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勇者が世界を救っても  作者: なるる
首都セネーブ
5/18

発覚 リーク

町の広場は案の定、お祭り騒ぎだった。7人の勇者と国王、そしての多くの国民が集まって、飲んで食べてのどんちゃん騒ぎだ。一番真ん中のステージでは国の演奏隊による、演奏が行われ。その奥には国王と勇者達が座る特別席。周りを国民が囲ってその周りをぐるーと囲むように出店が出ていた。


「中央に何の用事なの?」


僕は隣でキョロキョロしている女の子に聞く。誰かを探しているのは分かった。ただ何かを怖がっているような…


「お父さんを探して…」


答えながらも、顔はあっちを向いたりこっちを向いたりしていた。ただ、悲壮な表情を浮かべていた。お父さんと聞いて、父親を思い出す。街にくる途中にはぐれたりでもしたのだろうか。


「どんな姿?僕も探すのを手伝うよ。」


そう言って、ミーナから目をそらして周りを伺う。返事は帰ってこない。もう一度ミーナの方をみようとすると、突然声をかけられる。


「おー、リークじゃん。結局きたんだ。」


リンだった。いつもは伸ばしっぱなしにしている黒い長い髪を、帽子にしまい、衛兵姿をしている。最初から魔法が使えたリンは学校が終わる時に衛兵として国に雇われたのだ。今日はお祭りの見張りをしているのだろう。僕にはその姿は少し眩しかった。


「やぁ、リン。いやこの子が…」


そこで気づく、さっきまで掛かっていたあるかないか分からない位の体重を感じない。


「えっ……?」


ミーナの方をみると、そこには誰もいないった。


「ミーナ。」


あたりを見回す。周りは人でごった返していて、見つけることができない。


「ミーナ。」


リンが不思議そうな顔でこっちを見ている。リンに話して助けてもらおうと思ったが彼女は仕事中で、邪魔をすることはできない。


「人を探してるんだ、後でまた話すから。」


それだけ告げるとミーナを探しに歩き出す。


「うん、また。」


不思議そうな顔をしながらも、彼女は手を降って仕事に戻っていった。


人を掻き分けながら、ミーナを探す。見つからない。


パパンッ、


突如今まで鳴り響いていた音が止み、周りが静かになる。演奏隊による楽器演奏が終わったのだ。周りの人々も次の出し物を待っているのか、今までのどんちゃん騒ぎが静かになる。


コツコツと靴音を鳴らしながらマイクを持った司会の男がステージ上に上がっってくる。


「えー、続きましてー。この度、英雄の方々は我々人類に対して残虐非道の限りを尽くした悪魔の一味を数人捕まえてきてくださいました。これよりその公開処刑を行います。」


いたるところから歓声が上がった。僕は耳を疑った。公開処刑、嫌なタイミングで来てしまった。祭りのどこがで公開処刑が行われることを僕は知っていた。だから、近寄りたくなかったのだ。


ステージからなるべく離れたところに行こうと歩みの方向を変える。


視界の端をローブが横切る。


すぐにステージの方に向かってフラフラになりながら歩くミーナを見つける。今にも倒れそうだ。


「よりにもよってステージの方…」


そうは言いながらも、足はもうステージの方へ向かっていた。


「さーて、みなさまこちらがその魔物どもでごさいます。こいつらに苦しめられ、殺された人たちがどれほどいたことか。」


司会が民衆を煽るとあちらこちらで声が上がる。


「そうだーー。」


「よくもやってくれたなー。」


「私の息子を返してよ。」


ステージ上には、詠唱ができないようにと口を封じられ、ボロボロになった魔物たちが、縛られていた。




嫌悪感を覚えつつも、人ごみを掻き分け急ぐ。ミーナはいつ倒れてもおかしくない。だが人ごみのせいでなかなか前に進めない。


「さて、今回は7人の勇者の一人。魔法のユングさんに公開処刑をおこなってもらいます。ユングさんこちらへ。」


勇者の一人がステージに立つ。割れんばかりの歓声と拍手が広場を包む。


嫌な予感が脳裏をよぎる。ミーナの方へ急ぐ


「それでは、処刑の前に一言お願いします。って、うわぁぁーーーー、悪魔ぁーーーーー。」


ステージの前につく。そこでは、


「魔物が出たぞー。」


「取り押さえろー。」


ミーナを取り押さえる衛兵達と、ステージに向かって手を伸ばすミーナの姿があった。後姿には人間にはないはずの、尻尾が揺れていた。


「おとうさぁーーーん。」


ミーナが叫んでいた。

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