図鑑
今日はひたすらごろごろしようと目覚めた瞬間に決めた。
そうと決まれば話は早い。寝巻のまま布団から抜け出すと、落書き帳や読みかけの雑誌に文庫本、麦茶を入れた水筒とお菓子を持って再び布団にもぐりこむ。
これで完璧。
好きなものに囲まれて、たっぷりとある自由な時間をどう使おうかと考えているだけでもなんと贅沢なことなんだろう。
音楽もお気に入りの物ばかりを集めてランダム再生に設定にする。全て知っている曲なので、どんな曲がかかっても嬉しいし、懐かしい曲がかかったりすると古い友人に会ったような気分に慣れて好きなのだ。
いそいそと布団から身を乗り出し何から手を付けようかと迷っていると、突然鋭い閃光が迸った。
強い光に目を眩ませていると、どこからかか細い話声が聞こえる。
「面倒くさがりな生き物ですね」
「こいつは特にひどいな。部屋も散らかっているし」
「分類はどうしますか?」
「ナマケモノあたりが妥当だろう」
そこで笑い声が起こる。勝手に部屋に入り込んでおいて何たる言い様だろう。
流石に腹が立ったのでわざとらしく咳払いをしてやると、笑い声がぴたりと止んだ。
「今日は日が悪そうですね」
「そうだな。図鑑に使うには部屋が汚すぎるから別の日に撮り直すか」
バツの悪そうな会話はそれっきり途絶えてしまった。
私のことを図鑑に載せるのだろうか。このままだと、巣穴に好物を持ち込み寝床から出ることはないなどと、良くは書かれないことは明らかだった。
「さてと、掃除するかな」
声の主たちに聞こえるように、大きな声で独り言を言ってから布団を片付ける。




