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10 冒険者

なぜ忙しい時に限って、次から次へと予定が入ってくるのでしょうか?

その所為なのか、最近はお布団が恋しくてたまりません。

と言う事で、我は意識と言う鎖を千切り捨てて、『空想と妄想の深淵』をのぞきにいってくりゅぅぅ。 

……取り乱した。すまんかった。


「――Щε! НРТХШКХЗОФКТПи!」


「НЛПкт.ШЪжеиЧ.ЭПНЗЦШСЗЖЙ」


「ЩЗ.СШЦЗК.УАЭУСЖΗАРУДЛ.ЙНУкЙЪиж」


 んぅー、人がせっかく気持ち良く寝てるのに、なんか周りがうるさい。外もまだ明るくなってないのに、ペラペラと話す声が気になって、ぐっすり眠れないんだけど。


 ……はなしごえ?


 寝惚ねぼけた頭で思た事に対する違和感を咀嚼そしゃくし、かなり近くから声が聞こえると気付いた瞬間、一気に眠気が飛ぶ。そして、ほぼ無意識で瞬時に目を開く。


「――っ! ひっ!!」


 閉じていた目を開いた瞬間、くぼみの出入り口からこちらをのぞき込む鋭い眼光。

 自分でもどこから出したのか分からない声にならない声があふれ、窪みの奥に背中を押し付けてギリギリまで身を寄せる。そして、うまく回らない頭で、何とか相手の容姿をとらえていく。

 出入り口と比較した感じだとかなりの巨躯きょくで、頭はスキンヘッド。目つきは鋭く、顔中古傷だらけの男がこちらをのぞいている。

 森を移動してた時に些細な事でも通知が来ていたから、何かあればウィンドウが通知音で警告をしてくれると思って油断してた。通知音に気付かない程、熟睡していたのか?


〔通知音は所有者により、無音の時間帯設定がされています〕

〔解除しますか?〕

〔YES or NO〕


 あっれぇ? そんな設定、俺したか? なんて思っていたら、こちらを除いている眼光の鋭い男が話しかけてきた。


「ОёЕ.ОиЯΘΖьыΤΡαπκТЩЙФ.БжёнлёκεЙ.СЖРЛЦ?」


 男の話している言葉は、まったく分からない。けれど、話しかけられた感じだと威圧いあつしている訳じゃ無く、何か会話をしようとしている様だな。

 いきなり何かしてくるんじゃなくて、男が会話をしようとしている事が分かって少しだけ安心した。

 とは言っても、男の話しかけてきている言葉はわからないし、その体で窪みの出入り口が塞がれていて、もしもの時の逃げ道がないから落ち着かない。顔も怖いし……。

 

「ТШЙЗиХ! ЯНПЛЩЛ! ЫЩЮафΖНФТЖХПЪд!」


「ρλζяΔХЙ.СРЕНСЛЕОбгЮ,шХЩМОДЙБ」


「ЩСФМЩРЦ.ЩРбЫТОЮ.ЦШМЭЫЪТвЧЛОКЩЧР」


 巨躯な男の後ろからいくつか別の声も聞こえてくる。どうやら周りの声は、覗いてきている男に何かを言っているみたいだな。

 仲間から何か言われてるみたいだけど、男は気にせず俺に話しかけてくる。しかし、話しかけてきた男に対して、また周りの仲間が何かを言い、男が後ろを向き仲間と会話を始める。


 今なお続いている目の前の巨躯な男とその仲間であろう人たちの会話が、全くもって分からないから焦りがもう一度顔を出してくる。

 この人達は俺をどうしようとしているのかも分からず、急な事態のせいで考えが纏まらない。せめてあっちの会話の内容が分かれば、もう少し対処法を考えられるんだが、そもそも何語なのかも分からない。

 とりあえず、隙を付いて巨躯な男を()退()けて、窪みから出た後は全力で逃げよう。跳ね除けられるかは、分からないけれど……。

 

〔〈知識の泉〉から“イリッシュ語”を検索。〈言語対応〉を使用し、“イリッシュ語”をインストールしますか?〕

〔会話のみ 十秒〕

〔読み書き含む 四十秒〕

〔全て 一分三十秒〕


 言葉が分かればと思ったからなのか、目の前に表示されるチート機能。

 遅いよ! チートなら最初から分かるようにしていて欲しかった! なんて思ったせいか、「なら、これで良いんでしょ」みたいな感じで、いじけた様にそっけなく表示される選択肢。


〔この世界の読み書き、(ことわざ)等を含む全言語を一括インストールしますか?〕

〔所要時間 約 百七十七時間〕

〔YES or NO〕


 ごめんなさい! 今はイリッシュ語? の会話のみでお願いします!

 インストール項目の選択をして実行したと同時に、ふっと意識が遠のく。 





「――! ――ぃ! おい! 大丈夫か!? 嬢ちゃん!?」


「凶悪な顔とは思っていたけれど、実際に少女を気絶させる程とは思わなかったわね」


「だから! ハンクスの顔、怖いから! アタシが変わるって言ってたの!」


「やめろ、お前ら。そろそろ本当にハンクスが落ち込む」


 インストールが完了して意識が浮上した瞬間、直ぐに言葉が聞こえてくる。

 目を開けると、巨躯きょくな男が心配そうな、それでいて慌てた様な顔をしながら、出入り口からこちらを覗きこんでいる。

 どうやらインストールの為に少し意識を失っていたので、気絶したと勘違いしたようだ。いや、目の前で人が突然意識をなくしたら、気絶したと思うのが普通か。


「嬢ちゃん、大丈夫か!? まだ具合が悪いなら、俺の持ってる回復薬つかうか!?」


 さっきから仲間の人たちに酷い事言われているのに、そんな事が耳に入らないのか、ずっと心配してくれている巨躯な男。その男が心配そうな顔のまま自分の持ち物の中から、必死に回復薬を渡そうとしてくる。

 最初は絶対山賊か何かだと思ったけれど、相手の雰囲気と会話の内容から、今の所はこちらに危害を加える気は無さそうだな。……顔は怖いけど。


「あ……。えーっと、回復薬? は大丈夫です。あの、……ありがとうございます」


 チャンスがあったらすぐ逃げようと考えてたけど、一旦保留にして巨躯きょくな男の問いかけに返答。一応返答はしたが、相手の一挙一動には気を配っておく。

 それと、逃げるのは保留にはしたが、すぐ逃げれる状況にはしておきたい。なんとか自然な感じで距離を取りつつ、うまい事外に出れないだろうか。


「ほんとうか? 無理はしてねぇよな? もし後から具合が悪化してきたら、すぐに言えよ? そんときゃ薬出すから、遠慮なく使え。なっ?」


 まだ心配そうに、こちらを見ている巨躯な男。自分が何か直接してやれる事が無い事へのもどかしさや、何をしてあげる事が一番良いか分からず困っている様な、そんな顔をしている。


 そう言えば昔のおぼろげな記憶の中で、俺が小さい頃に病気で入院した時の父もこんな顔をしてたな。父は全然巨躯でも目つきが悪かった訳でも無かったけれど、その時とそっくりな顔だ。


「……くすっ。――あっ」


 巨躯な男が体を小さくして、心配顔で一生懸命気遣ってくれているのが何だか、娘に激アマな父親みたいで少し笑ってしまった。

 笑った直後、相手が笑われた事に対して突っかかってくるんじゃないかと思い、恐る恐る巨躯の男の顔を確認する。


「お? 笑えるってこたぁ、本当に具合は良くなってるみてぇだな。なら、嬢ちゃんに聞きたい事が有るんだが、良かったら聞かせてくれねぇか? おっと! もし俺らがこえーってなら、嬢ちゃんからある程度距離も置くし、武器も置こう」


 巨躯な男は因縁をつけるどころか、本当に具合が悪いんじゃなくて安心した様な顔で、明朗めいろうに話しかけてきた。……小さい子供を相手にする様な感じなのは納得できないが、笑った事に対して因縁をつけられなくて良かった。

 しかも、自分の事を気遣う様な提案までしてきている。その内容が俺としては願ったり叶ったりだが、聞きたい事の心当たりが全く無い。


「聞きたい事……ですか? 俺が分かる事はほとんど無いですけど、先程の条件でならば、答えられる事なら答えます」


「おう、分かんねぇ事は仕方ねぇんだ。こっちも、分かんねぇって事が分かっただけでも助かる。とりあえず、話してくれるにしても俺らの事が分かんねぇと安心して話せねぇと思うから、自己紹介するからそこから出てきてくれねぇか?」


 巨躯な男はそう言いつつ、仲間にも窪みの入り口から距離をあける様に伝えながら下がり、本当に武器を足元に置いて数歩下がって座り込む。

 仲間は武器を置く事に驚き、巨躯な男に悪態をつきつつも、同じく武器を下ろして男の近くへと腰を下ろしていく。


 本当に巨躯な男は武器を置いて距離を取ってくれたので、俺も相手の方を警戒しながら窪みの中からそろそろと出る。

 出たと同時くらいに、小柄な女性からの視線がすごい刺さってくる。いや、他の人たちからも見られてるんだけど、小柄な女性からはその比じゃないくらい見られてる気がする。

 

「あ、あの……。それで……。自己紹介でしたっけ? 自己紹介を聞けば良いでしょうか?」


 なんとなく落ち着かず、早く話を進めて欲しくてこちらから相手へ話しかける。

 もう話とかしなくていいから、全力でこの場から逃げたらダメか? ……ダメだよなぁ。


「おう。まぁ、そう警戒しなくても大丈夫だ! ほれ、C級冒険者プレートとギルドからの正式な依頼書だ。確かめてくれても構わねぇ」


 おぉっ! 冒険者! 依頼書! ……けど、どや顔で見せられてるけど、これと警戒しなくても大丈夫の関連性がいまいちピンとこない。

 あれかな? 前世で言う所の警察手帳みたいな感じで、国家機関ですので信用してください的な? 

 まぁいいや。それより冒険者プレート! 

 いやー、この世界本当に冒険者ギルドがあるんだな。思わず興味津々といった感じ全開で、ワクワクしながら銀色のドッグタグみたいな物を観察する。


「……もしかして嬢ちゃん、ギルドプレート見るの初めてかい? いや、村育ちなら、それ程珍しくねぇのか?」


 巨躯な男に物凄く珍しい動物を見た時のような顔されたが、お構いなしにプレートを観察する。

 何かの付与がされているみたいで、少し銀の輝き方が鈍い様な不自然な輝き方だな。なんて言うか、薄く透明な膜が周りに張ってる感じ? 

 そんな感じでプレートを見ていたら、巨躯な男が説明をし始めた。


「こいつは全大陸共通のギルド発行の物で、ここから信用されて俺らは依頼を受けてる。だから、ギルドの信用を無くすような行為や、ギルド規約が守れない奴は登録を取り消されっちまう。そうなると、そいつは信用できねーっつって、どこにも相手にされなくなって稼げねぇ。だから、冒険者は信用を大事にするてぇ訳だ。……その顔はもう理解してくれたみてぇだな」


 ほぉー、なるほどぉって関心していたら、どうやら顔に出ていた様で巨躯な男はプレートを再度かかげて、話し合えるくらいには信用してほしいと笑いながら言ってきた。


「……わかりました。でも、俺はあなた方の様に冒険者プレートみたいな、身分を証明できる物を持っていません。それでも大丈夫ですか?」 


「小さな村の出身とかなら持ってなくても珍しい事じゃねぇし、こっちが話してもらう側なんだから持ってなくても大丈夫だ。だが、もし嬢ちゃんが今後都市に行きたいっていうなら、持っといた方が楽だぜ。まぁ、作るのには金がかかるがな」


「――イラル! あの子やっぱり俺っ子だよ!(小声)」


「少し黙ろうな、プルティア(小声)」


 なんか、仲間の人がコソコソ何か言っていた気もするが、それは聞かなかった事にしよう。

 ふむ、やっぱり都市に入るには何かしらの身分証が必要だったか。しかも、お金がかかるみたいだけど、こっちのお金なんて持っていない。

 さて、どうしたものかと、暫し考えをめぐらせていく。

……前書きは何も書いてなかった。良いね? 

どうも、紬 いとです。


私はここ最近プライベートがいろいろ忙しく、順調にストックが書けていない今日この頃なのですが、皆様は如何お過ごしでしょうか。

今月はクリスマスとか言う行事がありますので、それの準備でしょうか? なるほど、そうですか。

良いですか? よく聞きなさい。

私は仕事です。もう一度言います。私は仕事で御座候! 

来年はサンタ殿に有給を賜れる様、願い奉りたく御座候。

(ノリで書いているので、間違った言葉遣いは無視して下さい)

まぁ、クリスマスにしても、年末年始にしても忙しくなると思います。

そんな時こそ心にゆとりをもって、怪我や事故の無い様にお気を付け下さい。


さて、長くなってしまいましたが、最後に。


ここまで目を通してくださった、心優しい方々に感謝を。


紬 いと


 

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