表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者が世界を救っても  作者: なるる
魔導師 ユング
16/18

僕とミーナは丘へ上がる一本道を歩いていた。ミーナは僕より少し先を歩いている。


『あれで良かったのか?』


ガルダ鞘から少しだけ、刀身を出してが聞いてくる。


昨日、ユングを倒した後。僕はユングやカリナを含めて、その場にいた兵士、そして村のみんなの記憶を書き換えた。僕は村には戻ってきてはおらず、ユングの軍は僕達を見つけてはいない。


「良かったんだよ。もう、あの村は僕の居ていい場所じゃなくなってたんだよ。」


綺麗に晴れた空を見上げる。昔の村での思い出が蘇る。だが、昔は昔。僕が今あそこの村に居ては迷惑しかかけない。


『まぁ、お前がいいってんならいいか。心は読まないでやるよ。』


ガルダはそう言うと、鞘に収まった。


「リークーーー。」


丘の上ででミーナが手を振っている。次の目的地はミーナの故郷の近くだ。故郷の村自体は英雄達に破壊されてしまったが、村のみんなは近くの森にばらばらになったらしい。ミーナの父親は他のみんなを逃して、自分とその仲間達だけが捕まってしまったそうだ。


僕は軽く小走りでミーナのところまで行く。


「リーク見て、村があんなに小さく見えるよ。」


ミーナが僕の後ろを指差す。


僕は丘の上から後ろを振り向く。僕の育った。大切な人たちの村がそこにはポツンと小さくあった。


「いこう。ミーナ。僕の居場所はもう無いんだよ。」


僕はそう言って、歩き出す。


そんな僕の手をミーナがつかむ。


「私と一緒に行くんでしょう。そこがリークの今の居場所だよ。ちゃんとあるよ。」


ミーナの綺麗な瞳が僕を捉える。不意に泣きたくなって、顔を背ける。


「うん。ありがとうミーナ。」


僕とミーナは一緒に歩き出す。丘を下るとだんだんと村が見えなくなる。


さようなら。僕の…


僕は少し振り返ると、心の中でつぶやく。


ガルダが優しげに紫色を光らしたように見えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ