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アキバなんか行きたくないけど近くまで来てしまったので幼なじみのユウリから誘われたけれども行きたくないなあ、やっぱり

「やだなあ、東京」

「え。高校生男子にしては意外な発言。ヒロオ〜、遠慮しないでアキバとかも行きたきゃ付き合うよ。メイドカフェとかわたしも興味あるし」

「いいよ、そんなの。面倒臭いんだよ、人ばっかり多くて」

「来ちゃったものはしょうがないでしょ」


ユウリになだめすかされるようにして僕らは御茶ノ水の坂道を上っていた。目的地は『カネカシ大学』。カタカナで発音のみ表記すると冗談みたいな学校だ。漢字でちゃんと書くととてもアカデミックな意味を持つ大学なんだけれども、面倒臭いのでこのままで通させてね。


で、僕とユウリがなんでわざわざビジネスホテルの別部屋をそれぞれ予約して泊まりがけで東京くんだりまでやってきたのか。


「jdの情報、結局これだけかあ」

「まあでもヒロオにしては努力できた方じゃないの」

「そうだね。投稿サイトにプロフィールも満足になくって、『ガトリングコミッティー・ストライクス・アゲイン』と『ガトリングコミッティー・ストライクス・アゲイン、アゲイン』の中に書かれた情報しか手がかり無かったからなー」


『jd』は女子大生のことだ。けれども決して僕を色ボケの高校一年生男子と認識しないで欲しい。ましてや同行してくれたユウリもごく普通の高校一年生女子で、特殊な嗜好を持つ女の子では決してない。(多分)

jdがネット小説サイトに投稿したプロット的なこれらの短編によれば、彼女は『長谷ハセちゃん』と呼ばれている。そしてぱっとしない大学の文芸部に所属しており、過去にとある文芸誌のコンテストに応募した『自転車に乗るわたし』という小説で二次で落ちた経験を持つ。残念ながらこの小説からは何の情報も得られなかった。だけれども、彼女が所属する文芸部には超優秀な『花井ハナイ部長』がいる。この先輩はこれまたとあるネット小説コンテストで大賞を取っており、本も刊行されている。しかも大手文芸誌の内定も得ている才女だという。花井部長の情報から彼女らが通う『カネカシ大学』が特定できた。


そして僕は『長谷ちゃん』が書き始めるであろう、『タイシとシナリ』っていう小説に対して重要なアドバイスをするためにこうやって東京まで来たわけだ。(大変失礼ですが、『ガトリングコミッティー・ストライクス・アゲイン トリプルアゲイン』に詳細が書かれています)


「ヒロオ、あれじゃない?」

「え? まさか」

「でも、地図だとどう見てもここしかないよ」

「小学校かと思った・・・」


ぱっとしない大学、っていうのは長谷ちゃんの謙遜の言葉かと思っていたけれども、 決してそうではないと強く思った。

それどころか、もっと積極的に自虐の表現をすべきだという軽い憤りすら感じたよ、僕は。




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