再偶
かなり久しぶりだったが、森の様子は以前とそう変わってなく、日が暮れる前には家の裏手に着くことができた。
森とは対照的に家の様子は変わり果てていた。庭だった場所は所々面影残したまま草花に覆われ、壁には蔦が張っていた。
「えーと、僕が12歳の時にここを出て今17歳だから…5年でこんなになっちゃうんだ…」
昔過ごした家のこんな状態を見るのは少しショックだった。
草を掻き分けながら表に回ると、ドアに鍵を指し、開ける。
ギギギ…
と木の軋む音とともにドアは開いた。中は少し埃が積もっているが綺麗にしたら使えるようにはなるように思えた。
「えーと、こんな風だけど、僕の家にいらっしゃい。ゆっくりしていっね。」
少し、恥ずかしげに笑いながら僕は言った。
「森の中よりは全然いいし、それに立派なお家だったのは分かるよ。立派でそして、幸せに満ちた。」
ミーナは机の上に置いてある写真立てをにっこりと見つめて言った。
懐かしい。僕がお父さんに抱きついている写真だ。
他にもあたりを見回すと懐かしいものに満ち溢れていた。僕もミーナもそれらを手に取る。
「あっ、その前に寝るところを確保しないと。」
ミーナはそういうとベッドを指差した…確かに寝ることができるような状態ではない。
僕たちは寝れる場所を確保できるように、部屋の整理を始めた。それにならって僕も手伝う。
すっかり日が落ちたあと、何とか寝るスペースは確保できた。部屋の真ん中には明かりを確保できるようにと小さなランプ置いた。
「ふぅ、ありがとう。何とかできたね。」
僕がミーナの方を振り返りながらそう言うと、
ぐぅーーー
ミーナのお腹がなる。ミーナの顔が赤くなる。
ぐぅーーー
つられて僕のお腹もなった。
僕は思い出す。
「ごめんね、これしか持ち合わせてないんだ。」
ポケットに入っていた、袋入りのチョコを取り出す。二人で割って食べた。
「ありがとう、リーク。明日は何か食べ物を探そうね。」
そういうミーナの顔はまだ赤かった。
僕は父さんのベッドに、ミーナは僕のベットで寝ることにする。ランプを消してベッドに入る。一人になることで、いろんなことを考えてしまう。昨日まで僕は自分の就職のことを考えてたのに…でも今は……
寝返りを打つ。
反対のベッドからは、小さい泣き声が聞こえていた…
次の日眼が覚めると、部屋が昨日より片付いていた。
「あっ、リーク起きたんだ。おはよ。これここに置いておくよ。」
エプロンを付けたミーナが、小さな箱を持ってそういった。窓からは光が差している。
「おはよう、ミーナ。片付けてくれたんだ。」
「少しだけだけどね。あっ、これ私が寝てたベッドの下にあったんだけど…」
そう言うと、ミーナは手に持っていた鍵を渡してくれた。
「鍵……?なんのだろう。」
家の中に特に思い当たるものはなかった。とりあえず、ポケットに入れておく。
「ねー、ミーナ。下の村の方へ行ってみようよ。お世話になってた人達がいるんだ。」
「うん。」
ミーナは返事をするとローブを被った。尻尾を出して、村人を怖がらせていけない。
僕達は家を後にした。
人口およそ100人、そのうちの多くがおもに農業、林業で生計を立てる。それが、僕のお世話になっていた村、カナト村だった。僕が旅立った頃と様子は変わっていなかったが、そこで目にしたのは……
「お久しぶりって、ほどでもないかな?リークくん。」
青い髪に、魔導師のローブ、長い杖を持った
ユング……