダウンロードに、およそ十四時間かかります〕
〔その間一部の機能が停止します。YESを選択した場合、三分後にダウンロードを開始します〕
〔〈万能マニュアル〉をダウンロードしますか?〕
〔YES or NO〕
ふむ。スマホのアプリとかより、かなりダウンロード時間が長いな。けど、ステータスの表示方法もダウンロードが終われば分かるし、その間に周囲の安全や食料の確保をすれば効率がいいか。それまでステータスの確認は諦めよう。
とりあえず、後回しにする理由もないし、ダウンロードを開始してしまおう。いえすっと。
ピコンッ!
〔あ、ダウンロード中は意識が停止するから、夜寝てる間にとかの方が良いかな!〕
「言いうのが遅いよ! もうダウンロード開始押しちゃったから!」
女神様に心の中で不満を言いつつ、辺りを見回して身を隠せそうな場所がないか探す。見渡して最初に目に付いた、かなり大きい木漏れ日の木の所まで急いで移動。
何とか中に入れそうな大きめの木の窪みを見つけて、そこにおさまる感じで体制を整える。
「この体になってから初めての睡眠が木の窪みなんて……はぁ、虫とかいないといいなぁ」
閑話休題
ピコンッ!
〔〈万能マニュアル〉のダウンロードが完了しました〕
〔〈万能マニュアル〉は〈スマートウィンドウ〉にクラウドされました〕
〔〈スマートウィンドウ〉から各種マニュアルの閲覧が可能です〕
〔付録【お姉ちゃんの! 簡単! チュートリアル!】を開きますか?〕
〔YES or NO〕
昼間とはまた違った、深夜の静寂と微かに聞こえる森の音。それと、少しずつ暖かな日差しの到来を予感させる限りなく薄く、けれど優しい光。夜と朝の間の独特の澄んだ黎明の匂い。
そんな自然を全身に感じる中で響いた人工的な機械音が、意識を浮上させる切っ掛けになった。
「ん~、んっ? ……あれ、せまい。あぁー、そか。窪みに入ってたんだっけ」
まだ覚醒しきっていない頭を回転させ、半ば無意識に体を伸ばしながら昨日の最後の行動を振り返る。
思い出した事を呟き、木の窪みから目の前の少し開けた場所にとことこ移動。まだ少し寝起きの瞼を擦りながら、なんとなく辺りを見渡す。
改めて周りを良く観察すると、本当に綺麗な場所だ。今いる少し開けた場所も地面は柔らかそうな地面で、神秘的なほんのり輝く小さな草が所々に生えている。
そんな周りの景色を眺めながら、昨日よりも数段軽い体を確かめる様に、ストレッチや軽い屈伸などを繰り返す。
「ふぁあ。ん~。……ふぅ。睡眠を取ったからか分からないけど、昨日よりも体が軽い。なんか、しっくりした感じ? これも寝てる間にアビリティとかの処理が、終わったからとかなのか?」
飛べそうな位フワフワしてるんだけど、重心がしっかりしてる様な感覚。すごい調子が良いの一言で終わるのは物足りない程、今までに感じた事が無い万能感。今ならアニメや映画の主人公の様な、すごい動きがイメージ通り出来そうな不思議な感じ。
「軽くストレッチやってみたけど、前屈とか余裕で手が地面に着く。この体すごい柔らかい……。この体と言うか俺の体か。……それにいろんな意味で柔らかい」
腕とかお腹周りとか、太ってるとはとても言えない位引き締まっている。痩せすぎている訳でも、筋肉ゴツゴツって言う訳でもない。
けれど、何このビックリする程なめらかで柔らかスベプ二感。
「これが女性の体か。実際に自分が女になると漫画とかである様な、『女の人の体触っちまった。ドキドキ』みたいなのは意外とないもんだな」
何となく体を触ったりして確かめていたが、やましい気持ちとかはない。……断じて無いっ!
いや、ほんとビックリする位落ち着いてる。正直言うと胸とかも触ったけど、すごく柔らかい位しか感想が出てこなかった。
例えばだけど、何かの切っ掛けがあって自分自身の体を触って確かめようとした時に、興奮したりドキドキしないと思う。たぶん、そんな感じが一番近いかもしれない。
「まぁ、実際にそうなってみると、こんなモノなのかな? 顔は鏡が無いから、未だに分かんないけど。それよりも、魔法や能力の使い方だ」
体の感覚もなんとなく掴んできたので、ストレッチや体の確認はこれ位にして次にいこう。
ストレッチをしている時から、目の端で見えていたので知っていた通知。何となく後回しにしていたが、その通知を確認していこう。
ところで、結構気になってたんだけど、〈スマートウィンドウ〉って携帯端末に近い? まぁ、まだ機能は分からない事が多いし、操作は指だけじゃなくて意識するだけでも出来るみたいだけど。操作感と言うか、感覚的にはそれが近いか。
その〈スマートウィンドウ〉の通知を、意識して表示する。
「にしても、お姉ちゃんの簡単チュートリアルって……。あの女神様の外見に対しての言動が、やっぱりイメージと一致しないんだよな」
女神様(お姉ちゃん)の姿を思い出しながら、そんな事をぼやきつつ、ウィンドウに表示されているチュートリアルのYESに意識を向ける。
〔【お姉ちゃんの! 簡単! チュートリアル!】をどの形式で表示しますか?〕
特に何も考えずYESを選択したら、形式の選択を迫られた。形式ってどうゆう事? PDFとか? 動画のHDとか? チュートリアルの前のチュートリアルが必要かもしれない。
なんて事を思ったら、ウィンドウが切り替わり形式が表示された。うん、凄く便利ですね。
〔・書式 推定完全読了時間 二十五時間〕
〔お姉ちゃん監修。お姉ちゃんの挿絵付き〕
〔・動画 視聴時間 十八時間〕
〔お姉ちゃんが解説。おすすめ!〕
〔・脳に直接インストール 所要時間 四十秒〕
〔少しチクッとします〕
ふむ、なるほど。
チュートリアルをどのタイプで学びますかって事か。選択肢は三つあると。あと、お姉ちゃん押しが強いな。
実際食料の確保や、色々な事の確認も早めにしたい。なので、時間が掛かる物は避けたい。
けど、一番時間が掛からない物が、一番選びたくない物の場合はどうすればいいだろうか?
「ってか、書式と動画ながっ! チュートリアル長すぎない? そんでもって脳へ直接って、こわっ! しかも、補足のちくっとしますって、なに!?」
なんとなく予防接種の時を思い出してしまったが、悩んだ末に一番所要時間の短い、脳へ直接を選択する事にした。
恐らく、あの女神様の事だから俺をからかう様な事はしても、危険が及ぶ様な事は絶対にしないと思う。
「そう思ってはいても、実際に今からやるとなると、やっぱり少し怖いな。まず脳へ直接ってのがこわいし、補足もなんか漠然としてるし」
なんて弱音を吐きつつも、覚悟を決めて形式を選択実行。
すると、少し頭の奥の方がズキッとするような痛みが、一瞬だけ走った。
「おおぉ! なんだこれ! 『今まで思い出せなかった事を、急に色々思い出した』、みたいな感じがずっと続いている様な、不思議な感覚!」
今までずっと引っかかっていた事を、思い出した瞬間みたいな。なんていうんだっけ、こういうの? アハ体験? が連続している様な不思議な感覚。
その感覚が続くのに比例して、魔法やアビリティを使う際の基本的な事が、自然と頭に入ってきていた。
昨日嘘を付いた罰が当たったのか、頭を壁かけフックに強打しました。
どうも、紬 いとです。
何となく、フラフラァと立ち上がったら、フラフラァとよろめいて、ガリガリぶつけました。
幸い、そこまで大事には至りませんでしたが、頭部って予想外に血が出るんですね。
余談はさておき、今日の夜にもう一話投稿する予定でいます。
それに伴って、現時点で判明している誤字・脱字の修正や、あらすじの修正をしようかと思います。
何となくあらすじを読み返したら、『なんか無駄に長い気がする』と気になってしまいました。
話の内容の変更は一切行いませんので、読み返しはしなくても問題ありません。
さて、長々と話してしまいましたが、最後に。
ここまで目を通して頂いた、心優しい皆様に感謝を。
紬 いと