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メビウスの帯  作者: 一二四〇
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一章④

 あなた様のなりたいもの、なりたかったものは何ですか?

 それは叶えようとしていますか?

 それとも諦めてしまったのでしょうか。

 もし制限がないものでしたらまた目指してみてはいかがでしょうか。

 え?現実的じゃないから無理?

 いつも現実逃避をしているクセに、ここでは現実を見ようとするのですね。

 あなた様は失敗を恐れているだけですよ。

 ならば、これから起こる失敗は全て私のせいにすれば良いのです。

 こうすればもう逃げ場はありませんよね。

 私はこういう人間です。

 馬車での旅立ちから一日。

 ――は無事に終わった。

 大した事もなく、馬車に揺られていただけだった。

 大人達はこれからの事を話していたようだが、子どもの俺達はただ、ただ暇だった。

 何回も睡眠を貪っていた。

 気付いたら昼食の時間となり、寝ては夕食の時間となっていた。

 夕食が終わると昼間寝ていた分、俺とサーラは寝付けずに話をしていた。

「サーラは大人になったら何になりたい?」

 子供らしい普通の質問だが、教会へ行くと貰えるステータスプレートによって何になりやすいかがわかる。

 筋力が高ければ力仕事、知力が多ければ頭を使う仕事。

 剣の才能があれば剣士、魔法の才能があれば魔法使いなど、そこで決まる事が多いという。

 けれど、それを無視して他の職業になる事も可能だ。

 だからこその「今何になりたい」という質問だ。

 才能に左右されない自分のやりたい事。

 ただ、サーラからそれを聞きたかった。

「私?私はねえ……好きな人と一緒にいたいな」

 彼女は照れながらもそう言った。

 好きな人……それは「お嫁さんになる」的なやつだろうか。

 そこに俺も入っていると期待して良いのだろうか。

 ここでガッついて質問してはならない。

 何故なら父親達が聞き耳をたてているからだ。

 くそう。

「サンは何になりたいの?」

 俺がなりたいもの。

 そうだな――

「大切な人を守れる人になりたい」

 そんな言葉が口から溢れた。

 この旅の最初に決意した言葉だ。

「かっこいいね」

 そう言われた瞬間に俺は全身が火照るのを感じた。

 恥ずかしいこと言ってしまった。

 恥ずかしい思いや彼女の願いが頭の中をグルグル回っているなか、聞き耳をたてていた父親達にドヤされ、就寝につくことになった。

 そんな一日だった。

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