天罰
久しぶりの投稿です。
勉強で忙しい身ですが、時間を見つけて頑張っていこうと思います。
「おい、こっちにいるぞ。」
彼らのいる場所と僕たちのいるところは少し距離が離れているにもかかわらず、彼らのそんな声が聞こえてくる。
木陰から彼らの様子を伺うと、何かを追っているようだった。
くいっ、くいっ、
ミーナが僕の袖を引く。
「大丈夫??」
不安そうに、こちらを見ている。僕はミーナの不安を消すように、少し微笑むともう一度彼らの方を向いた。
『おい、ありゃー。追われてるの魔物じゃないか?』
ガルダからはどの距離が見えているんだろうか?僕には追われているのが何なのか見ることはできなかった。
『おいおい、あの子挟まれたぞ。ありゃー。捕まっちまうな。』
僕は木陰から出て、彼らの方へ向かう。
「ミーナ。ちょっと待っててミーナの仲間かもしれない。追われてるんだ。」
ミーナも出てこようとするが、目で出てこないでと合図する。僕はミーナだけは絶対に危険に晒したくはない…僕のエゴかもしれないけど。
「おい、もう逃げ場はないぞ。いい加減観念しろよ。」
周りを三人の男達に囲まれ、私の足でも、もう逃げるのことができないことは明白だった。
「止めてよ…」
彼らの手が伸びてくる。
私の脳裏には彼女の悲しそうな顔だけが浮かぶ。そうだこれは天罰なのだ。彼女を殺してしまった私への…
私は諦めて目を瞑った。そんな私でも捕まってしまうという現実から目を背けたかった。
「ねぇ、お兄さん達なにかあったんですか?彼女の嫌がってるように見えるですけど…」
突然、さっきまでの男達とは違う声が聞こえてきた。はっと、意識が現実に戻る。
私は薄目を開けて、様子を伺う。
私を追いかけていた奴らとは違った人間が、彼らに話しかけていた。
「は?嫌がってるも何もこいつ魔物だぜ?見ろよこの耳。」
彼らは私の耳を指差す。私の耳はいわゆる動物でいう猫と同じような形の耳をしている。
「分かってますよ。でも…彼女があなた達に何かしたんですか?」
「おいおい、てめぇ。自分で何言ってるかわかってないみたいだな。こいつらのせいで俺たち長年苦しんだんだよ。なぁ?わかるか?」
「そんなの関係ない。この子が何をしたっていうんです?」
彼の語尾が強まるのを感じた。
彼らは何だか揉めていた。止めてくれた彼に見覚えはない。彼に義理も…ない。私はこっそりその場を後にしようとする。
「おい、どこへ行くんだよ。」
囲んでいた1人に耳を掴まれる。
「何逃げようとしてんだ?」
すかさずもう1人も寄ってくる。
シュッ…
「理由がないなら彼女を離してください。」
彼の剣が寄ってきた男を貫いていた。貫かれた人間は傷を負うことなくてその場に倒れる。
「魔物を庇って人を襲うなんていかれてやがる。」
私は投げ出され、仲間を切られた人間は彼の方へ怒声をあげながら向かうが、剣を向けられると怖気づいたのか倒れた仲間を抱えて行ってしまった。
「大丈夫?君?」
彼を見上げる。彼は私に手を差し出していた。どうして私は助けられたんだろうか。こんな罪深い私が…
そんなことを考えながらも彼の手を取ってしまう。
「さぁ、起きて。どうして追われていたの?」
彼の笑顔が私には眩しかった。