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勇者が世界を救っても  作者: なるる
魔導師 ユング
11/18

敗北

第9部の最後を変更しました。細かいところは各部で直していますが大きなものだけご報告させていただきます。

「もう、なんで何も言わずに行っちゃったのよ。」


顔面に蹴りを入れられた後、ぼくはその場に正座されていた。ミーナはどうしていいのかわからずにオロオロしている。


「ごめん…僕一人ならまだしも君を……カリナを連れて行くなんてできなかったんだよ。」


ドンッ


今度は、荷物で叩かれた。ミーナが肩をビクッとさせる。


「それが『さよなら』も言わずに行っちゃった言い訳?…ふーん……で、後ろの人は誰?今更どうして?…」


頭上からは質問が雨のように降ってくる。


「いきなり質問浴びせかけないでよ。えーと、彼女はミーナ。えーと…町で知り合ったんだよ。で、帰ってきたのは、ちょっと街でいろいろあって…」


ミーナがちょこんとお辞儀をする。


「ふーん…」


カリナはまだ訝しむような目つきで僕を見ていたが、少しして落ち着いたのか、ふっ…と一息吐いて肩を下ろした。


「えーとね、カリナ。今日はネールさんに頼まれて、お使いに来たんだ。えーと、これと、これとこれ。」


僕は正座をやながらメモを取り出して、指差しながら言った。


「はい、はい。もう、いっつもそうなんだから。はいこれ。」


カリナは手早く僕が告げた商品を箱に入れると僕に渡してくれた。


「ありがとう。えーと、またね。」


僕は告げて、逃げるようにして店を後にした。





「どういう関係なのあの人?」


村長の家に引き返しながら、ミーナに聞かれる。


「村長さんの娘さん。僕とカリナは父さんが死んだ後、一緒に育てられたんだよ。」


「ふーん。」


ミーナはなんだか面白くなさそうだった。


元来た道を辿っていくと、村長の家が見えてくる。


扉に手をかける。


ガタッ


中で何かが動くような音がした気がした。ドアを開ける。


ギギギ…


そこで迎えてくれたのはネールさんではなく


「お久しぶりって、ほどでもないかな?リークくん。」


ユングだった。


咄嗟にミーナを庇いながら、後ろを振り返るが衛兵たちに囲まれている。


「ふーん、やっぱり私の思ってたとおりだったね。絶対ここにいると思ったよ。」


そう言いながら、ユングはニヤリと笑う。


「君たちのせいでねー。私の面子は丸潰れだよ。大勢の前でこの私が魔物を逃すなんてねー。本当に、あのクソ悪魔め。」


僕と、ミーナはユングを睨みつける。ユングはあざ笑うかのように手をヒラヒラと揺らす。


「そんな目で見ないでよ、もちろんそこの悪魔の父親はちゃんと後から息の根を止めたから。安心してよ。」


ミーナが怒りを抑えきれずに詠唱を始め水魔法を打ち込むが、ユングに土魔法ですぐに相殺されてしまう。


「あー、弱い弱い。弱いよー。」


そう言うと、ユングは炎魔法を打ち込む。ミーナが水魔法で相殺しようとするが、なぜか相殺できずに庇っていた僕の体に直撃する。


「くっ……」


身体中を暑さを通り越し冷たく感じる痛さが襲う。そのまま僕は身体を吹き飛ばされていた。家の外に倒れる。


「リーク…大丈夫?」


ミーナがこっちに走り寄ってくるが、


「ほら、捕まえてよ。」


ユングが、そう言うと衛兵たちがミーナを拘束して連行しようとする。助けに行きたいが体が動かない。


「ミーナァァ……」


声にならない声を喉から絞り出すが届かない。


「この悪魔はセネーブへ連れて行き公開処刑をもう一度行うんだよ。君はこの村の人たちとの交渉によって助かったんだ。ありがたく思いなよ。じゃぁねー。」


ユングが僕をニタニタ笑いながら告げる。僕は睨みつけるがユングは気にもとめずにミーナをつれていってしまった。


「ミーナ……」


また、僕は自分の力でミーナを守ることができなかったのだ…


「リークくん大丈夫かい?」


離れていたところで見ていた、ネールさんが近寄ってくる。僕はネールさんも睨む。


「なんで、なんでネールさんがこんなことを…」


「リークくん、目を覚ませ。悪魔なんかと一緒にいてはダメだ。危険すぎる。君は騙されていたんだよ。もう大丈夫だから。」


周りにはさっき商店に行く途中にあった大人たちが集まってきている。


「僕はミーナを追う。邪魔しないで。」


そう言って立とうとするが体が動かない。


そんな僕をネールさんは一瞥すると、周りのみんなに目配せをした。

僕はネールさんの家の奥の部屋に運び込まれる。


「リークくん、君が目を覚ますまでここにいてもらう。私たちだって悪魔が怖いんだ。君に何かあっても困るし、私は村長としてこの村に厄介ごとを持ち込みたくない。」


そう言って扉を閉めると、鍵を閉めていってしまった。

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