ポルターガイスト
今日は、おばけの機嫌を損ねてしまった。
いつもこの時間はおばけが好きなテレビ番組がやっているのを知りながら、どうしても見たい番組があったのでチャンネルを変えてしまったのだ。
そこからが酷かった。
まず、テレビ画面がぶつんと音を立てて消えた。いくらリモコンを操作しても映らないが、電源プラグはしっかりとコンセントに刺さっている。
不思議に思っていると、蛍光灯がちかちかと途切れはじめ、部屋中の物という物が飛び交い始めた。
本棚の本から夕食のから揚げ、果てはナナシの置いていったスライムまで飛ばすものだから、こちらも頭に来てゴーストバスターに電話をする。
地縛霊が暴れているので退治して欲しいと伝えると、10分もしないうちに来てくれた。
防護服と掃除機で武装したゴーストバスターは、いまだに散らかり続ける部屋と頭からスライムを被った私を見て息を呑む。相手が強敵であると判断したらしい。
「今回は手強い霊なので、鎮めるのではなく除霊にしましょう」
その言葉に宙に舞っていたものが静止し、派手な音と共に床へ叩き付けられる。
「でも、そんなに悪い奴じゃないですし、追い払う程じゃないですよ」
慌てておばけの肩を持つ私に、ゴーストバスターは呆れた顔でため息をつく。
「最近多いんですよね。お客さんみたく情が移っちゃう人」
結局、呼び出し賃だけ支払い、何もせずに帰ってもらった。
私とおばけは何も言わずに後片付けをする。
べたべたと髪に絡みついていたスライムは、いつの間にかおばけが綺麗に取ってくれた。




