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メビウスの帯  作者: 一二四〇
3/6

一章②

 あなた様の性格はどのようなものでしょうか。

 物語の「主人公」になれますでしょうか。

 私ですか?私は……。

 なれませんね。絶対に。

 根暗で、陰キャラで、人見知り。

 そんな性格です。

 あれから五年が過ぎた。

 子どもながらにして、思考が大人びている事は少し周りに気づかれたが、大した騒ぎになる事はなかった。

 十五才で成人とされているこの世界では、もう一人立ちの準備を始めている。

 今俺がやっている稽古もその一環だ。

 父親が剣術に対して秀でているため、剣術の稽古は欠かせないらしい。

 父親と手合わせをしているが、全くもって一撃も通らない。

 心が折れそうになるが、十才の少年が大人に勝てるわけがないとも思っている。

「ほらサン、立つんだ。そんなんじゃ強くなれないぞ」

 父親が煽る。

 強く。強くはなりたい。

 簡単に死なないようにはなりたい。

 神様は「簡単に死なないように」と言った。

 それは簡単に死ねるような世界であるという事だ。

 折角、生まれて来たのだ。

 また生まれさせていただいたのだ。

 簡単に死んでたまるか。

 俺は必至に立ち上がり、父親に剣を向けた。

 これほど強くなりたいと願っているには訳がある。

 あと三ヶ月ほどで実り多き季節になる。

 近くの街では豊穣祭が行なわれ、そこで十才を迎える子ども達は教会からステータスプレートとなるものを授かる。

 ステータスプレートは自身の能力値を知ることが出来、適した職へ導かれる。

 「適した職」であって、自分のなりたい職ではない。

 当然、その告げられた職に就かないといけない。というわけではない。

 ただ、就きやすい職というだけだ。

 しかし、その街へは片道二日間という道のりがある。

 道中魔物などから襲われる可能性がある。

 襲われても撃退出来るようにこうして稽古をつけてもらっているのだ。

 当然、子どもだけで街へ行くわけではない。

 だが、念の為強くなっておけ。という事だ。

 稽古の半分は父親の趣味なのだろう。

 だが、サーラを守れるだけの力は欲しい。

 また父親に剣を弾かれた。

 疲れからか、腕が震えているのがわかる。

 けれども俺は立ち上がり、剣を向ける。

 早く。強く。速く。

 悔いのないように。

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