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コペンハーゲン
コペンハーゲン。
耳元に飛び込んできた声に振り返る。私の後ろには誰もいない住宅街が広がっている。
気を付けなければ聞き逃してしまうような、擦れた幼い子供の囁きだった。
路地裏を覗き込んでも人っ子一人見当たらない。
空耳かと思い、しばらく歩いていると再び声がした。
コペンハーゲン!!
消え入るような声ではあるが、今度は言い聞かせるように言葉を一言ずつ区切っている。
これは気のせいじゃあないな。
しかし、コペンハーゲンをどうしろというのだろう。
考えあぐねた挙句、近所のコンビニでハーゲンダッツのカップアイスを買って帰る。味はバニラとストロベリー、それから抹茶の三種類。
家に帰り、神棚へ三つのアイスにそれぞれ木のスプーンを付けてお供えし、柏手を打ってお祈りする。
神棚からアイスを降ろすと、バニラとストロベリーは空っぽになっていた。
意外とハイカラな趣味だ。
残った抹茶味に茹で小豆を乗せてをいただく。
私には少しお高い味に思えた。