銃とわたしっていうタイトルが一瞬思い浮かんだけれども僕はそれよりも言葉が出ないぐらいの痛みの中で、人間がこれほどのことができるっていう光景を見せつけられたよ
突入隊がなだれ込んできた。
「ガトリング様‼︎」
ミツキさんが叫ぶ。
「白旗を揚げなさいませ‼︎」
「それが貴女様のご注進とあらば」
ガトリング達は銃をごろっと床に落とし、両手を頭の上で組んだ。
「フリーズ‼︎」
若い警官が銃を構えて怒鳴る。が、彼の経験の薄さのせいか、ガトリング達が全くの無抵抗であることに目がいかない。驚くべきことにその警官はフェザータッチに近い引き金をもう引き切ろうとしていた。
「危ない‼︎」
誰の声だろうと瞬間わからなかったけれども、叫ぶと同時にユウリがその警官にタックルしていた。
ガオン、と一発銃声が響き、天井にふすっ、と弾丸が突き刺さる。数人の警官がユウリを取り押さえにかかる。僕は無言のまま反射でユウリを押さえ込んだ警官の1人の脇腹を力任せに蹴った。
まるで戦場で錯乱した武士にした時のように。ただ、今回は一撃目から全く躊躇せずに蹴った。
呻く警官を脇に、数人の警官が今度は僕を潰しにかかる。シャキッ、と特殊警棒を伸張させるその動きでもって棒の先端で僕の右手の甲に打撃が加えられた。
「・・・‼︎」
砕けた、と思った。痛みの余り声にならない。
けれども目は開けていた。僕の視界にガトリングが銃を拾おうとする動作が見えた。僕は、叫んだ。
「ミツキさん、ガトリングを止めて‼︎」
ガトリングは左手でリボルバーを拾い上げる動作の中で既に警官に照準を定め、引き金が絞られシリンダーが回転を始めていた。
気付いたミツキさん、間に合わない、と判断した彼女は、銃口の前に自分の一番肉厚となる胴体の部分を投げ出して照準に割って入った。
ガトリングのリボルバーの連動はもう止まらない。至近距離すぎて銃口をどう逸らしてもミツキさんへのダメージは避けられない。ガトリングは思わぬ処置をとった
「おうっ‼︎」
空いた右手で銃口の先のサイレンサーの部分をガシッと握り込んだのだ。撃鉄は振り下ろされ、薬莢の中の火薬が炸裂した。プシッ、という音と同時に魔法少女ギガのタトゥーが血に染まっていく。
ハードコアバンドのヴォーカル風にメイド服を着こなしたお姉さんが叫んだ。
「魔法で止めた‼︎」