宇宙の日
今日は宇宙の日だったのでコンビニに宇宙飴を買いに行く。
外に出ると、近所の子供たちが跳ね回っていて騒がしい。宇宙の日はいつもより重力の働きが弱まるので、子供らは民家の屋根を軽々と超えるジャンプで競争していた。
親たちは、電線に絡まらないかとひやひや見守っている。もしもの時の為に防電の子取り網を手にしていて、そっちの方が物騒に見える。
コンビニに入ると、目当てのものはすぐに見つかった。棒の先に丸く形作られたコールタールのような闇の中に銀河系が渦を巻いている。ねっとりと甘い宇宙を舐めとかしていくと口の中へと銀河があふれ出し、ぱちぱちとはじけ文字通り目の前に星が浮かぶのだ。
一番人気の太陽系を三つばかり手にして会計の列に並ぶ。よく見ると、レジを待つ人は大人も子供も皆、宇宙飴を手にしていた。宇宙の日限定でしか売らないこの飴にはファンが多いのだ。明らかに話題の為だけに買いに来たであろう奴もいるが、今日だけは許そう。
なんてったって、宇宙の日なのだから。
並んでる途中に目についた宇宙食用のフリーズドライしたイチゴとチョコレートを一緒に買って帰宅する。
帰り道、宇宙飴が手に入ったのと、宇宙価格で普段より随分とまけて貰えたので鼻歌ついでにスキップをしたら、マンションの4階まで届いた。
まだまだガキンチョには負けてない。
気が付いたら、声を出して歌っていた。