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雰囲気と確信


「この後授業は?」僕は咲に声をかける。

「今日はこれで帰るつもり」

「よかったら学校の周り散歩でもしないかい?」少し強引に誘ってみた。

「いいよー行こっか!」


咲と並びながら学校を出る。言い方は悪いかもしれないが咲は並みの女の子だ。悪い意味ではなく良い平凡さがある。

顔、身長、体重…どれも平均くらいだ。


「どこに住んでるっていったっけ?」本当に忘れてた。モノを覚えるのが苦手なのだ僕は。

「埼玉だよ。部活がね埼玉のキャンパスだから。」


僕の大学は合計で4つのキャンパスがある。基本的に学部で分かれているが部活は埼玉のキャンパスと決まっているのだ。


「なんの部活?」

「弓道だよ。高校からやってるの」

「弓道か…イメージ湧かないな」

「ふふ、そうだねーまだまだマイナーなスポーツだからね」


聞くところによると咲は青森の出身で一人暮らしをしているらしい。


「少し小腹空かない?カフェでも入ろっか」僕は咲に言った。

「うん!」


元気がいい、とにかく活発でしっかり者。咲に対してはそんな印象だった。

カフェに入り僕は紅茶を、咲はなんちゃらフラペチーノを注文していた。

窓側の外が見渡せるテーブル席に僕たちは座った。


「慶太のサークルは?」

「まだ迷ってる」


おっと、僕の話をしていなかったな…

神城 慶太(かみしろ けいた)

新潟県の地方出身 いわゆる田舎だ。

高校時代はテニス部。

高校時代に交際した人数2人。

色白で痩せ型。

性格は自分に甘く物事をなんでも合理的に考えなきゃ気が済まない。

小心者で曲がったことは嫌い。


…こんなところか



「一応何するかは決めているんだ」

「そうなんだ。なにやるの?」

「高校からやってるテニスかな。部活はやるつもりないからサークルで」

「テニスいいなー。私の球技下手なんだよね」

「そんな感じする」冗談めかしく笑いながら僕は言った。

「ひどーい」咲は泣くようなそぶりをしてみせる。

「嘘だよ」僕は言った。


そんな話をしているとあっという間に夕方になってしまった。


「今日この後の予定は?」僕は咲に聞く。

「帰って寝るだけだよ」

「そっか…よかったら俺の家で少し飲む?」流石に早すぎると思ったが勢いで言ってしまった。

「うーん…いいよ!」咲はニコニコしながら言った。


まさか、意外だった。

ダメ元で本当に少ない可能性の答えを求めて聞いたに過ぎなかった質問にまさかの答えが返ってきた。

出会ったばかりの男にホイホイついてくるような女には見えないが…



「マジか!じゃあ、行こうか」


僕たちは地下鉄へ乗った。

地下鉄の車内は仕事帰りのサラリーマンでごった返していた。

自然と咲との距離も近くなる。


場の雰囲気というものがある。雰囲気というのは実際にその場にいた人間にしかわからない…

僕はその雰囲気を感じ取り咲の頭を撫でた。

どんな反応をするだろうか。


「ありがと…」咲は恥ずかしそうに呟いた。



間違いない。この女は俺に惚れている。僕は確信した。


僕の家の最寄りに着くまで数回頭を撫でた。

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