プロローグ
初投稿ではないですが、久しぶりの投稿です。拙いところもあると思いますが、 感想などいただければ幸いです。まずはこの作品を読もうとしてくださり、ありがとうございます。
ドドン、ドドンドン、ドドン
太鼓が鳴り、ラッパの音が響き渡る。町の中央の広場は、民衆の群れであふれていた。街の隅々に至るまでお祝いムードで満たされており、どこを見ても人々の笑顔で満ちている。中央の広場では、みんなが同じ方向を固唾を呑むようにして見ている。太鼓の音だけが響く。
ドドン、ドドンドン
また太鼓がなる。音が空気に吸い込まれる。しーん、とした雰囲気の中、7人の集団が見え始めるとざわざわと、ざわめきが起こる。民衆の目は輝き、期待に満ちていた。
ドドン、ドン
7人はそれぞれに武器を持ち、胸を張って行進してくる。皆見た目が違うが、誇らしげに民衆に笑顔を振りまいている。
ドドン、ドドン
街の真ん中に来ると、その集団の先頭の一人が手を挙げる。
「ありがとうー!」
「よくやってくれた!」
「助けてくれて、ありがとうー!」
先ほどの静けさからの反動からだろうか。太鼓の音すら掻き消してしまうほどの大きな声が群衆の間を飛び交う。その中には子供を胸に抱え涙ぐむ女性までいた。歩くことすらままならないであろう老人までもが喜びに浸ったり、歓声を上げている。
ドドン、
太鼓の音が止む。広場の中心では王冠を冠った王様が、待ちきれずに立ち上がってその7人を迎える。
先ほど手を挙げた男が町の中央にいる国王の前に跪く。その一挙一動に民衆は騒めく。
国王も妻を傍らに寄せ、どこか誇らしげに証書を開く。
「汝達は、困難を乗り越え我が国を、いやこの世界を救ってくれた。感謝しても仕切れないが、その印としてこの国最大の栄誉を評する。本当に良くやってくれた。」
王女は涙ぐみ、ハンカチで顔を覆う。
そう、今日は魔王が倒された日。人類のこれからが約束された日だった。世界に平和がもたらされ、どんな人にも安全が約束された日だった。そう、人類にとっては…
光には影がある。
その日は魔物にとっては、死を宣告された日でもあった…