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ガールズバンド+one  作者: 紅
3/4

メンバー

はぁ


昨日の部活動紹介の一件が過ぎ

俺たちは朝早くから

案の定説教を受けていた。


『こうなったのはお前のせいだぞ』


『ごめんなさい!』


黒木は深々と頭を下げるが

その顔は笑っている。


2人で教室に戻りながら歩く、

周りの男子は密かに俺らを見て笑う

まるで

しかし

廊下を2人で歩くのはなんかこう

あれだな違和感というかなんというか…


『というか、お前はもともと吹奏部だろ?』


『あーそういえば言ってなかったね!

私、バンドに興味があって…それでね!』


確かこいつは軽音部の中でも

下手くそだと有名だったな


『そうか、それより早く俺と別れた方がいいぞ』


『え?なんで?私達ってその…』


急に顔を赤らめる


『何言ってんだ?』


『あ、あの、わ、わ、私達はバンドを組むってだけで付き合ったわけじゃないから』


『は?何言ってんだ、俺はただ…』


『あ、そうか!そうだよね今すぐ俺から離れろ的な意味だよね!ごめんなさい!』


はぁ…知能もご愁傷様らしい


駆け抜けるような足音とともに

向こうから女子三人組が駆け寄ってくる。


『あ、果南ちゃんたちだ!あの、とりあえず

部活として申請するには5人以上必要らしいからとりあえず放課後、選択教師で!』


そう言って3人組の方へ走り去っていく


『心配いりませんってか』


自分の教室に戻り席に着いた時


まるで俺の帰りを待ってたかのような

速さで一人の女がやってくる


『よう!真也!久しぶり!』


なんだよその

文に三回ビックリマークが

入りそうな喋り方は


『なんだよ真也ー無視すんなよー』


『なんだよ、俺は今忙しい』


赤毛のポーニーテルで女子の冬服をまるで

男のように着崩しているこの女は春先 蓮菜

俺の中学からの知り合いである。

というかこいつも同じクラスか。


『いやー元気してるかなーと思ってさ』


こいつは俺がバンドを組んでいた当時

中学校のバンドコンテストに出場その時

東高校のバンドのドラマーをやっていた女だ。当時は天才ドラマーとして名を馳せていた、また天才か


『まぁ普通だ』


普通の人間ならここで


今ドラムやってんの?やってたら俺と

バンド組まない?


と、聞くだろう、だが、俺は違う

何故なら知っているからだ。

春先は中学2年生の最期のコンテストで

右腕を骨折そしてその影響から彼女の名前は音楽界から消えて言った。


恐らくは挫折したのであろう。


思い出したくない過去と言う同じ物を

背負うものならば

こんな質問はする気にもならない


だがそんな不安は彼女の言葉が簡単に

奪い去って言った。


『真也は今どうなんだ?』


『特に何もない、普通だ』


『そうか、私は一応続けてるぞ、ドラム』


何?続けている?ドラムを?


『あんな事があってもさやっぱ楽しくって』


そう笑顔で彼女は続ける


『お前の事は重々知ってるよ、まぁまた何かする時があったら呼べよ』


そう言って彼女は席に戻る。


あいつが言ってた

自分から逃げてるってこういう事なのか?


ふと右手で気にも留めないはずの小さな小さな消しゴムのカスを払う。


『1時間目は日本史か』


そう言って授業の準備を始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


学校が終わり


俺は言われた通り

選択教室にやってきた。


するとそこにはとんでもない張り紙が

貼られていた。


(バンドメンバー募集中!)


ここまで見れば大した事ではない

普通の事である、だが俺が注目したのは

そこじゃない


(主に下手くそな人、苦手な人大歓迎)


主にってなんだよ主にって


そう思いつつ

張り紙の貼られたドアを開けると

そこにはまたまた異様な光景が広がっていた


中央に長机が置かれ、手前側に数名の

女子が座っていた。


そして机を挟んだ奥には一人の女が座っていた。間違いない 黒木葉音 だ。


『おいおい、何してる』


『何って審査だよ!』


『審査?』


そもそもメンバーが集まった事自体

素晴らしい事ではあるのにその上審査だと?


『そんな事はいいだろ。まず誰がどの楽…』


『ちーーがーーうーー!』


こいつの叫びは何か凍らせる力でもあるかのように俺と来ていた女子たちも一瞬で凍りつかせた。


『あ、まず皆さん、この方が我らバンドの

ギター担当 都城 真也 くんです。』


『なんだよ!何が違うんだ』


『私はねこの方々の経歴を調べたいのだよ』


『経歴?』


『そうだ。だから君は座っていてくれ』


『てか、なんだよその口調』


実際俺も"仮"入部しただけではあるし

設立者もこいつだ、一概に俺が

辞めろとは言い切れないだろう。


『余りにもやりすぎるようなら、止めに入るぞ』


そう言って黒木の隣にパイプイスを置き

座る。


『では早速!

審査を始めたいと思いまーす!』


軽快な口調で黒木は始める。


『まず一番、赤坂 日菜子ちゃん』


『はい!私は中学3年生の頃からギターやってました。なのでここでも軽音部に入りたいと思い、ここに来ました。』


ほう、なかなかじゃないか

それにこいつのギターテクニックよりは

数倍ましだろう。入部でよくない?


『ダメね、ギターは間に合ってる。次!』


なんだそれは?

失礼すぎる審査だ。

これが全員一年生で本当に助かった。


次の女子は自信満々の笑みで立ち上がる


『はい!私はベースをやっていました!』


『ずっと?』


『はい!中学からずっとです』


これは良く無い?これはいいでしょ

ベースいないしちょうどいい。


『ごめんねーベースは他にいるのー

だからドラムがいいな!』


満面の笑みで言っているが

実際は


募集する前から既にメンバーはほぼいましたよって事になる。

そして何よりこれは嘘だ。


こいつ、これで良く友達がいるな。


一様、3人いたのだが3人目の女子は

悟ったのか他に2人とともに去っていく。


『おいおい!こんなのする意味あるのか?

しかも嘘をついてまで!貴重なベーシストを逃したぞ』


『はぁ、分かってないなぁ!真也くん

私はねストーリーを大事にしているの』


は?

まるで意味が分からない


『だからこそ君じゃなきゃダメだったし

だからこそのこの審査なんだよ』


はぁ、つぐつぐ

こいつにはついていけない、もういい


『それよりお前ドラマーが欲しいって言ってたな』


『うん!そうだよ!』


『1人いるぞ、当てが。まぁお前のご希望に添えるかは分からんが』


『どんな人?ねぇどんな人?』


飛びつくように顔を近づけて

目を輝かせながら聞いてくる。


『元々はとんでもない

ドラマーだった、ただ…』


『ただ?』


『昔ライブ中の事故で腕を骨折し、そこから

一切ライブには出なくなった。今もドラムは

やってるそうだから、もしかしたらな…』


『それだーーーーーーーー!』


黒木は目を輝かせながら笑顔で声を張った。


『すぐに行こう!その人のところへ』


そういうと、俺の右手を掴み教室を

飛び出した。


『おい、そんなこと言ったって俺はあいつが今どこにいるか知らない』


『どんな見た目?』


『赤髪のポーニーテルで背が高い!』


『何か香水はつけてる?』


『分からないが、何か塩っぽい香りはする』


『分かったーー!』


そう言うと俺の右手を掴んだまま

中庭へと駆け出した


するとの真ん中に1人たたずむ

女性がいた。間違いない、春先 蓮菜だ。


『お前、よくわかったな』


『ふふふ、乙女の洞察力を舐めないで下さります?』


そう言って後ろを振り向きウインクをする。


やめろ、それ可愛い


『ここからが大事だぞ』


『はぁ〜どんな人かなぁー?』



そうだ、ここからだよ

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